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万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

ビットコインとはコンピュータ発行の”私造通貨”では?

2014年02月28日 15時27分49秒 | 国際経済
金融相、ビットコイン「破綻すると思っていた」(読売新聞) - goo ニュース
 一昨日、ビットコインの取引所の一つであったマウントゴックスが取引を停止したことから、制度そのものの存続が危ぶまれているビットコイン。2009年からネット上で運営を開始したそうですが、”仮想通貨”というよりも、その本質は”私造通貨”なのではないかと思うのです。

 通貨偽造は、いかなる国でも重罪であり、その国の法定通貨を偽造した者には重い刑罰が科せられます。一方、政府が発効する硬貨や中央銀行が発効する銀行券ではなく、一般の民間人が通貨を勝手に発行するとどうなるか、と言いますと、私造通貨を取り締まる法律が存在しないのが現状です。それでは、ビットコインはどうでしょうか。ビットコインを入手する方法には、(1)難問を解いた報酬(25ビットコイン)としてマイナー(運営者)に提供される、(2)投機目的で対価(法定通貨)を支払って取引所で購入する、(3)何らかの物品やサービス…の対価として受け取る、のおよそ3つの経路があるようです(この分野の専門家ではありませんので間違いがあるかもしれません…)。(1)のみであれば、使用者が限定されておりますので、影響もまた限定的ですが、(2)の場合には、ドル、ユーロ、円といった法定通貨で対価を支払いますので、マウントゴックス社のように取引を突然に中止しますと、ビットコインの信用は一気に崩れ、手元に後に残るのは暴落したビットコインのだけとなります(取引所は入手した巨額の法定通貨と共に逃亡したかもしれない…)。また、(3)の場合でも、ビットコインを代金として受け取った側は、”使えない通貨”を掴まされたことになります。ビットコインの恐ろしさとは、あくまでも私造通貨であるため、法定通貨のような公的な信用保証がなく、バブルが消える如くに無に帰してしまう可能性があることです(法定通貨でも暴落することはありますが…)。中央銀行の金融政策によるマネーサプライのコントロールの対象外でもありますので、そのリスクは、法定通貨の比ではありません。マイナーへの供給の仕組みでおよそ10分ごとに25ビットコインが増加するらしいのですが、通貨供給がコンピュータのソフトウェアによって作動しているとなりますと、ビットコインは、コンピュータがネット上で自動発行する奇妙な私造通貨となります。

 ビットコインは、マネー・ロンダリングや違法薬物の支払い手段に利用されるといった問題をも引き起こしています。経済にとってビットコインは必要不可欠なものではありませんので、このリスクに満ちたシステムが出現した背景こそ調べてみる必要がありそうです。

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コメント (3)
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