Fish On The Boat

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『葬式は、要らない』

2010-04-25 11:00:54 | 読書。
読書。
『葬式は、要らない』 島田裕巳
を読んだ。

いかに、日本の葬式は、浪費であり贅沢であるかということを、
日本での仏教の変遷などとともに明らかにする、無理のない
葬式無用論といった本でした。

たくさんお金を取られる、死後に名づけられる「戒名」というものは、
実際は仏教の教義とは関係のない、葬式仏教として発展してしまった、
日本の仏教独自の慣習にすぎないことなのだなど、いろいろと、
葬式について知識のある人もない人も頷きながら理解を深められる内容になっています。

本の裏表紙にも書いてありますが、
日本の葬式の平均費用は231万円なんだそうです。
これが、お隣の韓国だと37万円。
イギリスだと、12万円。
お金も資源もパーっと使うアメリカでさえ、44万円だそうです。
そして、そんな、葬式へのお金の使い方を、「世間体」「見栄」「名誉」
などといった視点で説明しています。

また、お墓についても、「ヨーロッパではお墓参りはしない」など、
日本の慣習が真理ではないことを知らしめてくれます。
僕は毎年、墓参りに行くタイプではないのですが、
たとえば周囲が「俺は今年もちゃんと墓参りに行ったぞ」と胸を張る
ことに違和感を感じていたんですよねぇ。
そこらが、少しスッキリしたというか、味方ができたというか、
そんな安堵感を得たような気持ちになりました。

うちの親はこの本を読んで、自分の葬儀は費用のかからない葬式で
済ませるという持論に勢いを得たようで、「家族葬」にするとか
言っていました。戒名はどうするんだろうねぇ。

僕の場合だったら、無宗教式に、僕が好きだった音楽を流してもらって、
花でも添えてもらえればそれでいいかなと思っています。
迷うのは、墓ですね。墓参りをそれほどしない身で言うのもなんですが、
墓が無いのはちょっと心もとない感じがします。
それでも、無縁仏になって、きったない墓をさらすようになるくらいならば、
散骨とか、土に埋めてその上に植樹するとかそういった方法のほうが、
マシなのかなぁとも思いますねぇ。なんか、自分が死んだ後の、
抜け殻としての肉体って想像しがたくないですか。

なにはともあれ、この本はかなり売れているようですね。
それだけ、今までの絢爛豪華な葬式というものに、
みんな疑問符をつけているってことを象徴しているのかな。
葬式を頭から否定しているわけではなくて、亡くなった方とのお別れとしての
意味合い、けじめ、というものがあることをしっかりと肯定して、
かつ、高額の葬式について論じている本なので、偏った感じはそれほど
感じませんでした。興味のある方は読んでみてください。

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