万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

AIIBはイランの参加決定で波瀾含みに?

2015年04月08日 15時21分42秒 | 国際政治
アジア投資銀、透明性要求=出資1800億円試算―政府対処方針(時事通信) - goo ニュース
 本日、ロイターが中国発の情報として報じるところによりますと、AIIBへのイラン加盟が決定したそうです。しかも、この決定には、イギリス、フランス、インド、イタリアを含む加盟国も賛成したというのです。

 中国が発信源ですので、イラン加盟決定の真偽のほどは分かりませんが、イランは、2006年7月以来、国連安保理決議によって金融部門を含む経済制裁の対象国に指定されております。昨今、核開発問題に関して欧米側と合意が成立したものの、その内容も”玉虫色”であり、制裁解除には至っておりません。この状態でイランが加盟し、融資対象となるとしますと、国連体制はなし崩しとなります。もとより中国は”一帯一路構想”を実現するためにAIIBを設立したようなものですから、中国・イランを結ぶインフラの建設は、融資プロジェクトの最有力候補のはずです。安保理制裁発動後は、中国がイランの最大の貿易相手国となっており、石油パイプライン等で直結できれば、中国もイランも共にメリットを享受することができます。中国は、2006年に既に北京とカスピ海を結ぶ石油パイプラインの建設をイラン側に提案しており、このプランは、絵空事ではありません。AIIBは、このプランの実現に財政的な裏付けを与えることになりかねないのです。

 中国は、欧米諸国がイランの参加に賛成したと説明しておりますが、国連の経済制裁対象国の加盟を易々と許したのでしょうか。そして、イランのライバルであり、かつ、AIIBへの参加を表明しているイスラエルは、果たして、イラン加盟にどのような反応を見せるのでしょうか。AIIBは、イランの参加によって、ますます政治的にも波瀾含みになる気配を感じるのです。

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コメント (2)
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