Fish On The Boat

書評中心のブログです。記事、それはまるで、釣り上げた魚たち ------Fish On The Boat。

『限りなく透明に近いブルー』

2009-09-18 15:24:14 | 読書。
読書。
『限りなく透明に近いブルー』 村上龍
を読んだ。

大作家村上龍さんのデビュー作。
龍さんの本は、10代~20代半ばくらいまでの間に
20作品くらい読んでいるんですよね。
でも、長編はほとんど読んでいないんだよなぁ。
今度読んでみようかなと思います。
ちなみに、初めて読んだ村上龍さんの本は、中3のときに買って読んだ
『トパーズ』でした。よくこんなのを読んだものだ。
読んじゃいけないものを読んでいるような気がしたものです。

それで、今作。
デビュー作で芥川賞受賞作だから、どれほどの出来なのかな、どれどれ…、
とちょっと上から構えて読んでみました。

前半まで読んだところでは、
「退廃的というよりは、原始の祝祭的な快楽主義みたいなものを感じる。
同時代の文学だから読んだわけで、これが昔の小説だったりしたら
読まなかったんじゃないか」という感想。

しかし、全部読み終わってこう変わります。
「『これは傑作だ』と驚く。今まで読んだどの村上龍の小説よりも
面白いかもしれない」

話のテンポといい、言葉の使い方、文体、描かれる内容、
どれにも光るものがあります。
現代という時代が近代を超えたことを意味する文学だといっても、
はずれではないのではないか。
夏目漱石や太宰治や三島由紀夫を超えてでてきた作品だという感じがする。
現代の進歩というものが、文学にも出てきた感じだなぁと。

そういうのが30数年前に発表された本だなんて、驚いてしまいますね。
村上龍さんすげぇわぁ。

だけど、その後の作品で、このデビュー作を超えたものがあったのだろうか。
あったんだろうけど、読んでいないのだろうな。
この作品のような直球勝負で臨んだ作品をまた読んでみたいよねぇ。
抜群でした。
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