memories on the sea 海の記録

海、船、港、魚、人々、食・・・などなんでもありを前提に、想い出すこと思いつくこと自由に載せます。

ヤンゴンのネットカフェ事情

2013-09-27 00:05:08 | 亜細亜海道
以前もこのブログで紹介しましたが以下はメルマガ「ミヤンマーで今何が」Vol.62 <2013.9.18>から転載したものです。全体は長文ですのでその一部を載せました。http://www.fis-net.co.jp/myanmar/backnumber.htmlでバックナンバーを含め最新号まで読むことが出来ます。

06: イスラム教徒との出会い
ここで一組の老夫婦と友人になった。いつも父君がパソコンを操作しながら画面
の相手と喋っている。かなり長いこと喋った後で、細君にマイクつきヘッドフォ
ンを装着させて、隣の私にひ話しかけてきた。縁なしの白い帽子、白いあごひげ、
水色のロンジー。明らかにムスレム(イスラム教徒)である。画面に映っている
息子はバンクーバー在住で、毎月生活費をきちんと送金してくれる最高の息子だ
という。そしてマイクに向かって新しい日本人の友達を紹介する。話しているの
はウルドゥ語だそうだ。毎朝8時の開店と同時にやってきて、いつも夫婦仲良く
孝行息子と一時間以上話しこんでいる。私がドアを開けると細君がにっこり笑っ
て父君の袖を引っ張り私が入ってきたことを合図する。すると父君は息子にジャ
パンが来たと語っている。ここはパキスタンでも、アフガンでもない、今世界で
もっとも平和なミャンマーだ。

ご愛嬌で「アリクム・サラーム」と挨拶すると、細君は実に優雅な笑顔でにっこ
り笑う。そして父君が「サラーム・アリクム」と返してくれる。

だが、ある時ぱったりとこの二人が現れなくなった。一ヶ月も会えなかっただろ
うか。そしてまた二人に笑顔に遭遇した。8月はラマダン月で来れなかったが、
今日はラマダン明けのお祝い“イード・デイ”だ。この近くの自宅でご馳走した
い。このようにミャンマーの交友は広がり、そして異なる文化を勉強するチャン
スがあちこちに転がっている。

07:せみ時雨の夕方
一定の時間帯に来る男がいる。いつも早口の北京語でがなり立てている。台湾訛
りでないところから、多分雲南省系のビジネスマンなのだろう。顔つきは間違い
なく中国人だ。
日本製自動車の部品の引き合いを遣り合っている。これは流暢な英語だ。顔つき
を盗み見るとひげもじゃのアラブ系だ。

子供の声も聞こえる。多分海外に出稼ぎに出ている父親と話をしているのだろう。
色鮮やかなサリーを着たヒンドゥの母親からヘッドフォンを奪い取ることができ
た。

国内の友人同士で、長話を楽しんでいる若者もいる。

そして少し訛りのある日本語も聞こえる。流暢なものだ。

ミャンマー人でも英語の達者な人はいくらでもいる。その中でも、元船長や航海
士で船員派遣会社を経営している人たちは達者だ。シンガポールや香港の海運会
社とのやり取りも必死だ。声がだんだん高くなる。

これがこれまでのネットカフェ風景だった。だが、最近は欧米系のジャーナリス
トやレポーターと思しき人たちも増えてきた。

先日はイタリア語か、スペイン語かは不明だったが、ニュース原稿らしきものを
滔滔とまくし立てている西洋人を見かける。

いろんな言語が飛び交う中で、後ろに座ったネットカフェの若い嫁さんが少し調
子を外したパーリー語の念仏を唱え始める。

そして一番奥まったところにある台所から、親爺の煮込んだ豚シチューの美味そ
うなにおいが流れてくる。そしてトントントンと軽やかな俎板で野菜を刻む音が
響いてくる。この親爺の肌理細やかさが若い嫁さんの決め手となったのだろうか、
気になるが、言葉が通じない親爺と嫁さんでは確かめようが無い。

そして、もうひとつの疑問はこの店には多数のムスレムが利用している。そこで
この中国人の親爺がポークの匂いをプンプンさせて、商売上問題はないのだろう
か。だが、客足が遠のかない以上、問題はないと解釈してよさそうだ。

この親爺から学んだことがもうひとつある。それは西洋人と会話をするときのボ
キャブラリーはOK・OKの一言だけなのである。お客はダウンロードが遅いと文句
を言っている。だが、自信たっぷりの親爺はオーケー・オーケーの一言である。
お客からマウスを奪うと二・三ヶ所クリックして、上目遣いに画面を見ろという。
それだけで西洋人をすべて納得させてしまうのだから凄い語学の達人である。
08:ネットカフェは万国博覧会
ちょっと二・三年前までは閑散としていたネットカフェだったが、この一・二年、
様相はすっかり変わってしまった。今では世界中の人間が集まり、聞きなれない
世界の言葉が飛び交っている。

そして親爺の話すオーケー・オーケーが横柄な欧米人も屈服させている。この親
爺こそ、真の国際人かもしれない。


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