Fish On The Boat

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『フィンテック』

2018-06-18 22:21:03 | 読書。
読書。
『フィンテック』 柏木亮二
を読んだ。

フィンテックとは、ファイナンスとテクノロジーを合わせた造語です。
本書はわかりやすくそして広く解説していて初心者には最適なよい本でした。
まあ、初心者といっても、商売に必要なわけではなく、
興味で読んだのでした。

フィンテック1.0から4.0までの段階を追いながら、
いろいろな金融のサービスや技術、言葉を紹介してくれます。
たとえば、フィンテックの最初期として登場するのが、
イギリスとフランス、
そして大西洋間つまりロンドンとニューヨークをつなぐための
海底ケーブルの敷設なのですが、それがなんと19世紀中ごろです。
20世紀じゃなかったんですね。
これは驚きでした(歴史を知らない)。

最近読んだ、『ゼロトゥワン』の著者、ピーター・ティールは
ペイパルの創業者でした。
ペイパルはオンライン決済をする企業でしたが、
それもフィンテックでのイノベーションです。
また、さらにこのあいだ読んだ
『鈴木さんでも分かるネットの未来』で書かれていた
ブロックチェーンやビットコインもフィンテックのものです。
なかなか最近の読書につながりがある中で読んだので、
本書をとくにおもしろく読めたのかもしれません。

API、クラウド会計、レンディング、ロボアドバイザー、PFMなどなど、
こういった慣れない言葉が何を指しているのかについても、
わかりやすく紹介してくれています。

それとともに、
UI(ユーザーインターフェイス)、
UX(ユーザーエクスペリエンス)といった視点を
本書であらためて知ったのですが、
これは、たとえば僕が今働いているような観光施設をこう見てみることで
得られるシンプルかつ明確な解があるように思います。

また、持続的イノベーションと破壊的イノベーションの説明、
およびイノベーションのジレンマの解説は、
かゆいところに手が届くような爽快さを持っていました。
たとえば音楽の分野で知った言葉でもあるオルタナティブ。
この怖さと素晴らしさが破壊的イノベーションと名前を変えて
ビジネス分野では語られているのだなあとわかったりします。

フィンテックが進んでも、
どのようなサービスがあるかを知らないと何も生活は変わりません。
信頼できるのか、信用できるのか、
そのあたりでのとっつきにくさもあるでしょうけれど、
たぶん、そのうちみんなが安心して使いだす技術・サービスになりそうです。
もう「先どり」とは言えないくらい
ポピュラーになってきている段階のようにも思えますけれども、
IT金融分野の今を知り、そしてちょっと先を知るために、
おもしろく読んでおける本でした。
おすすめです。

著者 : 柏木亮二
日本経済新聞出版社
発売日 : 2016-08-06
Comments (2)
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