島便り

スペインはマヨルカ。2004年9月生まれの息子、2009年6月生まれの娘と、島出身のだんなとの4人家族の日々。

4年後の和解

2010年03月03日 | 日常
                    不安定な天候の続くマヨルカ



20歳を過ぎて、誰か大切な人と正真正銘「喧嘩」をしたことがありますか?

私はある。
しかも結構シビアな喧嘩。

スペイン人の友人の中、10年以上の付き合いを持つ二人の音楽家。
双方、オーケストラの団員で、バレンシア出身。
そのうちの一人、フルート奏者エンリケ。

ヨーロッパ、日本から遊びに来る私の友達も紹介したことのあるエンリケ。
ふうちゃんも、エンリケにてんぷらをふるまったことがある。
とにかく家族のように接していたエンリケなのだが、その当時組んでいた木管五重奏の一員でもあった彼と仕事がらみで激しい喧嘩になった。
双方のキャラが違うので、怒りは「外へ向かう怒り(私)」と「内へ向かう怒り(エンリケ)」と、質は異なったが、最終的に、私がグループを抜けることでピリオドを打った。
1ヵ月後にツアーを控えていたため、仕事を優先するのか、人間関係を優先するのか、という話し合いにもなり、結局、ピアニストは代役を立てる形になった。
普通だったら仕事は仕事、と割り切れるはずなのに、それすら不可能になったほどの「異例の修復不可能な人間関係」だったのだ。


喧嘩した本人たちよりも、周りが焦った。
周囲が(だんなを含み)国籍を超えた家族関係と謳ったほど、親密だったエンリケ。
具体的な喧嘩の原因を知らなくとも、おせっかいなスペイン人、なんとか私たちの関係を修復しようと、いろんなアイデアを出した。

最初に折れたのはエンリケだった。
というか、彼にすると、まさか修復不可能だとは思わなかったのだろう。
決裂したのが4月上旬、5月14日の私の誕生日には携帯でお祝いメッセージを送ってきたくらいだから。

私には、その神経すら腹が立った。よって「無視」。
夏には「よいヴァカンスを」
9月には、息子の誕生日に「おめでとうメッセージ」
クリスマスには「よいクリスマスを!」

エンリケはとにかく、いろんなメッセージを送ってきた。
そして私はそれらのすべてをことごとく無視した。

私たちには、共通の女友達がいるのだが、彼女がそんな彼を見かねて
「YUKOから連絡があるまでは、あなたはなにもしないほうがいいと思う」と彼に伝えた(らしい)。
決裂した1年後、ぱったり連絡が途絶えた。


決裂・・っていったってね。
こんな狭い島、しかも、この業界。
そりゃ、顔だって合わせます。
30過ぎ、今となっては40近いおばちゃんですので、会ったら挨拶だってするし、一言二言言葉くらいかわす。
でもそれだけ。以前とはまったく違う関係。

しばらくなかった連絡も、結を身ごもったとき、ばったり仕事場で顔を合わせ
「おめでとう、体には気をつけて」と声をかけてくれた。
結の出産時には、共通の友人たち経由でお祝いのメッセージをくれた。
さすがに無視することはなく、ありがとうの返信も送った。

その2ヵ月後、エンリケのお母さんの訃報が届いた。

それはあまりにも突然の死、であった。
享年73歳。

さすがの私も携帯電話を手にとり、エンリケに連絡した。
留守番電話だった携帯にメッセージを送ったが返信はなかった。

そして、その年の12月12日。
1年半付き合っていた歌手の彼女と結婚したエンリケ。
結婚式の当日、おめでとうの電話をすると、運良くつながり、まさに4年ぶりに電話で会話を果たした。
「まさか電話をくれるとは思わなかった。素晴らしいプレゼントだ」

そんなエンリケと、今日のお昼、食事をしたのでした。
たった30分のサンドイッチランチ、だったけれど、意地を張っていた自分の肩の力がどっとほぐれたランチタイムだった。
思わず笑ったエピソード。

エ「先週の金曜日にね、奥さんのお父さんから結婚祝いが届いたんだよ」
私「いまごろお祝い???」
エ「うん、すぐには送れない理由があってさ。なんだと思う?」
私「大きいの?小さいの?」
エ「今は小さい」
私「・・・・・大きくなるの?」
エ「すごーく大きくなるんだ。ラブラドールだよ。生後2ヶ月のラブラドール」
私「結婚祝いで犬????あーでも、君は犬がとっても好きだから嬉しいよね」
エ「あ、でもこれは娘に(奥さん)に、ってことなんだけれど、奥さん、犬嫌いなんだよね」

こんなのーんびりしたエンリケくんですが、一度ふうちゃと会ったときにツーショットで撮った写真を新居の冷蔵庫に張っているそうです。
まずは、当時彼女だった今の奥さんが「この人(しかも日本人!!!!)誰?」と聞いたらしく(あたりめーだ)
それからも遊びに来る人が「この人はいったい誰なのだ?」と必ず聞くそうです。
彼には、とても有意義な時間を過ごせた、言葉は通じないが(ふうちゃんは日本語、エンリケはスペイン語しか話さない)
なにかが通じ合えた異国のおばはん。
今でも大事な一枚、だそうです。

大切な友人をなくさなくてよかった。
時間も大切だけれど、歩み寄り、も大事ですね。

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6 コメント

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Unknown (亜希子)
2010-03-03 08:05:03
うん、確かに時間が解決してくれる事って、特に人間関係に関しては多いよね。実際歩み寄れるのも時間がたったからだろうし。それにしても良かったですね。
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Unknown (satoru sunahara)
2010-03-03 09:54:01
4年とは長かったですね。「外へ」「内へ」というのはわかる気がします。やっぱり女性は外向きが多いのかな。僕にとってわだかまりがあり、修復不可能な人たちも考えたら女性。で年上。僕が内向きなのは言うまでもないか。
修復できてよかったですね。
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Unknown (YUKO)
2010-03-04 07:05:33
あっこちゃん

ほんと、すっきりだよ。
自分でも驚いたけれど、知らない間に「しこり」になっていたみたい。
人間関係、あなたも知ってのとおり、こじれるとかなりまずい私、なので、これは奇跡、かも(笑)。
相手が男性というのもあるかもね。
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Unknown (YUKO)
2010-03-04 07:08:43
satoru sunaharaさま

長い年月でしたが、必要な年月だったように思えます。
女性がみな外向きだとは思いませんが、私がぶつかる女性は内向きな人が多いので、対極の人とぶつかったときがまずいのかも。
先生が内向きなのは分かりますよー(笑)。
ま、男性は大概にしてそうかな。うちのNadalも完全に「内」です。
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Unknown (toshie)
2010-03-04 18:21:45
またまたうるうるきてしまいました。歳取ると涙腺弱い??
面と向かって喧嘩したことは、ないけど、私も家族のようにつき合ってた人にイキナリ縁を切られたことがある。そういえば4年前。その人のことを思い出しながら、いつかまた楽しく話せる日が来たら良いなーと思った日記でした。
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Unknown (YUKO)
2010-03-08 06:38:48
Toshieさん

歳取ると・・・って一緒の歳だーーー!・・って結構な歳ですな(笑)。

いきなりかぁ。それは面と向かって、よりもきつくない?
その人がどれくらい大事だったか、によると思うけれど、お互いが同じ気持ちなら、また前のように・・は可能なんじゃないかな。
そうなるといいね。
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