万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

伝統的天皇位の継承は現皇室の血脈維持ではないのでは?

2017年05月25日 13時52分50秒 | 日本政治
 皇室をめぐっては、昨年8月8日の今上天皇による”お気持ち表明”以来、水面下に隠れていた諸問題が一気に表に湧き上がってきた感があります。政治サイドでは、民進党が女性宮家の創設を要求していますが、秋篠宮家の”慶事”の報は、むしろ、皇室の存続意義について疑問を投げかける事態に至っているようです。

 民進党は、”是非、女性宮家を創設してほしい”とする、国民多数からの強い要望を受けて、女性宮家の創設を主張しているわけではありません。周囲を見渡しても切望する声は聞こえず、おそらく、現皇室のメンバーの要請を受けての動きと推測されます。女性宮家の創設とは、一部の勢力の”希望”であり、その背景には、’皇統’の交代や利権の拡大等を目的とした何らかの意図があるのでしょう。

 現皇室のメンバー減少を理由に女性宮家の創設を訴える勢力は、その根拠として、日本国民の大半が皇室の継承を望んでいることを挙げています。神武天皇の即位以来、日本国は、二千年以上の長きにわたって天皇を維持してきたのですから、日本国民は、天皇のおわす日本国を極自然な感情で受け入れています。しかしながら、国民が継承を望んでいるのは、瓊瓊杵尊の子孫として正真正銘の皇統を嗣いでいる天皇、あるいは、国民を代表して天神地祇に祈る祭祀を司る天皇の役割であって、既に別の血筋に変わっている可能性が極めて高い現皇室の血脈の維持ではないはずです。否、現皇室の血脈を女性宮家や女系天皇を実現してまで維持するとなりますと、正真正銘の皇統や伝統的な天皇の役割は、日本国から消えてしまうことになります。

 このように考えますと、伝統的な天皇位の継承こそ第一とすべきであり、明治以来、海外勢力の傀儡化問題を含めて様々な問題を抱え込んでしまった現皇室の血脈の維持には大いに疑問があります。江戸時代に遡る皇統の血脈に戻すのも、こうした忌々しき”しがらみ”や皇室の私物化から天皇位を守るために検討すべき一つの方法となりましょう。旧宮家の復活を唱える方々もおられますが、公家の中でも親王家を祖とする源氏系であれば、男系で皇統を継いでおりますので、天皇位継承資格者の候補に加えることができ、選択の幅はさらに広がります。候補者が多数いれば、新たに宮家を創設する必要もなくなります。これらの候補者に対しては、独立的な機関によって血統、人品、素行等について厳正なる調査を実施し、天皇に相応しい方を選ぶことができれば、日本国民の多くも現皇室が抱えているリスクから解放され、安心することでしょう。

 国家祭祀の長としての天皇位であれば、必ずしも憲法の第一条に置く必要はありませんし、現行の日本国憲法に見られるような立憲君主制の形骸としての国事行為を残す必要もありません。天皇の役割が祭祀に特化されれば、宮内庁の役割も宮中祭祀や朝廷の伝統文化の継承、皇室財産の徹底した保護・管理、御陵の維持等に縮小されますので、国民の財政負担も格段に軽減されるはずです。皇室については、一旦、ここで仕切り直しをし、国民にとりましては最も安全であり、かつ、民主主義とも調和する形態を未来に向けて構築すべきと思うのです。

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コメント (8)
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