島便り

スペインはマヨルカ。2004年9月生まれの息子、2009年6月生まれの娘と、島出身のだんなとの4人家族の日々。

リラックス旅行

2023年08月11日 | 旅行

コンクールが終わり、心底ホッとした我が家三人。ここからヴァカンスモード全開で遊びます!

今回、コンクールまではキッチン付きアパートホテルに滞在しました。





だいたいコンクールの時はこんな感じの所に泊まります。

そして。
翌日からは街の頂上にある古城ホテルに宿泊。一度行ってみたかったこの歴史的建築。






部屋からの眺めはこんな感じ。
暑そうに見えるのですが、湿気なしなのでかなり涼しい。そして異常に喉が渇く。



あまりにも内装が素敵なのでホテル内で場所を変えながら読書。




昨日までの緊張感はすっかり過去のものです。

車で30分行くと過疎化した村や塩田が現れます。
この塩田はイモンというところでもう使われていないのですが、マヨルカの海の側の塩田とは趣きが違います。塩の色も違う。


こちら、アティエンサ。
要塞と数件の住居しかない村ですが一見の価値あり。




シグエンサも含め、このあたりはカスティーリャ•ラ•マンチャという自治州で、有名なセルバンテスのドン・キホーテの舞台。あとはマンチェゴチーズが有名です。(だからチーズケーキが濃厚で美味しい!)
シグエンサもアティエンサもあちこちに「キホーテの道」という表示があります。







過疎村、トベス。







不思議な空間です。確かにここに人が住んでいて教会に行き、パンを買い、学校に通い…といった今はなくなった生活を想像しながら散策します。


これぞラマンチャ!
ドン・キホーテだと白い風車がありますが、これはコンスエグラという村に残っていて今回は距離的に無理があり行きませんでしたが、十分にキホーテワールドを堪能。ちなみに、ラマンチャというのは語源はアラブ語で「乾いた土地」という意味でまさにそれが


これ!壮大。

夜の古城ホテル、パラドール。
ちょうど満月で夜10時過ぎの散歩が幻想的。




さて、マドリッドに戻ります。レンタカーを返し、一泊マドリッドに泊まり、夏のバーゲンへ!

宿泊はティセ美術館裏にとりました。こちら、マドリッドのホテル。




マヨルカにもあるが絶対行かない、が、マドリッドだとなぜか行きたくなるスタバ


バーゲンのあと、ワインバーで夕食


翌朝は予定通りティセ美術館へ。私もNadalも数えきれないほど行っていますがいつも新しい発見があります。数行った美術館でトップスリーに入るかな。ユイはナンバーワンだそうです。

お昼はスペインピザコンテストのグランプリという


このピザを食べにお気に入りエリアのチュエカへ。ピスタチオと蜂蜜ベースにズッキーニ。これだけ食べに行くだけでも価値あり!


飲んではないがビールでポーズのユイさん。


とにかく喉が渇くので水はもちろんのこと、生ビールをよく飲みました。これが渇ききった喉に染み入る!最高。

さてさて、お疲れ様でした。





何聴いてるの?


新しい譜読みの曲。
プロコフィエフの2番のソナタ。
8月はレッスンをおやすみし、9月に新しいレパートリーを持って再スタート。
まずはプロコフィエフのソナタ、バッハの平均律二巻のC-dur,モーツァルトの20番のコンチェルト、ショパンのエチュードOp.10-8です。
大変だけど頑張ろう!




コンクール記

2023年08月10日 | Music
コンクール準備のラストスパート。
ピアノのほか、風邪を引かない、怪我をしない、精神的に安定した日々をおくる←無理、結構周りも疲れます。
予選は午前中、ということがわかっているので、朝9:00を想定して通してみたり、当日ピアノがどれだけ触れるのかもわからないので、ウォーミングアップなしで弾いてみたり、まあみんなやることですが、14歳児、よくがんばった。
日に寄って、なんだか今日は流れがよくない…と落ち込んだり、今日みたいに弾けたらいいな、とご機嫌で練習を早目に切り上げプールで泳いだり、一日一日が私には長く感じました。最後の最後まで、違う、これじゃない、と繰り返し練習していたのはショパンのマズルカ。作品30の四曲を予選プログラムに入れていたのですが、最初の一曲のたった4小節、これにどれだけ時間を割いたのか。
ねえ、ママ、ちょっと聴いて、と言われ、食事作りを中断して聴かせてもらったり、意見交換したり。
とにかく自分のイメージする音が出したい、という強い思いを持ち、会場のある本土、シグエンサにNadalと三人で向かいました。


中世の街並み、シグエンサ。
前日から行ったのでこの日は街をぶらぶら歩きます。
夜20:30に抽選があり翌日の演奏順番が決まります。
前日の練習用にピアノが用意されることが多いのですが、今回はその待遇はなし。
えー1日弾かないのー?と思うか、1日くらい弾かなくても大丈夫!と思うか、もうこれは気の持ちよう!そういうこともあるからね、と事前に吹き込んでおいたので表面上はユイさん冷静。
私が彼女の年齢でコンクール前日にピアノが弾けなかったことはなかったし、もしそうだったらパニックだっただろうな。


抽選しかすることないんだから、と余裕です。


でも会場に行き、ほかの受験生を見て…と雰囲気が一気にコンクールに近づくとやはり顔がこわばるユイさん。女子は2名だけ、あとは圧倒的に男子でした。カテゴリーが二つあり10歳から14歳、と15歳から18歳、中学生の部と高校生の部ですね。ユイさんは中学生の部です。
抽選でトップバッターを引き、ガッツポーズの変わり者。普通は嫌がりますが。彼女はさっさと弾いて他の人を聴きたい人。

そしてここで、
会場のピアノを一人5分試せます
というアナウンスが入りました。
そりゃ弾かなくては。
でも夕食時ということもあり、ユイは一人で試すからママとパパは先にご飯食べてでいいよ、といわれ、Nadalと会場隣のバーでのんびりしていると

ピアノと相性悪すぎるー!と絶望的な、涙を浮かべた娘がバーに入ってきまして

そんな感じがするだけよ、まあ食え、飲め

と、なだめる。
考えても無駄です。
でも会場で聞いてあげればよかった、と激しく後悔しました。

翌日。
身体を起こすために散歩。
マヨルカとは違って湿気が少なく肌寒い。





会場近くの練習場で一人45分ウォーミングアップさせてもらえます。

元気の良いバッハのファンタジーから始まり、いよいよ彼女が練りに練ったショパン。
とても彼女らしいのびやかな演奏だったし、何より最初の音色がブラボーでした。
ほかの受験者もうっとりする演奏が多く、コンクールなのに聴き入る演奏が多かった。個人的にはバルセロナから来ていた同じく14歳の男の子、彼の演奏が素晴らしかったです。

見事予選通過。
バルセロナの彼ももちろん通過。
受験者のプログラムは会場に張り出されますが、それを一応目にして、その日はまたのんびり。毎度のことながらユイはファイナリストになって勉強した曲が全部披露できることが第一目的なので満足そうです。

翌日もトップバッター。
ハイドンのソナタホ短調全楽章からスタートし、メンデルスゾーンのエチュード、最後にプロコフィエフの束の間の幻影から4曲というプログラム。
わりと得意分野のハイドンの一楽章が少し固かった、と本人も悔しそうでしたが、トータルするとよく聴かせる演奏でした。予想通りプロコフィエフは超高速になりハラハラしましたが。
とにかくここまで来たこと、その過程に拍手!


結果発表までものんびり。
受講者、引率ファミリー、フレンドリーな人達が多くて会場の雰囲気もよかったです。

ユイさん、中学生の部、一位なしの二位入賞。バルセロナの男の子が第三位でした。

そして。
このコンクール、中高合わせて1名ずつバッハ特別賞、ショパン特別賞、ロシア作品特別賞があります。
高校生の部のレパートリーからおそらく該当者が出るんだろうね、と思っていたら、なんとショパン特別賞はユイに、ロシア作品特別賞はバルセロナくんに、中学生の部の快挙です。
マズルカ。ショパンの基本中の基本だから、という理由でマドリッドの先生が与えたこの曲。いろんなマスタークラスでも沢山アドバイスをもらい、最後の最後まで違う違うと苦しんだ曲、ですが今回のプログラムで一番の自信作。これで特別賞ということがよほど嬉しかったみたいでマヨルカに帰ってきてからもピアノの脇に飾っているほどです。
おめでとう!

すぐに受賞者コンサートがあり、再びショパンを披露し終了。
後でわかったことなのですが、バルセロナくんは今年度これが5回目のコンクールですべて第一位。それはいきなり島からやってきた女の子に上位を取られ複雑なのか、と思われがちですが、受賞者コンサートのあとの懇談会で、きみの演奏に感動したよ!と言われ、珍しくユイも「あなたのラフマニノフも驚くほど綺麗だった!←何気にピンポイントなのが彼女らしい…」など答えていまして、あーこうやっていい意味のライバルって出来るんだなぁと傍観。

さて。
Nadal運転のレンタカーでしばし観光しますよ。また次回。













再びスイス

2023年08月09日 | Music
ユイさんのコンクール前最後のレッスンのため日帰りマドリッド。
レッスン前の腹ごなし、ユイさん大好物のブラッタチーズとトマトのピザ。
しかし、よくがんばった。コンクールは7月末。ここからまた最後の調整です。


で、私は翌日からルツェルンへ。
再びスイス。今回はチューリッヒ空港に飛び、電車でルツェルンに向かいます。今や1,2時間の遅れが珍しくない悪名高きドイツ列車(昔は悪名高き…はイタリアだったよね?)とは違い、本当に正確に時刻表通りの発着のスイス鉄道。


今回は録音の仕事でルツェルンに5日間滞在です。

翌日、スタジオのあるSarnenという所へ向かう電車の車窓。仕事で行っているものの、気持ちはヴァカンス…

三日間、相方、スタッフとスムーズな録音作業でした。トーンマイスターの技量に拍手!




たまに息抜き、と散歩すると山からこんな景色が見えます。
マヨルカなんて羨ましい、と言われましたが、では今すぐチェンジしましょう、と答えたら、えー何が不満なんだ!と驚かれました。
暑いんだよ、暑すぎるんだよー!


でも実は私は文句を言ってはいけないのです。
ちょうど私がルツェルンにいる間、マヨルカは最高気温が市内37度、内陸部は40度を超え、夜も27度という地獄だったみたい。スペイン本土は40度超えは珍しくなく、南部アンダルシアは47度を記録しました。もはや危険。

涼しいを通り越して朝は寒かったルツェルン。
流れで、イタリアのピアノメーカーFazioliの話になり、まだ一度も触ったことない、一度弾いてみたいんだよね、といったらルツェルンの音大にあるよ、といわれ、弾かせてもらうことになりました。
音大にFazioli….さすがスイス。




音色、タッチ、共に好みすぎて、気がついたら1時間弾いてました。ただ扱いやすい楽器かというとNoで、これをコンクールで選ぶピアニスト達、改めてすごいな、と感心。
前回のショパンコンクールのファイナリストでスペイン人のマルティン•ガルシアは予選から終始Fazioli 使用、最後のコンチェルトもFazioliで素晴らしい2番のコンチェルトを演奏し第三位に入賞しました。彼のパフォーマンスではこのファイナルが圧倒的によかった。今思い出しても身震いします。

仕事もひと段落。夜はフライブルグから車を飛ばしあきこさん登場。ルツェルンのクォリティ高い居酒屋さんで乾杯。彼女もその日はルツェルンに一泊して翌日バーゼル空港まで送ってもらいました。

これにてシーズン2022-23終了。
夏休み!
なのですが、ユイさんのコンクールが終わるまで夏休みモードにはならなかった母でした。