読書。
『人工知能解体新書』 神崎洋治
を読んだ。
2017年刊の新書です。昨年、インパクト十分に登場した人口知能チャットボット・ChatGPT。本書はこのChatGPT前夜の人口知能事情についての内容になっています。たとえば、何もないところから急にChatGPTが登場したようでいて、先達のようにしてIBMのWATSONというAIシステムが稼働しているのですが、そのあたりの事情について知っていくことも、本書の大きな柱の一つとなっているのでした。
ディープラーニングやニューラルネットワーク、これらの根本的な仕組みを理解している技術者は、世界でも数百人しかいないと言われている(本書刊行当時)とあります。そんな技術無しに、今日のAIは生まれませんでした。インターネット世界のオープンソースであるビッグデータを読み込むことで、AIは学習していきます。その仕組みとして、ニューラルネットワークという人間の脳をモチーフに設計された仕組みでAIの中身は構成されている。ビッグデータからの情報の入力と、その出力の間の中間層を何枚も増やしていくことで、AIによる分析・解析の精度やバリエーションが増えていくのですが、これが簡単に解説したニューラルネットワークというものです。ディープラーニングも、何十枚もの中間層を通っていくことで、AI内部に細かく分類しつつ学習していくことのようです(ただ、WEBの記事か他の本かで読んだのだと思うのですが、ディープラーニングをどうしてこういう優れた結果を出すのか、についてはきちんと解明されていないのだそうです)。
前述のWATSONはみずほ銀行で稼働していて、将来的に(月日が経っているのでもう実現しているのかもしれませんが)、ロボット・PEPPERと連携して、顧客に金融商品を提示したり投資の提案をしたりできるようになる、とありました。表だってAIとは呼ばれず、コグニティブシステムと呼ばれるWATSONの機能は多岐に応用可能で、たとえば音声認識と解析機能、データベースを利用して、コールセンターでの電話担当者の補佐をしたり、ビジネスメールの文面を考えてくれたり、ツイートやメールなどの文章情報からその個人の性格などを分析したりできます。WATSONは王道を行くAI世界のトップランナーだったわけです。
また、WATSON以外のAI技術では、バイクや車に感情を持たせたり会話をできるようにしたりする研究開発をホンダやカワサキがやっていると紹介されていました(僕の世代としてまっさきにナイトライダーが思い浮かびます)。他には、ビートルズの楽曲を学習させたAIがビートルズ風の曲を作曲できてしまうことや、就職や転職の求職者と会社のマッチングアプリについてや、セキュリティAIや、ファッションやお酒などを個人の好みを学習しつつ提案してくれるSENSYというアプリなどが解説されていました。
AIの知能レベルが人間を超える日は近いなどとも言われます。人間を超えるその分岐点をシンギュラリティと呼び、それ以降のAIの思考や動向は予測不可能とされていたりもします。おっかなびっくりに感じる話が急速に現実化してきているわけですけれども、それでも「覆水盆に返らず」的に、もう開け放ってしまった技術ですから、あとはどうやってコントロールするか、あるいは付き合っていくかです。
本書は、刊行当時としては最先端のAI本だったのでしょうが、今となってはAI発達の基点を学ぶようなかたちとして存在していると言っていいでしょう。AIの基本について知りたい、生成AIのその歴史の初めのほうを知りたい、そういった方向けです。ただひとつモノ申したいところがあります。誤字・タイポなどがやけに多かったのです。10か所前後は見つけました。こういうところこそ、AIを使うべきなのではないでしょうかねえ。
『人工知能解体新書』 神崎洋治
を読んだ。
2017年刊の新書です。昨年、インパクト十分に登場した人口知能チャットボット・ChatGPT。本書はこのChatGPT前夜の人口知能事情についての内容になっています。たとえば、何もないところから急にChatGPTが登場したようでいて、先達のようにしてIBMのWATSONというAIシステムが稼働しているのですが、そのあたりの事情について知っていくことも、本書の大きな柱の一つとなっているのでした。
ディープラーニングやニューラルネットワーク、これらの根本的な仕組みを理解している技術者は、世界でも数百人しかいないと言われている(本書刊行当時)とあります。そんな技術無しに、今日のAIは生まれませんでした。インターネット世界のオープンソースであるビッグデータを読み込むことで、AIは学習していきます。その仕組みとして、ニューラルネットワークという人間の脳をモチーフに設計された仕組みでAIの中身は構成されている。ビッグデータからの情報の入力と、その出力の間の中間層を何枚も増やしていくことで、AIによる分析・解析の精度やバリエーションが増えていくのですが、これが簡単に解説したニューラルネットワークというものです。ディープラーニングも、何十枚もの中間層を通っていくことで、AI内部に細かく分類しつつ学習していくことのようです(ただ、WEBの記事か他の本かで読んだのだと思うのですが、ディープラーニングをどうしてこういう優れた結果を出すのか、についてはきちんと解明されていないのだそうです)。
前述のWATSONはみずほ銀行で稼働していて、将来的に(月日が経っているのでもう実現しているのかもしれませんが)、ロボット・PEPPERと連携して、顧客に金融商品を提示したり投資の提案をしたりできるようになる、とありました。表だってAIとは呼ばれず、コグニティブシステムと呼ばれるWATSONの機能は多岐に応用可能で、たとえば音声認識と解析機能、データベースを利用して、コールセンターでの電話担当者の補佐をしたり、ビジネスメールの文面を考えてくれたり、ツイートやメールなどの文章情報からその個人の性格などを分析したりできます。WATSONは王道を行くAI世界のトップランナーだったわけです。
また、WATSON以外のAI技術では、バイクや車に感情を持たせたり会話をできるようにしたりする研究開発をホンダやカワサキがやっていると紹介されていました(僕の世代としてまっさきにナイトライダーが思い浮かびます)。他には、ビートルズの楽曲を学習させたAIがビートルズ風の曲を作曲できてしまうことや、就職や転職の求職者と会社のマッチングアプリについてや、セキュリティAIや、ファッションやお酒などを個人の好みを学習しつつ提案してくれるSENSYというアプリなどが解説されていました。
AIの知能レベルが人間を超える日は近いなどとも言われます。人間を超えるその分岐点をシンギュラリティと呼び、それ以降のAIの思考や動向は予測不可能とされていたりもします。おっかなびっくりに感じる話が急速に現実化してきているわけですけれども、それでも「覆水盆に返らず」的に、もう開け放ってしまった技術ですから、あとはどうやってコントロールするか、あるいは付き合っていくかです。
本書は、刊行当時としては最先端のAI本だったのでしょうが、今となってはAI発達の基点を学ぶようなかたちとして存在していると言っていいでしょう。AIの基本について知りたい、生成AIのその歴史の初めのほうを知りたい、そういった方向けです。ただひとつモノ申したいところがあります。誤字・タイポなどがやけに多かったのです。10か所前後は見つけました。こういうところこそ、AIを使うべきなのではないでしょうかねえ。