万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

AIIBファンド-狙われる日米の年金基金

2015年04月20日 15時37分18秒 | アジア
傘下ファンドで資金集め=非参加国の投資家に道―アジア投資銀(時事通信) - goo ニュース
 運営の不透明性や審査基準の曖昧さから、日米が参加を見送ったAIIB。ここにきて、AIIB設立と同時にファンドを設け、非加盟国の機関投資家からも資金を調達するとの方針が報じられております。

 AIIBは、アメリカ中心の国際金融秩序に挑戦し、日米を孤立化させる目的で設立されたとも指摘されていましたが、その反面、こうした”宣伝”は、日米をAIIB参加に誘い込む作戦であるとする見方もあります。日米の不参加に対して未練を残している中国の様子からしますと、後者の見解もあながち外れてはいないように思えます。日米誘引論からしますと、上述したファンド設立は、日米不参加によって資金調達が怪しくなった中国の苦肉の策のように見えてくるからです。日米が政府としては参加しなくても、迂回ルートをつくれば、両国の資金だけはAIIBに吸い上げることができると…。しかも、AIIBが想定しているAIIB債の引受先は、政府系投資ファンド、即ち、主として年金基金等なそうです。日本国のGPIFは、基金の規模が114兆円ともされ巨大機関投資家であり、アメリカも、最大の年金基金であるカルパース(カリフォルニア州公務員の年金基金)だけみても、25兆円規模のファンドを擁しています。社会保障制度が整備されている国ほど、年金基金の規模も大きくなりますが、ハイリスク・ハイリターンが予測され、かつ、中国の覇権伸長に資するわけですから、日米を国民から大事な老後の生活資金を預かっている政府系投資ファンドが、敢えてAIIB債での運用するとは思えません。それとも、参加国の政府系投資ファンドには、AIIB債の引き受けが義務付けられるのでしょうか?

 AIIB債での年金基金運用が表沙汰になれば世論の反発も必死ですが、懸念があるとすれば、最近、年金基金等の運用が外部に委託されていることです。国民の年金基金が危ないAIIBに投資されないよう、政府も国民も、厳しくその運用をチェックをしてゆくべきではないかと思うのです。

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6 コメント

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Unknown (ねむ太)
2015-04-20 19:41:32
こんばんは。AIIBに日米が参加しない・・資金調達のアテが外れたというところですか。
2014年末で中国の外貨準備は3兆8430億ドル。
同年6月に比べて1500億ドルも減少しています。
外貨準備を除いた資産よりも負債の方が大きく、いつデフォルトしてもおかしくない状態に有ります。
AIIBの出資に外貨準備を取り崩せばインフレ圧力となりますので取り崩す事は出来ません。
日米が参加を見送った事でAIIBに対する出資金の準備が出来ない・・
そこでファンドを立ち上げ年金基金からの出資を募ろうというのでしょう。
我が国の政府系の年金基金は事情はわかっていると思うのですが、問題は企業の年金基金にあります。
数年前の民間の年金運用コンサルタントの破綻問題。
行方の分からない資金の流れ・・
ケイマン諸島から香港を経て中国に流れこんだと言われております。
当時の厚労大臣・小宮山泰子・・・素人が大臣として最悪の法改正を行ってしまった。
一見すると公平に見える法律ですが、資金に余裕のある企業は積立金の残額を納め解散出来る。
資金的に余裕のない中小企業が破綻した企業の年金基金の連帯責任を負うことになってしまい、企業の財務状況が悪化し解散したくても(法律上は解散できるたてまえになっています)が、旧社保庁の人間が理事に居座っているために解散の書類を受け付けて貰えず倒産する企業が増えたのです。
企業年金が解散してしまえば基金は必要でなくなる、年金基金の理事の肩書を失いたくない旧社保庁の人間が解散を認めなかった・・
このような出鱈目な事が数年前に起きていました。
中国が狙いを付けたのは、おそらく、この部分では無いかと思います。
民間の年金基金・・旧社保庁の職員の傾向を知っていれば中国からの呼びかけに簡単に応じかねません。
ファンドを立ち上げ資金調達を迫られるほどに中国の財務状況は逼迫しているという事です。
アシア開発銀行を通じての融資で、我が国の受注額は少ない・・当然です。
紐付き融資を禁じ、公正な入札による開発事業の為のアジア開発銀行なのですから。
AIIBのような最初から紐付き融資を目的とした、いかがわしいシステムとは違うのです。
民間の年金基金の資金がAIIBや、その他の怪しげなファンドに簡単に投資出来ないようにする法整備も必要です。
ねむ太さま (kuranishi masako)
2015-04-20 21:01:23
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。
 報道によりますと、中国が想定している機関投資家とは政府系とのことですが、政治的な理由から政府系から資金を調達することが無理と判断した場合には、次なる手段として、民間の年金基金の資金を狙う可能性もあります。この際、企業年金に関する法整備をすすめ、こちらの基金の方も、AIIBと同様に、運営の透明性と投資基準の適正化を測るべきかもしれません。中国の闇と日本国の闇が結託した結果、予測される結末は、焦げ付きが生じ、企業年金を頼りにしている日本国の一般社員の老後が不安定化することです。
Unknown (使える所があれば)
2015-04-20 23:14:24
 
2020年の前までには開始するであろう、全世界的に発生する大陥没現象(東京から真っ先に始まる。)物凄い勢いで人口が減ってゆく事。
秋予定の金融空間の大破壊、その後の金融ルール改変の連鎖。
空気感染型のエボラを超える様な伝染病の世界的流行。
 
大変動期に突入した我々の社会。これらの情報を提示しています。
 ( 閲覧パス 2034 )
 
グーグル検索 今後の予定 ( 又は、ティーカップ掲示板 今後の予定 )
Unknown (Suica割)
2015-04-21 12:11:13
ヨーロッパの金融関係者は、人民元をIMFに入れるか入れないかではなく、いつ、入れるかだ。
とも、言っていましたが、その日はいつまでも来ないかもしれません。
いつ入れるかは決まっている。
変動相場制を導入した翌日と言ってしまえば、それで終わりです。
本題に戻りますけど、年金基金を封じても、いくらでも調達方法はありますね。
世界の公社債ファンドとかであれば、余裕で組み込めます。
また、利率狙いの生命保険資金や一般投資家への押し込みもありますね。
何言っても、日米は入らないケースも織り込み済みで本命はこっちの作戦ではとも思います。
スイスとかシティーとかあるせいで、ヨーロッパは金融が日本より強いイメージがありますから、ヨーロッパの大手が引き受け元というだけで、騙される日本人が多いと思います。
それ込みで、イギリスとか入ったような気がします。
使える所があればさま (kuranishi masako)
2015-04-21 16:49:15
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。
 不吉な予言ばかりなのですが、何らかの根拠があるのでしょうか?それとも、予言ではなく、何らかの組織による”計画”なのでしょうか?興味深いところです。
Suica割さま (kuranishi masako)
2015-04-21 16:53:13
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。
 世界の公社債ファンドでも、AIIB債は格付けも低く、焦げ付く可能性がありますので、どれだけの民間ファンドが手を挙げるのか、疑問なところです。ファンド側も、顧客に対する説明責任もありますので、少なくとも、日本国での販売は難しいのではないでしょうか。それにいたしましても、新興国は、敢えて政治的なリスキーなAIIBを経由して資金を調達する必要もないように思えます。

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