番犬根性

前にも書きましたが、ウォーキングの道筋に何匹か犬がいるんですね。
そのなかのよく吠える犬がいまして、
歩道沿い近くに居を構えているヤツなんですが、道の反対側を歩いていても、
そのときのご機嫌によって吠えてきたりする。
丸まって寝ていてしらんぷりしていることも多いのに、
たまたま起きていたからって、勤勉なんです、とでもいうように
吠えるのも都合がよすぎやしないかいと思ったりするんです。

そんな彼が引越しをしました。
歩道沿いから3,4mくらい離れた家の玄関先にオリが移動した。
あはは、ざまーみろ、これで堂々と歩けるじゃないか、
と喜々としていたら、遠のいたくせに、これまでよりも意識を過敏にして
吠えてくるんですよ。ちょっと「ワフワフ」と歯切れが悪く、
吠えようか吠えまいか迷っていながら吠えているみたいな吠え方なんですね。
番犬意識なのか、縄張り意識なのかわかりませんけども、
彼の仕事なんだろうなぁ、道から遠のいた分、目を配っていなきゃならない
っていう使命感っていうんですかね、そういう気持ちが芽生えたのかもしれません。

とはいえ、たぶん、あと何日か経ったら、その居場所にもなれて、
無理に意識を遠くまで飛ばすような、血眼になって番をするっていう
気持ちが萎えてくると思うんです。
言葉どおりの負け犬くんになるんじゃないかと予想しています。
彼にとってみれば、生きがいを失った、みたいな心情だったりするのかね。

吠える犬って、なんか、いつも「勝ち」に身を置いている気がする時があるんです。
吠えられて、逆に近寄っていって怒らせたらそれで、ワンワンワンワン
吠えることで、そのうち追っ払ったってことになって勝利。
こっちが吠えられまいとして遠くを歩くのも、
犬の意図するところであって、犬の勝利。
人間が勝つためには、向こうが吠え疲れるまでだまって立っていてやることだね。
吠えなくなるまでそこにいてやる。
みんなそんな暇じゃないので、なかなかそこまでしませんけどねー。