最新の治療法など、地元の医療情報を提供する「メディカルはこだて」の編集長雑記。

函館で地域限定の医療・介護雑誌を発刊している超零細出版社「メディカルはこだて」編集長の孤軍奮闘よれよれ・ときどき山便り。

雷落としの竜神堂

2023年01月28日 07時03分04秒 | 新聞コラム
北海道新聞みなみ風の「立待岬」。
1月27日掲載のタイトルは、「雷落としの竜神堂」



 函館から亀田半島の海岸線を回る国道278号が戸井地区に達する付近には海岸段丘が発達している。通称汐首山の段丘山頂の草原には放牧された馬の群れが草をはんでいる。汐首漁港から汐首山に目を向けると灰色の細かい岩がむき出しになった一角に鳥居が見える。雷落としの竜神堂だ。
 1936年(昭和11年)、砲台の設置が計画された戸井村では軍事物資や兵員輸送を目的に戸井線建設が始まった。険しい地形は難工事が続き、汐首灯台付近の石垣を築く工事は特に難航したという。
 戸井町史によると、この区間を請負った熊谷組は石垣構築に村人が「雷落とし」と呼ぶ場所の露出した岩を使うことにした。だ、削岩機を動かすと機械は爆発し、作業員二人が重軽傷を負った。霊地・雷落としの神の怒りという地元のうわさに、熊谷組は雷落としの上部に祭壇を設けて作業の安全と無事を祈願。その後は事故もなく作業は進んだ。工事終了後、祭壇のところに竜神をまつるほこらと鳥居を建て、感謝の祈りをささげた。
 竜神堂を訪れる。民家裏の避難用階段を登り、旧戸井線跡の平坦な場所を過ぎるとガレ場が広がっている。足元の不安定な浮石に注意しながら慎重に進む。平らな石を積み重ねた一角に祠と鳥居があるが緊張感を強いられる急斜面と高度だ。鈍色の海面に雲の切れ目から差し込む光の帯は竜神のようにも見える。
(メディカルはこだて発行人・編集人)










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