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万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

時代錯誤の北朝鮮

2009年05月27日 15時32分16秒 | 国際政治
北朝鮮の計算ずくな伝言――フィナンシャル・タイムズ(フィナンシャル・タイムズ) - goo ニュース
 北朝鮮は、金正日独裁体制を維持するために、国民生活を含めてあらゆるものを犠牲にして核開発を続けるとの憶測が流れているようです。もし、北朝鮮が、”誇り”を持ちたいと願うならば、まずは、この時代遅れで劣悪な体制を放棄すべきと思うのです。

 古代ギリシャの時代から、独裁者(僭主)は人々から嫌われてきており、アリストテレスは、独裁者が独裁体制を維持する方法として、およそ以下のような手法を紹介しています。

(1)頭角を現す者や気概のある者を抹殺する
(2)高邁な精神や人間相互の信頼が醸成される場を許可しない
(3)私的で自由な集会を禁じ、国民を孤立化させる
(4)公的な場への出席を強要し、国民を監視する
(5)国民の中にスパイを配置する
(6)国民の間に相互不信の種をまく
(7)国民を貧乏にし、謀反の企てを起こさないようにする

 さらに、”僭主独裁者は、むやみと戦争を起こす人間であり、それは、国民が余計な暇をもたないようにするためと、かれらが、たえず指導者を必要とするためである”、とも述べています。まさに、現在の北朝鮮の状況と見まがう記述であり、かの国が、人類の経験知から全く学ぼうとしていないことを示しています。あるいは、独裁体制が劣悪な体制であることにすら、思い至っていないのかもしれません。独裁国家を維持している限り、北朝鮮が核を以って自らを誇ったとしても、それは時代錯誤でしかないと思うのです。

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コメント (6)
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