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ROSSさんの大阪ハクナマタタ




南越王墓博物館ではガラスの屋根で覆われた実物の石室の中に入って、手を触れて見学できるようになっているのが素晴らしい。

それにしても第四婦人までいたというこの王様は、4人もいる夫人との関係をどのようにしてバランスを取っていたのであろうか。
発掘直後の石室



生前の南越王が自分の眠るこの石室の中に入り、工事の出来栄えに満足の笑みを浮かべたこともあったのであろうかと思うと、今同じ石室の中にいて奇妙な気持ちになってくる。

石室を蔽う小山のすぐそばに発掘された出土品を展示した広くて新しい博物館があり、じっくり見学すると半日くらいかかるくらいのおびただしい発掘品が展示されている。


それら出土品に記された漢字のいくつかは今の日本人でも読めるという事実が、中国漢字文明の素晴らしさであろう。

ここの展示品の目玉は、2291枚の薄い玉石(ヒスイ)を絹糸で縫い合わせてできた南越王の遺体を蔽う「玉衣」で、長さは173センチある。
頭部から見た玉衣


ツタンカーメンの面ほど派手でなく有名でもないが、それに匹敵する遺物ではないかと思う。

当時の技術でこれほどのものを製作するのにどれくらいの時間と費用を要したのであろうか。

又、「文帝行璽」、「泰子(皇太子のこと)」、「右夫人璽」という金印がまとめて3個出土しているが、これらは中国で最古の金印で、その文字は今でもはっきりと読むことができる。

文帝行璽と彫られた金印


「文帝行璽」は印の上部の持ち手が龍で重量148グラム、「泰子」印は75グラム、「右夫人璽」印は65グラムあり、持ち手は亀を彫刻しているのが美しい。

龍は今から2100年も前から権力の象徴として存在していたことがこの印鑑で証明されたのである。

右夫人璽と彫られた金印



又、亀という実在の動物も紀元前の時代から長寿のシンボルとして扱われていたことが解ったのである。

右夫人以外の夫人の印鑑も出土しているが、いずれも玉製で第四夫人の名前は欠けているので判読できない。

銅鏡、屏風、玉器、板ガラス、ペルシャからの銀、象牙など4000点が発掘され、大部分がこの博物館の中で展示されている。

素晴らしいデザインの円形透かし彫りの玉器


とにかく2100年前の権力者南越王の贅沢な暮らし振りと、当時の中国工芸技術の高いレベルが非常に良くわかる貴重でかつ膨大な展示であった。

龍と虎を上下に組み合わせた玉器




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