Fish On The Boat

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『ソロモンの犬』

2014-06-19 22:04:31 | 読書。
読書。
『ソロモンの犬』 道尾秀介
を読んだ。

主人公を含む4人の大学生の青春とつながる、とある事故。
その事故から広がっていく運命と人間模様。
この年代の人たちからしか発せられないような滑稽さと素直さと、
そこにはやっぱりある、恋の花や芽のビタースウィートさ、
そういった生活を飲み込みながら最後まで走っていくミステリーでした。
面白かったです。

道尾さんの文体は、序盤のほうなんかはともすると、
自分の他所行きの文体に似ているかもしれない、と
思いましたが、どんどん内容が深まっていくにつれて、
その体力、知的体力も含めた持久力と、クスっと笑えてしまうセンスなどに
「やる人だなぁ」と思いました。
素人が書いたフリーの小説は、このWEB世界に数多ありますけれども、
やはりお金を払わなければ読めない小説には、それだけの力と面白さがあります。
勉強量もけっこうなものと見受けましたし、そのあたりの真面目さも感じられるのに、
文章には砕けたことを表現していて、なかなかに幅の広い人のようです。

ミステリーで読みやすくて面白くて深さもあるといえば、
伊坂幸太郎さんが思い浮かびます。
彼の作品をどんどん読んでいきたいし、彼がその業界・世代では抜けているのかな
なんて思っていましたが、道尾秀介さんのレベルも高かったですね。
全力投球している感じが好印象。
さぞかし、充実感もあるでしょう。
さわやかな技巧派という印象を受ける、今作でした。

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