世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。
中国主導のAIIB、日本も早期参加を…二階氏
軍事力においては群を抜いていたソ連邦も、統制経済の失敗により消滅する運命を辿ることとなりました。統制経済には市場経済に内蔵されている発展のメカニズムが欠如していますので、ソ連邦の経済は停滞を余儀なくされたのです。
その一方で、共産主義国家は経済成長しないとするジンクスは、政治的には共産党一党独裁体制を維持しつつ、経済的には改革開放路線を選択した中国によって破られることになります。積極的な外資の導入と安価な労働力を武器に飛躍的な経済成長を遂げ、中国製品が全世界の市場に溢れかえる至るのです。2002年にはWTOにも加盟し、この時、誰もが中国は”普通の市場経済国家”に変貌した信じたことでしょう。
しかしながら、中国は、真性の”普通の市場経済国家”へと移行したのでしょうか。改革開放路線に対する期待は、中国の国内経済にあって民間企業等の活動も盛んになり、中間層が形成されれば自然に民主化し、名実ともに普通の国家へと変化するというものでした。しかしながら、昨今の様子を見ておりますとこの見方は楽観的であり、むしろ、共産主義国家であったからこそ、中国は、破竹の勢いてグローバル市場を席巻したという見方もできないわけではありません。何故ならば、13億の人口を擁する巨大国家が、その廉価な人件費を武器に、国家を挙げて国際競争の世界に参加すれば、当然に、強大なる競争力を有することとなるからです。ソ連邦は、西側の国際経済や産業と切り離されていたため、経済力で西側陣営を脅かすことはありませんでした。ところが中国は、統制経済時代の経済停滞を逆手に取り、これに起因する安価な労働力を西側企業に提供することで輸出攻勢をかけたのです。政府系企業を温存しつつ、中国が西側諸国の企業を取り込んだことによって、”民主主義国家陣営”は、内側から切り崩されつつあります。
そして今や、中国は、自らをグローバル経済の指導者と称して憚らず、自国中心の”中華経済圏”を構築すべく、一帯一路構想に象徴されるように、共産主義の特徴でもある政治と経済との結びつきを強めています。グローバル市場の覇者が政治的野心に満ちた共産国家というパラドクスに、果たして、民主主義諸国は耐えられるのでしょうか。
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マクロン新大統領就任=仏最年少、初の非大政党系
先日、NHKのBS1スペシャルで、”欲望の民主主義~世界の景色が変わる時~”と題して、フランスの大統領選挙とフランス社会の現状を取材する番組が放送されていました。番組構成については掴みどころのない支離滅裂な感が否めなかったのですが、フランスの混迷は、かのフランス革命が残した後遺症と言えるのかもしれません。
当番組では幾度となくフランスの”建国”に言及していましたが、不思議なことに、NHKの云う”建国”の時期とはフランク王国ではなく、フランス革命を機とした共和国成立時です。そして、著名な識者を登場させながら、革命時に建国の理念として掲げられた”自由、平等、博愛”の堅持こそ、今般のマクロン大統領選出の要因であると共に、この理念を否定したところにルペン氏の敗因があったという論調で番組が進行しているのです。
フランスの歴史的な建国時期は一般的には5世紀のメロヴィング朝フランク王国とするのが適切であり、フランス革命は、体制の転換期として捉えるべきと思われます。実際に、革命後もルイ・フィリップによる王政復古やナポレオン家による二度の帝政もあり、政体が二転三転してようやく第3共和政あたりから共和制が定着したのですから。”建国”をフランス革命に求める見解にも疑問があるのですが、そもそも、当番組は、フランス革命における”自由、平等、博愛”のスローガンが、常に理想とは逆の結果を招いてきた歴史については、短く紹介する程度にしか触れてはおりません。ロベスピエールによる恐怖政治は、フランス国内において人権の尊重どころか反革命勢力に対する大虐殺をもたらし、フランス革命は、暴力と殺戮を正当化する血塗られた革命となりました。加えて、同スローガンに含まれる普遍性は、フランス帝国主義をヨーロッパ大に推し進める口実ともなりました。好都合なことに、フランス革命の理念は、他の諸国にも熱烈な賛同者を獲得することとなり、かのゲーテさえも、当初はフランス革命を絶賛していたのです。”ここから、そしてこの日から、世界史の新しい時代が始まる”として(ヴァルミーの戦におけるフランス革命軍の勝利を祝して…)。
フランス革命戦争は、やがてフランス帝国による征服事業へと転化され、ナポレオン体制の成立が他のヨーロッパ諸国を帝国支配の頸木に繋いだのは無視できない歴史的事実です。普遍的な価値には国境がありませんので、フランス革命の理念は、普遍的価値の下において周辺諸国の支配を許す正当化イデオロギーとして機能したのです。そして、ナポレオン時代にあっては、革命の理念は対外的な膨張主義としてヨーロッパ全土に戦禍をもたらします。
今般、フランスが同理念を再確認し、それをさらに追求するとなりますと、革命の理念は、今度は、外ではなく、内に向かってフランスに禍の渦をもたらさないとも限りません。何故ならば、理念の普遍性には、外に向かっても内に向かっても、境界の概念が存在しないからです。つまり、同理念を徹底すれば、フランスは、自らの国境を全世界の人々に向けて開放せざるを得ないのです。
今日のフランスが”自由、平等、博愛”を高らかに宣言することは、同理念の尊重を条件にするにせよ、EUのみならず、全世界の移民希望者に対して受け入れを表明するに等しいこととなります。マクロン大統領は、選挙期間にあっては多様性の尊重に基づく移民容認政策を公約に掲げておりましたが、果たして今後とも、自らの理想を貫くのでしょうか。フランス革命の理念は、理想と現実の間で人々を引き裂き、自己矛盾との闘いを強い、そして、周囲の人々を巻き込むという意味において、今日に至るまで、フランスとフランス国民を苦しめ続けているように思えるのです。
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北朝鮮、弾道ミサイル発射=新型30分飛行、日本海へ―米、制裁強化呼び掛け
本日、北朝鮮は、国際社会からの自制の要求を無視し、日本海に向けて弾道ミサイルの発射実験を実施するに及びました。アメリカ政府は、大陸間弾道ミサイル(ICBM)ではない、との見解を示していますが、今般の実験は、北朝鮮による”ICBMの開発が完了した”とするメッセージである可能性は極めて高いように思われます。
稲田防衛相の説明によりますと、発射されたミサイルは、高度2000キロメートルまで達し、凡そ800キロメートルの距離を30分間飛行して落下したとされています。高度、飛行距離、並びに、飛行時間から成る僅かな情報に過ぎませんが、仮に、この公表されたデータが事実であるとしますと、北朝鮮は、既に、アメリカ領域をミサイルの射程に入れていることを意味します。何故ならば、高度で表わされた縦方向の推進力を横方向の飛行距離に転換できれば、当ミサイルは、凡そ、アメリカ領域まで届くことになるからです。発射方向がロシア方面であるのは北極上空経由で最短5000キロメートルのアラスカを狙った可能性もあり、自衛隊元幹部の指摘によると、今般の実験では、射程距離は4000キロメートルを軽く越えるそうです。
北朝鮮によるICBMの保有は、日本国にとりましてはアメリカの核の傘の弱体化、あるいは、消滅を意味するとの指摘は以前からあり、この意味において、日本国の安全保障上のリスクが格段に上昇します。アメリカもまた、北朝鮮に対する武力制裁に際しては、自国が核攻撃を受けるリスクを負うため、より慎重な判断を要することでしょう。”戦略的忍耐”や中国の役割への期待感から武力行使を躊躇っているうちに、北朝鮮に対して時間とチャンスを与えてしまったのであり、長年の対北宥和策は完全に裏目に出たのです。
もっとも、今般の実験によって、アメリカが対北武力行使を躊躇うとしますと、このデータ情報は、事実であるのかを疑う必要があります。本事件を報じるニュース記事には、”韓国軍と日本政府によると…”とあり、発表されたミサイルに関するデータが正確であるのか否かは不明です。アメリカ政府が、ICBMではないと述べている背景には、米軍によってデータが確認されていない可能性もないわけではないのです(あるいは既にTHAADによって正確なデータを掴んでいる?)。
仮に、データの正確性が疑わしいとすれば、韓国軍と日本国政府が、何故、”ICBMの実験成功”と判断せざるを得ないデータを公表したのか、その真相を探る必要も生じます。推測としては、(1)何らかのルート、あるいは、通信傍受によって北朝鮮得た情報を鵜呑みにしたまま韓国軍が発表した(北朝鮮の情報操作に騙された…)、(2)親北派の文大統領が北朝鮮に対する米軍の武力行使を阻止するために、韓国軍に偽の情報を公表させた、(3)THAADの配備・運用について韓国世論、並びに、文大統領を納得させるために、韓国軍が独断でデータを捏造した…などがあります。また、日本国政府についても、どこまで情報を正確に掴んだ上で発表したのか、疑わしい点がないわけではありません。
本件については、まずは、北朝鮮のミサイル能力がICBMの保有と言えるレベルにまで達しているのかを見極める必要があります。そして、トランプ大統領は、北朝鮮のICBMの保有は許さないと明言しているのですから、北朝鮮は、さらに”危険な賭け”に出ているようにも見えるのです。真偽は不明なものの、アメリカが同情報を信じて譲歩しなければ、破滅への道が待っているという…。
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【「慰安婦」日韓合意】国連委員会が「慰安婦」日韓合意見直しを勧告 「補償や名誉回復は十分でない」 報告書で両政府に
韓国において慰安婦合意の再交渉を主張してきた文在寅氏が大統領に就任した矢先、国連の拷問禁止委員会からも同合意を見直すよう求める勧告を記した報告書が公表されたそうです。日本国政府は、再交渉には応じない構えですが、この問題、やはり、司法解決でしか最終的な決着を見ることはないように思えます。
日本国内のマスメディアは、日韓合意について、専ら韓国側だけが憤懣やるかたないかのように報じています。しかしながら、日韓合意については、事実関係を明確にしないまま日本国政府が政治的妥協に応じたとして、反発している日本国民も少なくありません。政府は否定しつつも、各国メディアが日本国政府が”性奴隷”を認めたかのように報じたため、むしろ、名誉を傷つけられた日本国民側に不満が鬱積しているとも言えます。
報告書を作成した拷問禁止委員会は、被害者への”補償や名誉回復が不十分”であることを見直しの理由として挙げており、韓国寄りの立場からの勧告であることは確かです。しかしながら、今日の統治システムでは、損害の賠償は司法制度を通して判断されるものであり、証拠に基づく事実認定がその基礎となります(証拠主義)。慰安婦問題の場合には、事業者や軍規違反による犯罪被害者は存在してはいても、当時の日本国政府、並びに、日本軍が、日本国籍を有する日本国民であった朝鮮の女性達を慰安婦として組織的に強制連行した歴史的な事実はありません。慰安婦問題の本質とは、事実の有無が争われているのであり、この問題は、事実認定を抜きにしては解決し得ないのです。補償問題となるならば、当然に個別具体的に被害が確定されねばならず、日本国政府は、むしろ、同委員会の勧告を”渡りに舟”とし、韓国政府に対しては、日韓による再交渉ではなく、司法解決を提案すべきなのです。仮に、かねてより主張していたように、慰安婦問題は疑いの挟む余地のない”事実”であるならば、韓国側も、難色を示すことなく同意することでしょう。拷問禁止委員会も、司法解決こそ、最も適切かつ公平で、正当なる解決手段なのですから、日本国政府の対応を支持せざるを得ないはずです。
同委員会は、被害者への補償や名誉回復が不十分と主張しておりますが、慰安婦問題の実像が明らかになれば、真の被害者が日本国民であることに気が付くことでしょう。冤罪を着せられ、国際社会において名誉を著しく毀損されたのですから。この点、安易な政治的妥協を選択した日本国政府にも責任があるのですから、国連委員会の勧告を名誉回復のチャンスの到来とみなし、司法解決の目指すべきと思うのです。
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なんと、北朝鮮が「一帯一路」サミットに ?!--文在寅効果か?
韓国における文大統領の誕生を手ぐすねを引いて待っていたのは、やはり、中国であったようです。早々にTHAAD配備問題で文政権に圧力をかけると共に、経済面でも、5月14日から北京で開催される「一帯一路」サミットを前にして、北朝鮮を同構想に引き込むべく根回しを活発化させているそうです。今月初め頃から中国は、北朝鮮に対して同会議へ参加を呼びかけ、北朝鮮もこれに応えたというのですから。
一方、現状を見ますと、北朝鮮の核・ミサイル開発問題は解決しておらず、朝鮮半島ではアメリカと北朝鮮との睨みあいが続いています。年内にも長距離弾道ミサイルの発射実験が実施されるとの憶測も流れており、”緊張緩和”とはほど遠い状態にあります。ところが、中国は文政権の誕生を対北政策の転換点と捉えて、堰を切るかのように北朝鮮の取り込みに邁進しています。あたかも、国際的な承認を得たかのように…。
しかしながら、文政権の誕生は、あくまでも韓国の国内選挙の結果であり、日米をはじめ、国際社会全体が北朝鮮に対して宥和策に転じたわけではありません。実際に、北朝鮮に対する制裁強化を定めた安保理決議は今なお有効であり、仮に、中国が、「一帯一路」構想、並びに、AIIBに北朝鮮を参加させるとしますと、その行為は、当然に安保理決議違反となります。公然と対北経済支援の道を開くようなものなのですから。これまで国際社会が努力を積み重ねて構築してきた対北朝鮮経済封鎖網は、中国の”裏切り”によって水泡に帰してしまうのです。
そして、中国による対北制裁緩和は、アメリカの対北政策の基本方針にも逆行します。トランプ政権は、中国に対して”重要な役割”を求め、対北制裁の強化を要求してきたからです。中国が、北朝鮮から核放棄の確約を得ている可能性も否定はできませんが、IAEAや米国などを中心に構成される何らかの国際組織による無条件の全国査察や監視下における核関連施設の確実なる破壊など、検証可能な形での核放棄でなければ意味がないことは、過去の歴史が証明しています。中北間の合意は、両国とも合意順守のモラルに欠くため、何時でも破り捨てることができる”紙切れ”に等しいのです。否、両国は、結託して時間稼ぎを行い、国際社会を欺こうとしている可能性すらあるのです。国際社会が気づいた時には、北朝鮮は、核や弾道弾ミサイルの開発に成功しているということになってしまうのです。
中国は、対北宥和路線への転換によって、国際社会の努力を水泡に帰し、そして、アメリカの期待をも裏切ることとなるのですが、その先には、西はユーラシア大陸、東は太平洋地域へと広がる広大な”中華帝国”を見ているのでしょう。”一帯一路”というネーミングにこそ、現代にあって、世界の中心は中国であり、世界にただ一つの大帝国を建設せんとする同国の野望が込められています。しかし、今般の中国による北朝鮮の取り込みは、各国の政財界、並びに、国際社会の水面下で蠢いていた様々な勢力の動きをも表面化させる切っ掛けとなるのではないかと思うのです。
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新首相に知日派指名=早期の体制作り目指す―韓国新大統領
政治の世界では、安全保障上の危機の到来は、選挙に際して保守政党に有利に働くとされています。いわば、”有事の保守”が常識化していたのですが、今般、韓国では、敵国への宥和を説く候補者が大統領選挙に当選し、これまでの常識を覆しています。それでは、何故、韓国国民は、親北派の文在寅氏を選択したのでしょうか。韓国の大統領選挙が常識に反する結果となった背景には、幾つかの要因が推測されます。
第1の要因として推測されるのは、積極的に親北派の候補者を支持したというよりも、中国との関係改善が主たる目的であった可能性です。今般、北朝鮮の核の脅威は、アメリカによるTHAADの韓国配備を実現させています。この結果、朴前政権が進めてきた中国との友好関係は御破算となり、中国からあからさまな”懲罰的措置”を受ける事態となりました。文氏を当選させ、北朝鮮との関係が改善されれば、THAADの撤廃への道も開け、対中改善も元に戻すことができると考えたかもしれないのです。もっとも、この路線が、同盟国であるアメリカとの関係悪化を招くことは言うまでもないことです。
第2の要因は、韓国の歴史的行動パターンです。しばしば、韓国政府、及び、韓国人の行動様式として”事大主義”という言葉が使われますが、”事大主義”とは、強者に靡く傾向を意味しています。北朝鮮の核・ミサイル開発を目の当たりにした韓国国民は、”事大主義”的な感覚から、北朝鮮を寄るべき”強者”と見なした可能性も否定はできません。
第3の要因は、民族主義です。朝鮮戦争の記憶が薄れている今日、韓国で実施された世論調査の結果によれば、北朝鮮よりも日本国を脅威と感じているとする回答が多数を占めています。親北反日の文大統領のスタンスは、韓国民に、南北朝鮮を反日で結束させることを選ばせたかもしれないのです(反日の観点からすれば、韓国にとって北朝鮮の核保有は軍事力の面でプラス要素となる…)。自由、民主主義、法の支配といった価値の共有、あるいは、国際法秩序の維持よりも、韓国の人々にとっては、民族的紐帯の方が優先事項なのでしょう。
第4の要因は、北朝鮮、あるいは、中国による誘導や煽動の影響です。韓国の選挙を見て驚かされることは、オウム真理党の如く、候補者の周りで運動員のチームがダンスを踊っている光景です。その周りに熱狂的な支持者が集まって”黄色い声援”を送っているのですが、こうした手法は、韓国の国民性を見抜いたプロパガンダのプロによるものと推測されます。”文氏人気”も、北朝鮮系、あるいは、中国系の工作員や活動団体による派手な演出によって煽られた可能性も高く、敗北した親米派の候補者が、地味な実務家タイプであるのとは対照的です。
そして、IMF主導による改革以来、韓国経済において”新自由主義政策”が徹底された結果、財閥支配の強化と貧富の格差が拡大し、若年層の失業率が上昇したことも、第5の要因として挙げることができます。”ヘル韓国”と称されるように韓国の社会状況は苛烈であり、閉塞感と絶望感に苛まされている”敗者”の若年層が、変革を求めて文候補に投票したとする分析もあります。
あるいは、純粋に戦争をしたくないという一念であり、精神的には、既に北朝鮮の軍門に下っているのかもしれません(財閥系や国際新自由主義勢力も、戦争による投資リスクを考慮し、密かに文候補を支持した可能性もある…)。戦争となるよりは、独裁体制の下で生き延びる方がまし、とする諦念が韓国国民に蔓延しているとしますと、朝鮮半島の赤化はあり得るシナリオとなりましょう。
今般の韓国国民の選択はこれらの要因が複雑に絡まった複合的現象ですし、そもそも、フランス大統領選挙のように最後は決戦投票となる二回選挙制ではありませんので、文大統領の得票率は50%を下回っています。そうであるからこそ、今後、文大統領当選に貢献した要因の一つにでも期待外れがあれば、政権基盤が大きく揺らぐ可能性もあるのではないかと思うのです。
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文氏、韓国大統領に就任…「条件整えば平壌へ」
5月9日に韓国で実施された大統領選挙は、親北派で知られる「共に民主党」の文在寅氏が当選しました。国会での就任宣誓の演説で、大統領は、早々に北朝鮮問題の話し合い解決を訴えたそうです。かつての”太陽政策”への回帰として理解されますが、この問題、対北宥和政策への転換によって解決するのでしょうか。今日の時代状況が、同政策を遂行した金大中政権、及び、盧武鉉政権の両政権期とは著しく異なっている現実を考慮しますと、今後、文大統領の思惑通りに事態が展開するとは思えません。
その理由は、第1に、北朝鮮の核・ミサイル問題は、朝鮮半島の統一をめぐる南北二国間の問題の枠を越えていることです。北朝鮮問題は、停戦状態にある朝鮮戦争の延長線上にあるため、南北対立と核・ミサイル開発は一体化した問題として見なされがちです。しかしながら、後者の問題は、国際法秩序の領域にあるため、南北二国間での解決は許されません。たとえ、韓国の文大統領が、自らの一存で北朝鮮の核保有や長距離弾道ミサイル等の保有を認めようとも、北朝鮮の核が現実的脅威となっている日米を含む国際社会は、南北両国の合意を決して承認しないことでしょう。
第2の理由は、現在の北朝鮮問題の遠因こそ、過去の”太陽政策”の失敗にあるからです。太陽政策とは、”北風と太陽”というイソップ童話から着想を得た政策であり、「北朝鮮の頑な態度を改めさせるためには、圧力ではなく温情が必要であるとするものであり、軍事力で統一するよりも人道援助、経済援助、文化交流、観光事業を深めることで将来の南北朝鮮統一を図ろうとする外交政策」と説明されています。この路線を歩んだ結果、北朝鮮は、より高レベルの核・ミサイル開発を進める経済、並びに、技術的基盤を獲得することとなりました。この点、アメリカも二度にわたり北朝鮮に手玉に取られていますので、三度目の失敗が許されないのは韓国も同じです。
第3の理由は、北朝鮮を取り巻く周辺諸国の動きも、過去の太陽政策時代から変化していることです。アメリカは、武力行使も辞さない構えて北朝鮮に核の放棄を迫っており、文大統領との足並みは揃っていません。上述した第1の理由から、アメリカは、この問題を朝鮮戦争とは切り離し、単独で軍事行動を起こす可能性も否定はできないのです。また、中国の北朝鮮に対する態度も、過去と比較して遥かに硬化している一方で、ロシアは、北朝鮮に最接近する気配を見せています。そして、北朝鮮の核の脅威に晒されている日本国政府、並びに、日本国民も、文大統領の宥和政策には強く反対することでしょう。北朝鮮は、南北合意で韓国を攻撃対象から外す一方で、日本国のみは、核攻撃の標的となり続けるかもしれないのですから。
同演説で文大統領は”条件が整えば平壌へ”とも述べたとされていますが、この言い回しは、トランプ大統領の発言を意識したものと推測されます。”条件”とは、北朝鮮が検証可能な形での完全なる核放棄に合意することなのでしょう。北朝鮮高官が米側と非公式に接触を図ったとする報道もあります。しかしながら、”条件が整わない段階”で、文大統領が三度目の太陽政策に舵を切るとしますと、韓国は、安保理の対北制裁決議に反するのですから、国際社会から厳しい批判を受けることは避けられないと思うのです。
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マクロン氏、風頼みの船出 仏総選挙が基盤安定の試金石
今般のフランス大統領選挙は、フランス国内の分裂の深刻さを浮き彫りにしたとも評されております。これを裏付けるかのように、当選を決めたばかりのマクロン氏は、パリ市内おいて”マクロン辞めろ”の大規模デモに見舞われたと報じられています。
選挙期間を通じて深まった国内分裂を前にして、マクロン政権の重要課題は、フランスに和解と連帯、即ち、統合をもたらすことにあると指摘されております。しかしながら、氏が心酔する’中道’という名の新自由主義に対して統合力を期待することには無理があります。何故ならば、新自由主義とは、国家を消滅させることによって、はじめてその理想を実現することができるからです。新自由主義者は、全世界を一つの自由なグローバル市場と見なし、国境という障壁に阻まれることなく自らの事業を最適に分散化、かつ、もの、サービス、資本、人、技術、情報など自由に移動させることで、自らの利益を最大化することを目指します。新自由主義の方針に従えば、マクロン氏の唱えた”競争力の強化”は、以下の結果を招くことが予測されます。
第1に、フランスが、労働コストにおける国際競争力を回復するには、賃金レベルの低下をはかるか、安価な移民労働力を受け入れるしかありません。先進国における競争力の回復とは、即ち、国民の生活レベルの低下と移民の増加と同義となるのです。また、事業の最適分散の原則に従えば、大量失業を伴う製造拠点の移転も、民間企業に対して奨励すべき政策となります。
第2に、新自由主義者は、民間企業に対して新たな成長産業分野への投資を促します。しかしながら、新自由主義者の理想が、国籍を問わない徹底した能力主義と多様性の尊重である限り、グローバル企業に雇用される人材とは、何れにしても外国人が多数を占めることになります。一般のフランス国民の雇用のチャンスは、減少こそすれ、増加するとは思えないのです。
第1に関連して第3に、新自由主義者が利益を得ている事業の一つは、”移民ビジネス”や”企業合併ビジネス”です。日本国における新自由主義の代表格である竹中平蔵氏がパソナの会長であるのは偶然ではありませんし、国境を越えた企業合併や買収の増加は、多国籍企業が増加すると共に、資金を提供する金融部門にとりましても利益を得るチャンスとなるのです。
第4に、グローバルな競争において敗者となった人々への対応をめぐりましては、政府が、失業者に対して手厚い職業訓練等を実施し、成長産業への人材シフトを促すとされていますが、そもそも、雇用側の企業は、外国人や移民を優先的に雇用する方針を採っておりますので、新旧産業の間に勤務内容において著しいギャップがある場合には、このギャップを埋めるのは至難の業です。工場で組み立て作業を行っていた勤労者が、工場閉鎖によって職を失った場合、たとえ一定期間の職業訓練を受けたとしても、人材が不足気味とされているAI産業の技術開発部門において職が見つかるとも思えません。
第5に指摘し得ることは、公益事業の民営化もまた、新自由主義政策の基本路線であることです。マクロン氏は、貧困対策の財源として5年間で12万人の公務員削減を主張していますが、おそらく、民営化にともなっての人員削減を実行に移すと予測されます。民営化されれば、当然に、効率性重視の大規模なリストラが実施され、全土に失業者が溢れることでしょう。しかも、民間企業ともなれば、もはや公務員ではありませんので、被雇用者をフランス国籍に限定する義務もなくなります。
以上に主要な点を挙げてみましたが、何れもが、統合とは正反対の方向性を示しています。新自由主義政策は、”移動”や”格差”を利益の源泉としているため、国家や国民に対して強力な分解力として働くのです。このように考えますと、新自由主義者に統合力を期待することは、不可能に近いのではないかと思うのです。
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独首相、EU結束支持姿勢を評価=仏大統領選
5月7日に実施されたフランス大統領選挙の決選投票において、結局、国際新自由主義陣営が推すマクロン氏が大統領に選出される運びとなりました。それでは、何故、ルペン氏は敗北したのでしょうか。今般の選挙では、マクロン氏が国民からの熱狂的な支持を受けて勝ったというよりも、ルペン氏が勝てなかったといった方が適切であるかもしれません。
ルペン氏自身は国民戦線の保守政党化を目指しながら、マスメディアが、”極右”のレッテルを決して外さなかったことも然ることながら、同氏の公約には、フランスの一般的な保守主義者には受け入れがたい政策がありました。’保守’の定義の問題はありますが、特に安全保障において親ロシア路線を掲げており、NATOや独仏和解の象徴としてのEUを重視してきた従来のフランス外交とは、一線を画するものでした。過去において、18世紀の外交革命以降のフランスは(七年戦争における仏墺露の対普連合…)、ドイツ勢力を牽制するためにロシアと結ぶ傾向にはあったのですが、ルペン氏が示したフランス外交の基本路線の転換は、戦後の一般の保守層にとりましては、ハードルが高かったと言わざるを得ないのです。
なお、ロシア関係においては、ルペン氏には、始終、プーチン大統領の影が見え隠れしていました。真偽のほどは分かりませんが、選挙に際してロシアからの支援を受けている、あるいは、ロシアが、マクロン陣営にサイバー攻撃を仕掛けているといったネット上に流布された情報は、同氏に対するぬぐい難い不信感をもたらし、ルペン陣営にマイナスに働いたことでしょう。
また、ルペン氏は、国民投票を約しながらも、’EU離脱’というハードランディングを唱えるに終始した頑迷さも、保守層一般からの支持を集めることができなかった一つの要因と考えられます。思慮深いフランス・ファーストの保守政治家であれば、まずは、EUに対して、”人の移動の自由”や”設立の自由”(サービスの自由に含まれ、製造拠点の国境を越えた移転を意味する…)といった原則の見直しを求めたり、国境管理に関する主権を取り戻すといった、内なる改革案を提示したはずです(EUの主要メンバーである強みを活かした条件闘争…)。加えて、ユーロ圏離脱後のフランス・フランの地位についても、英ポンドの地位に類することになる訳ですから、具体的なプロセスや詳細を説明していれば、それ程、国民に動揺や不安感を与えずに済んだかもしれません。
仮に、イギリスの保守党のように、親NATO、国民ファースト、及び、EUに対して国境管理権や通貨権限といった主権的権限の保持を訴える”保守”の政治家がフランスに存在したならば、マクロン氏に敗れることはなかったのではないでしょうか。新自由主義への反対から保守層への支持を広げつつもマクロン氏に敗れたのは、ルペン氏が”保守”になりきれなかったとろこにあるのではないかと思うのです。
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【仏大統領選】「極右怖い」「テロ心配」 棄権・白票も…有権者どう決断
本日、第二回目の大統領選挙の投票日を迎え、フランスでは、国民が難しい選択を迫られています。一方、日本国では、選択に窮するフランス国民以上に選択肢がない状況に国民は置かれています。
日本国において、一般的に保守層を代表するとされる政党は自由民主党です。昨年頃から、先進各国の選挙は、凡そ保守対新自由主義の対立構図に移行してきております。それもそのはず、新自由主義政策によって最もマイナスの影響を受けるのは先進国の中間層であり、民主的選挙を実施すれば、一般国民の不満を集めた側が当然に勝利する確率が高くなります。今般のフランス大統領選挙の場合には、新自由主義のマクロン氏が優勢と伝わり、また、積極的な棄権を表明する有権者の動きもあるそうですが、それでも、国民には、保守か、新自由主義か、の選択肢が残されているのです。
ところが、自民党を見ますと、世界的な潮流が保守対新自由主義にあるにも拘わらず、両者が一つの政党に同居しています。政府の産業競争力会議(現未来投資会議)等の主要メンバーは、竹中平蔵氏をはじめ、新自由主義者で固められておりますし、自民党議員の中には、生粋の新自由主義者もおります。党内主流派ではないものの、マスコミが人気を煽り、国際新自由主義勢力をバックとして首相の座に上り詰めた小泉純一郎氏やその後釜のポジションにいる小泉進次郎氏が、さながら日本国のマクロン氏なのかもしれません。
そしてその一方で、反新自由主義の世論を背景にルペン氏が積極的に保守政党化を図ったのとは違い、自民党内では、韓国系、あるいは、北朝鮮系の”極右”人脈も抱え込んでいます。森友学園事件はおそらくその氷山の一角であり、日本国政府が北朝鮮に対して徹底した制裁を実施できないのも、こうした人脈の影響が疑われております。中国派としては二階幹事長もおり、自民党は、必ずしも”日本ファースト”でもないのです。
自民党は”一強”と称されながら、その実像はあたかも”鵺”であり、自民党に投票しても、新自由主義勢力や外国の利益がファーストになりますので、国民一般の利益は蔑にされかねません。その一方で、野党もまた、新自由主義者か、外国のエージエントが疑われる政治家ばかりです。朝鮮半島寄りであった舛添前知事を批判し、”都民ファースト”を掲げて都知事に就任した小池氏も、創価学会との接近で”保守”から遠のいております。解決策の一つは、自民党内の保守系を中心とした新党、あるいは、既存の政党から距離を置いた有志の日本国民による新党の結成なのでしょうが、明確な政治的選択肢を確保することが、今日の日本国において急がれる政治の重要課題であると思うのです。
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【仏大統領選】オバマ氏がマクロン候補にエール「フランス万歳」
明日、5月7日に第二回目の大統領選挙の投票日を控え、フランスでは、両陣営による白熱する舌戦が続いています。こうした中、前米大統領のオバマ氏がマクロン陣営に”参戦”し、他国の内政への関与として批判の声も上がっているようです。
しかしながら、国境を越えたオバマ前大統領のマクロン陣営支持ほど、今日の世界を取り巻く政治状況を象徴しているものはありません。何故ならば、今日のリベラルとは、国境を越えた広がりを持ち、グローバリズムの名の下で世界経済の掌握を目指す新自由主義勢力を意味しているからです。マスメディア等は、マクロン氏については”中道”と表現し、一方のルペン氏については”極右”とのレッテルを張っています。これらの表現は政治的対立の実像を誤魔化しており、マクロン氏の政策を見れば狂信的とも言えるほどの新自由主義者であるのは一目瞭然です。にも拘らず、マスメディアは、氏のイメージを和らげるために敢えて”中道政治家”というマスクを被せ、冷淡な新自由主義者としての顔を隠そうとしているのです。
その一方で、ルペン氏については、”極右”というマイナスイメージを植え付け、ルペン氏、並びに、同氏への支持者を危険な人々と見なす社会的風潮を演出しようとしています。フランスにおける極右に対するマイナス・イメージは、第二次世界大戦におけるドイツ占領下にあってナチスに協力した者、即ち、”売国奴”のイメージと結びついている面があります。ところが、今日、ルペン氏の支持が伸びた背景には、こうしたフランスにおける極右の歴史的位置づけとは異なる、別の要因があるように思えます。その要因とは、第二次世界大戦における”対ドイツ協力者”が再び出現したのではなく、ナチス台頭期のドイツの国内状況が現在のフランスの状況と類似しているということです。
第一次世界大戦の敗北に莫大な賠償金を課されたことにより、ドイツ人の経済的苦境は甚だしく、国民は、八方塞の状況に置かれました。その一方で、先祖代々受け継がれてきたドイツ人の資産の多くは、戦時にあって財を成した富裕なユダヤ人等の手に渡ったそうです。こうした格差拡大と貧困化に対する当事のドイツ人一般の不満は、現在のフランスの一般国民と共通しております。しかしながら、フランスのナチス協力者ともドイツのナチスとも違う点は、今日のフランス人の経済的苦境は、”ユダヤ人”という特定の民族集団による経済的支配と言うよりも、弱肉強食を容認するリベラルな新自由主義の世界大での跋扈に起因している点です。もちろん、新自由主義勢力にはユダヤ人も多く含まれていることでしょうから、一見すれば、ルペン氏の移民反対はナチスの反ユダヤ主義と重なって見えますが、フランス国民一般からすれば、移民問題は、フランス文化の喪失、フランス人のマイノリティー化、テロの脅威、失業問題等に鑑みて切実な問題であるのです。
そして、今日の新自由主義者と第一次世界大戦後のドイツの富裕なユダヤ人とは、一般国民を置き去りにして財を成しているという点において共通していると言えるかもしれません。もっとも、相違点としては、今日の新自由主義者は、’世界市民的な観点’や’人道的な観点’という仮面を被りながら、移民を積極的に擁護してる点が挙げられます。究極まで合理性を追求し、移民労働力を利用することで自らの利益を最大化し、併せて諸国民の破壊による世界支配を目指して…。
今日のマス・メディアは、新自由主義に反対する勢力に対しては有無も言わさず”極右”のレッテルを張り、ナチスと同一視させようとしています。ルペン氏の移民反対も、ナチスのユダヤ人迫害との連想を以って反対者に”極右”のレッテル張るには格好の口実です。しかしながら、反対者の主張とは、容赦なく弱者に牙を剥く新自由主義者から国民を保護し、国民一般の利益を図ろうとするところにあるのですから、むしろ、国家や国民を大事にするという点において、”保守”と表現した方が適切かもしれません(もっとも、ルペン氏陣営が何らかの勢力の傀儡でないとすれば…)。保守対新自由主義の対立は、ナショナリスト対グローバリスト、国民対世界市民、あるいは、国家対市場など、様々な表現があり得るのでしょうが、何れであれ、両者の相克は、今日、あらゆる国家を舞台に政治的対立軸として浮上してきているように思えるのでです。
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日中韓の財務相「あらゆる保護主義に対抗」、共同声明に明記
アジア開発銀行の年次総会の開催に合わせて、日中韓の三カ国は、毎年、財務相・中央銀行総裁会議を開催しているようです。今年の共同声明では、アメリカのトランプ政権に対する牽制を意図してか、”あらゆる保護主義に対抗”とする文言が明記されました。しかしながら、この宣言、欺瞞に満ちているとしか言いようがないのです。
TPP交渉が難航したように、通商交渉には、常に国益と国益との鬩ぎあいがあります。ポジティヴ・サムの相互利益を主張したリカード流の自由貿易理論の成立条件は極めて狭く、実際には、劣位産業の淘汰というマイナス効果が伴います。しかも、今日の自由貿易、否、グローバル化政策には、賃金水準等の国家間の格差に伴う企業や勤労者の移動により、政治・社会分野にまで甚大な影響が及ぶという謂わば’副作用’があるのです。このため、無条件に自由貿易主義の原則を実行し、関税障壁、並びに、非完全障壁を完全撤廃する国は殆どなく、唯一これを実行したEUでも、ソブリン危機のみならず、移民問題なども発生し、政治問題とも化し、離脱問題が生じてきたのです。
一方、今般の会議では、政治的には対立する日中韓の三カ国が経済分野では反保護主義で一致し、対米共同戦線で足並みを揃えた格好となりましたが、三カ国とも、その実、通商政策において保護主義を採用しているのが現実です。日本国は、WTOの交渉枠組みのみならず、あらゆる通商交渉の舞台でコメの高い関税率等を死守しており、農業分野においては最も高いレベルの保護主義を貫いてきた国です。中国は、資本や人民元の為替取引など、様々な分野で国境規制を残しており、他国には市場開放を求める一方で自国の市場は保護するダブル・スタンダードに批判が集まっています。また、保護主義を掲げて当選したトランプ政権発足直後には、”グローバリズムの旗手”を自認しながら、習主席は、トランプ大統領との米中首脳会談で「100日計画」を約し、あっさりと旗手の座から降りてしまいました。韓国はと言いますと、FTAをアメリカやEU等と締結したものの、次期大統領選挙では、革新系最大野党「共に民主党」の文在寅氏が独走状態とされており、自由貿易協定の締結は、一部の財閥系企業を潤すことはあっても、所得格差を広げ、雇用の不安定化をもたらしたため、一般の国民の経済的不満が高まっているようです。
自由貿易主義か保護貿易主義かの二分法は既に意味を失っており、徒に反保護貿易主義を掲げることは、自らの首を自らの手で絞めるようなものです。それとも、国内においてマイナス影響を受ける産業や国民の懸念については無視を決め込んでいるとしますと、日中韓の三カ国の財務相・中央銀行総裁は、揃いも揃って”行き過ぎたグローバリズム”を良しとする国際的な新自由主義勢力の手駒であり、この勢力が書いた台本を読んでいるに過ぎないのでしょうか。
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新元号、4案から選定…改元手続き「平成」踏襲
天皇譲位(退位)問題に伴い、政府は、改元については昭和天皇崩御時の手続きを踏襲する方針のようです。天皇の代替わりと改元とを一致させる、すなわち、天皇の在位期間にあわせて天皇の諡号をもって元号として年を数える紀年法は、明治以降に制度化されていますので、これを機に、本来、改元のあり方をも議論すべきなのでしょうが、本日の記事では、平成という元号の問題について考えてみたいと思います。
改元の手続きとは、然るべき学者に委託し、提出された元号案の中から適切な元号を選ぶというものです。元号とは、645年の大化の改新に際して唐の制度を模して導入されたため、選定される”然るべき学者”とは、国学者ではなく東洋史、特に中国古典に通じた識者です。平成の元号の名付け親は東洋史家の山本達郎とされていますが、氏は東南アジア史が専門ですので、陽明学者であった故安岡正篤氏が過去に提示した案を山本氏が再提出したとする説にも信憑性がないわけではありません。何れにしても、平成という元号は、他の二人の学者の案が提案した”修文”並びに”正化”が、共にローマ字表記では昭和と同じ頭文字がSとなるため、凡そ自動的に決定されてしまったそうです。
平成という元号については国民からそれ程には歓迎されたわけではなく、悪い予感を感じるとする意見も少なくありませんでした。何故ならば、過去の元号からしますと、”平”の文字が入る元号の時には、藤原広嗣の乱(天平)、平の将門の乱(承平)、新羅の賊の襲来(寛平)、平治の乱など、内乱等の国家的危機が起きるてきたからです。このため、縁起を担いでか、南北朝時代の南朝方の元号である正平(1350~1358年)以来、”平”の文字の使用は避けられてきたのです。
そして、もう一つ、この元号が日本国民に胸騒ぎを覚えさせるのは、北朝鮮風味があることです。”平”とは、北朝鮮の首都名である平壌にもありますし、”成”の文字は、同国の建国の父とされる金日成を連想させます。単なる偶然なのかもしれませんが、”平”を元号に用いないとする慣例を破って、何故、北朝鮮と関連するこの二つの文字を敢えて選んだのか、不思議でならないのです。誰も口にはしないものの、気が付いている国民も少なくなかったはずです。
そこで、平成と北朝鮮との関連性を探ってみますと、幾つかの接点があるようです。安岡正篤氏については大阪府出身とされながら、少なくともネット上では、両親の名や職業といった出自に関する情報は皆無です。晩年、婚約を交わしていたとされる占い師の細木数子氏についても、土佐の名家の出とされながら、何故か、賠償金の支払いや米支援の実施など、過去に北朝鮮寄りの発言をして批判を受けています。霊感商法まがいの行為も、どこか、朝鮮半島系のカルト教団との関連を推測させます。安岡氏を師と仰いだ政治家には、故吉田茂氏、故佐藤栄作氏、故福田赳夫氏、並びに、中曽根康弘氏といった錚々たる人物の名も挙がっていますが、朝鮮半島出身との指摘がある小和田恆氏も弟子とされているのです。
平成とは、果たして、北朝鮮に因んだ元号であったのでしょうか。山本達郎氏についても、創価学会の池田大作氏のペンネームが山本伸一郎、後に山本伸一であり、苗字が一致するところも気にかかるところです。何らかの勢力によって元号にマーキングされるリスクを考慮しますと、改元の手続き、並びに、元号そのもののあり方については、国民と共によりオープンに議論すべきなのではないでしょうか。
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憲法草案に「いいじゃないか」 昭和天皇の発言、メモに
ここ数年、現行日本国憲法はアメリカから押し付けられた憲法とする批判を封じるために、憲法制定過程における日本人の関与が強調されるようになりました。4月30日の晩にNHKが放送した「憲法70年”平和国家”はこうした生まれた」も、その一環であるようです。
”平和憲法日本人発案論”が取り沙汰されている背景には、中国の軍拡や北朝鮮の核・ミサイル問題等があることは容易に推測されます。”軍靴の音”は周辺諸国から聞こえてきており、日本国は、真剣に自国の防衛を強化するために、憲法第9条の改正も視野に入っているからです。そこで、NHK等の憲法改正に反対する左派勢力は、右派が主張してきた”押し付けられた憲法論”を論駁することで、憲法改正を阻止しようとしているのでしょう。しかしながら、近年に発見された憲法制定過程に関する新資料等を読みますと、”平和憲法日本人発案論”は、むしろ、改憲の根拠となるのではないかと思うのです。
第1に、昭和26(1951)年2月下旬に憲法制定過程にあって首相を務めた幣原喜重郎氏から聴取したとする元衆議院議員平野三郎氏の手記によると、戦争放棄のアイディアは、全く以って幣原氏個人の頭の中に浮かんだものであって、それをGHQのマッカーサー元帥に伝え、両者が共鳴したことで実現したとされています。しかしながら、幣原氏が説明した論理的根拠は、今日、既に崩壊している部分が少なくありません。否、当時でさえ、幣原氏は、世界平和の為に敗戦国である日本国が、敢えて”素晴らしい狂人”となる役割を買って出るべきと述べているのです。しかしながら、北朝鮮という”凶暴な狂人”が出現している今日、”素晴らしい狂人”という理想は、現実の’凶暴な狂人’の暴力で踏みつぶされる可能性があります。
第2に、幣原氏の戦争法規に至る論理構成は概略化すれば、原子爆弾による人類滅亡の危機、軍事力の無意味化、世界のすべての諸国による軍事力の放棄、世界政府の設立、非武装化された日本国の安全というものです。一方、今日、北朝鮮は、核戦争を仕掛けることで人類を道連れにしかねず、核兵器の存在は、必ずしも、全世界の軍事力の放棄へと向かっていないのが現実です。また、国連安保理の常任理事国5か国においても分裂が見られ、世界政府とは程遠い現状にあっては、自国の兵士の命を以ってして日本国を防衛してくれるような親切な組織も国もありません。
第3に、幣原氏自身は、たとえ世界政府が実現したとしても、警察力は必要であると述べています。中国や北朝鮮といった無法国家の存在を鑑みれば、今日ほど、警察力としての武力の行使が必要とされている時代はありません。NHKの番組では、改正過程において外務省が国際秩序や国際法の遵守に関する加筆を求めたされていますが、憲法第9条は、国連が機能し、国際法が順守される状態の実現を前提としているのです。
そして第4に、NHKは、日本社会党の鈴木義男議員を平和憲法の立役者として紹介していましたが、同議員の思想的背景を考慮しますと、憲法制定のプロセスにはソ連邦等の共産主義勢力の影響も伺えます。同議員の孫にあたる油井大三郎氏も番組内に登場していますが、同氏は、朝戦争における北朝鮮寄りの発言でも知られており、アメリカから”押し付けられた憲法”を否定しようとして、逆に、日本国憲法の内容をめぐる共産主義勢力の介在を浮かび上がらせております。
以上に述べてきましたように、”奴隷の平和”を実現したい左派勢力が喧伝する”平和憲法日本人発案論”は、むしろ、日本国憲法の改正に根拠を与えております。幣原氏は、天皇制の維持とセットで戦争の放棄をマッカーサー元帥に進言したそうですが、どちらにつきましても、今後のあり方について原点に帰って真剣に考えるべき時期に差し掛かっているのかもしれません。
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「皇室」のニュース
天皇とは、古来、日本国民の崇敬を集めてきた神聖なる存在であり、今日でも、神話の世界に連なる皇室を怖れ多いと畏まる国民も少なくありません。それ故に、こうしたタイトルの記事を書くことはいささか気が引けるのですが、書くリスクと書かないリスクを比較した場合に後者の方が優ると考え、本日は、敢えて、皇室が劇場であった可能性について問題を提起したいと思います。
東宮家の”愛子さん”については、国民の多数が既に薄々、複数の女の子が入れ替わり立ち代わり”愛子さん”を務めていることに気が付いております。写真を見比べてみれば一目瞭然であり、既に幼少の頃から”替え玉”が指摘されておりました。最近になりまして、美智子皇后にも同様の疑惑があることを知り驚愕したのですが、皇室とは、何者かが設けた日本国をコントロールするための”劇場”であると仮定しますと、こうした”入れ替え”は、シナリオの変更によるキャストの交代として理解できます。
美智子皇后は、初めての平民出身の皇太子妃として国民の期待を一身に受け、新興財閥であった正田家から入内しております。豊かで教養に溢れる家庭で育った、美しく聡明な良家のお嬢様という設定は、その後、長らく皇太子妃のイメージとなりました。この入内には、旧GHQの強い働きかけがあったともされているものの、皇太子夫妻の御成婚パレードは、高度成長時代の入り口にあって、自由で民主的な資本主義国家として再出発した戦後日本を象徴する歴史の一場面となったのです。
ところで、御成婚の丁度同じ年に、もう一人の”美智子さん”が注目を集めたことは、今日では、殆ど忘れられています。その”美智子さん”とは、樺美智子という名の東大の女子大生であり、共産党員として安保闘争のデモに参加し、機動隊との衝突で命を落としています。美智子皇后の御印が白樺ですので、何か因縁めいたものを感じるのですが、この時期、資本主義と共産主義という正反対の立場にある2人の”美智子さん”は、運命においても正反対の人生を歩みました。一人はこの世にあっての雲上ともされる皇室へ、そして、もう一人はこの世から消え去ったのです。
しかしながら、東西冷戦が終焉し、中国やこれを後ろ盾とする北朝鮮等の共産主義国家、並びに、韓国等の台頭が顕著となると、美智子皇后については、左翼的な言動が指摘される場面が増えるようになります。樺美智子さんの存在を知った瞬間、直感的に二人の美智子さんが入れ替わったように感じたのは、美智子皇后の行動が、革命を是とした樺美智子さんの行動的な生き方と重なったからなのかも知れません。富裕な経済人の家に育ったとされながらも、美智子皇后と親しいとされる知識人には、旧社民党や共産党系のリベラルな左翼活動家の人も少なくないとされています。
時代の変化に呼応するかのように、皇室のメンバーの人格や人柄までもが激変してしまうのは、容姿こそは整形手術島で似せてはいるものの、思想や性格の異なる複数の人物が、”皇太子妃役”、”皇后役”、あるいは、”内親王役”を務めているからなのかもしれません。左翼思想の強い現在の美智子皇后は、”親左翼の皇后”という役柄に適任であったからなのでしょう。別人説は、配役の交代から説明できるのであり、美智子皇后が数十年をかけて配役の交代を内密に進めたとしますと、”愛子さん”は、僅か数か月で配役を替えたため、国民の知るところとなったということもできます。
果たして、皇室とは、何者かが書いたシナリオに基づくお芝居の舞台であったのでしょうか(シナリオライターは一人なのか、複数なのか…)。仮にそうであるとしますと、この劇の舞台は日本国を越えて世界大に広がり、時代設定もまた、現代に留まらず、近世以前にさえ遡る可能性があります。今日の皇室劇とは、壮大なる世界支配劇場の、そのほんの一幕に過ぎないかもしれないのです。
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