写真から推測すると初期型のランドクルーザー40なので1970年位かな?とは思う。最近の四駆雑誌の1ページである。フロリダ州の VERO BEACH に住んでいる PAT CORRIGAN さんは2万エーカー(東京の山の手腺内よりも広い)の土地に3600頭の家畜を飼っており、そこには3台のランドクルーザーが活躍している。敷地内には唯一キャビンに続く道があるがそれ以外には道は無い。牧場の経営者という立場で3台のランドクルーザーを活用しているのは牧場に道を設定するよりもコスト面で有利であるからである。つまり、ランドクルーザーがあれば道などいらん!である。
当時のランドクルーザー40がこの様な環境の中で需要を要していた証話。今日、もしもパットさんが現役で牧場を経営していたならば、彼はランドクルーザー200を牧場で活用しているとは思えない。想像するに、フォードのピックアップトラックと UTV を活用しているのではないだろうか? アメリカを走ってみると各地に広大な牧地や農地が無数に展開している。そこでの主役はピックアップトラックである。嘗てその土地土地でトヨタランドクルーザーが活用されていたのであろう。もし、そうであるならば今日その記憶は抹消されている。これは同時に、アメリカにおいてランドクルーザーの原点が消滅している事になってしまっていると理解出来るのではないだろうか?
原点などに拘られなくてもいい、というのが大衆の感情なのかも知れないが、僕の中では原点を常に持っておきたいと思う。自動車はより安全に快適に発展してゆく存在なのだが、原点を失うと個性を失い魅力を失ってしまう。そして、存在感そのものが消えてしまう。ランドクルーザーがランドクルーザーである為にはその原点が非常に大切な要素となる。今日、ランドクルーザーのステアリングを握る時にその原点を時々思い出す事によって、原点という軸を守ってゆきたいと思っている。