島便り

スペインはマヨルカ。2004年9月生まれの息子、2009年6月生まれの娘と、島出身のだんなとの4人家族の日々。

コンクール記

2023年08月10日 | Music
コンクール準備のラストスパート。
ピアノのほか、風邪を引かない、怪我をしない、精神的に安定した日々をおくる←無理、結構周りも疲れます。
予選は午前中、ということがわかっているので、朝9:00を想定して通してみたり、当日ピアノがどれだけ触れるのかもわからないので、ウォーミングアップなしで弾いてみたり、まあみんなやることですが、14歳児、よくがんばった。
日に寄って、なんだか今日は流れがよくない…と落ち込んだり、今日みたいに弾けたらいいな、とご機嫌で練習を早目に切り上げプールで泳いだり、一日一日が私には長く感じました。最後の最後まで、違う、これじゃない、と繰り返し練習していたのはショパンのマズルカ。作品30の四曲を予選プログラムに入れていたのですが、最初の一曲のたった4小節、これにどれだけ時間を割いたのか。
ねえ、ママ、ちょっと聴いて、と言われ、食事作りを中断して聴かせてもらったり、意見交換したり。
とにかく自分のイメージする音が出したい、という強い思いを持ち、会場のある本土、シグエンサにNadalと三人で向かいました。


中世の街並み、シグエンサ。
前日から行ったのでこの日は街をぶらぶら歩きます。
夜20:30に抽選があり翌日の演奏順番が決まります。
前日の練習用にピアノが用意されることが多いのですが、今回はその待遇はなし。
えー1日弾かないのー?と思うか、1日くらい弾かなくても大丈夫!と思うか、もうこれは気の持ちよう!そういうこともあるからね、と事前に吹き込んでおいたので表面上はユイさん冷静。
私が彼女の年齢でコンクール前日にピアノが弾けなかったことはなかったし、もしそうだったらパニックだっただろうな。


抽選しかすることないんだから、と余裕です。


でも会場に行き、ほかの受験生を見て…と雰囲気が一気にコンクールに近づくとやはり顔がこわばるユイさん。女子は2名だけ、あとは圧倒的に男子でした。カテゴリーが二つあり10歳から14歳、と15歳から18歳、中学生の部と高校生の部ですね。ユイさんは中学生の部です。
抽選でトップバッターを引き、ガッツポーズの変わり者。普通は嫌がりますが。彼女はさっさと弾いて他の人を聴きたい人。

そしてここで、
会場のピアノを一人5分試せます
というアナウンスが入りました。
そりゃ弾かなくては。
でも夕食時ということもあり、ユイは一人で試すからママとパパは先にご飯食べてでいいよ、といわれ、Nadalと会場隣のバーでのんびりしていると

ピアノと相性悪すぎるー!と絶望的な、涙を浮かべた娘がバーに入ってきまして

そんな感じがするだけよ、まあ食え、飲め

と、なだめる。
考えても無駄です。
でも会場で聞いてあげればよかった、と激しく後悔しました。

翌日。
身体を起こすために散歩。
マヨルカとは違って湿気が少なく肌寒い。





会場近くの練習場で一人45分ウォーミングアップさせてもらえます。

元気の良いバッハのファンタジーから始まり、いよいよ彼女が練りに練ったショパン。
とても彼女らしいのびやかな演奏だったし、何より最初の音色がブラボーでした。
ほかの受験者もうっとりする演奏が多く、コンクールなのに聴き入る演奏が多かった。個人的にはバルセロナから来ていた同じく14歳の男の子、彼の演奏が素晴らしかったです。

見事予選通過。
バルセロナの彼ももちろん通過。
受験者のプログラムは会場に張り出されますが、それを一応目にして、その日はまたのんびり。毎度のことながらユイはファイナリストになって勉強した曲が全部披露できることが第一目的なので満足そうです。

翌日もトップバッター。
ハイドンのソナタホ短調全楽章からスタートし、メンデルスゾーンのエチュード、最後にプロコフィエフの束の間の幻影から4曲というプログラム。
わりと得意分野のハイドンの一楽章が少し固かった、と本人も悔しそうでしたが、トータルするとよく聴かせる演奏でした。予想通りプロコフィエフは超高速になりハラハラしましたが。
とにかくここまで来たこと、その過程に拍手!


結果発表までものんびり。
受講者、引率ファミリー、フレンドリーな人達が多くて会場の雰囲気もよかったです。

ユイさん、中学生の部、一位なしの二位入賞。バルセロナの男の子が第三位でした。

そして。
このコンクール、中高合わせて1名ずつバッハ特別賞、ショパン特別賞、ロシア作品特別賞があります。
高校生の部のレパートリーからおそらく該当者が出るんだろうね、と思っていたら、なんとショパン特別賞はユイに、ロシア作品特別賞はバルセロナくんに、中学生の部の快挙です。
マズルカ。ショパンの基本中の基本だから、という理由でマドリッドの先生が与えたこの曲。いろんなマスタークラスでも沢山アドバイスをもらい、最後の最後まで違う違うと苦しんだ曲、ですが今回のプログラムで一番の自信作。これで特別賞ということがよほど嬉しかったみたいでマヨルカに帰ってきてからもピアノの脇に飾っているほどです。
おめでとう!

すぐに受賞者コンサートがあり、再びショパンを披露し終了。
後でわかったことなのですが、バルセロナくんは今年度これが5回目のコンクールですべて第一位。それはいきなり島からやってきた女の子に上位を取られ複雑なのか、と思われがちですが、受賞者コンサートのあとの懇談会で、きみの演奏に感動したよ!と言われ、珍しくユイも「あなたのラフマニノフも驚くほど綺麗だった!←何気にピンポイントなのが彼女らしい…」など答えていまして、あーこうやっていい意味のライバルって出来るんだなぁと傍観。

さて。
Nadal運転のレンタカーでしばし観光しますよ。また次回。













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