CHILOE ISLAND: チリー沖合に存在する島々の連なりはかつてはドラマチックな景観が称賛された、豊かな野生動植物、趣のある高床式住居、植民地時代の教会など。(5月17日AP)
しかし今や、その景観とはかけ離れた注目を浴びるようになった。有害な藻類の繁殖は海洋生物に危害を与え、それに依存する漁民の生活を脅かしている。「やつらによって我々の海が殺された」と、強烈なにおいを発する青緑の藻類が沿岸を覆いつくしこの処理に何週間も従事しているMarisol Millaquienはいう。これは有害な赤潮として知られるものである。
”静かな破滅”と地元漁民に呼ばれる、チリーで初めての有害藻類による赤潮は政府をして非常事態区域を宣言されるまでに至った。これらの島々をめぐる南部地区は最高のバードウオッチングの場として知られていた。藻類の繁殖は魚、鳥類、その他の海洋動物にとって致命的なもので、中枢神経系を麻痺させる毒素を放出する赤潮地帯の貝類を食べれば人体に有毒である。
Millaquienの高床式住居からの景色は荒涼としたものであった。何十隻もの幽霊船のようなボートが打ち捨てられ、死んだ鳥や貝類が景観を埋め尽くしている。「自分は46歳で赤潮は前にも見たことはある。しかしこんなにひどいのは初めて」と彼女はいう。
ほかの多くの住民たちと同様に、彼女は科学者らの言うこの環境災害はエルニーニョ現象による高水温のために起きたものという説明を信じない。その代りにチリーにおけるサーモンの養殖場が汚染された魚を近くの海岸に投棄したかだという。何百万尾もの死んだサーモンが今年の初めにこれとは別の藻類繁殖で死滅した。海水中の酸素の欠乏で魚は窒息した。
「我々は今なにも獲ることができない。生きるために食べることもできない」と3人お子持ちのシングルマザーの彼女は嘆く。「これは我々が今まで十分な魚を得ていたことの罰なのか」漁業はチリーの長い海岸線の集落の経済的バックボーンである。Millaquien はChiloe島の住民について憂い、食料不足がこれまで緊密な連携のあった集落にどんな緊張をもたらすのかという。
専門家らはこの赤潮はまだ何か月もぐずつくという。一方、食料やガソリンは小規模漁業者が本土からのアクセスを封鎖したために少なくなっている。焚火のバリケードで政府の補償の増額を求めている。しかし Millaquien は政府の支援は受けたくはないという。