葦が1m程に伸び、真菰も同じほどに延びているこの時期は、清清しい青嵐が吹き抜けることが多い。そんな中でオオヨシキリは繁殖期を迎え日がな啼き続けている。
おもえば、生まれ育った飯沼村というところにはまだ未開拓の湿地帯があった。その湿地帯に行くのを親たちは「底なし沼には行くな」と禁止するが、浮島のような場所には葦が茂りオオヨシキリの巣があちこちに点在していたので、男の子にとっては魅力的な場所だった。
今は村も湿地帯もなくなってしまったが、オオヨシキリの鳴声を聞くたびに思い出すのは、飯沼を埋め立てて出来た飯沼村だった頃の「やらの情景」である。