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万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

中国の護衛海域分担案の疑心暗鬼

2009年05月03日 14時39分40秒 | アジア
 新聞報道によりますと、中国政府は、ソマリア沖の海賊対策に軍艦を派遣している国に対して、護衛海域の分担を提案しているそうです(日経新聞本日付朝刊)。果たしてこの提案、大丈夫なのでしょうか。

(1)公海の分割?
 国際法は、海賊を人類共通の敵とみなして、すべての国に対して、公海における海上警察権の行使を認めています。もし、中国案に従って護衛海域を分担するとなりますと、公海を分割する行為となりかねません。それが既得権益化する可能性もありますし、提案国の中国軍艦が、自国の分担する海域において排他的な行動をとることも考えられます。

(2)ゾーン・ディフェンスは高コスト?
 護衛海域を分担するとなりますと、従来の「護送船団方式」は採用できなくなり、分担海域の境界を越えるごとに、外国軍艦同士が護衛を引き継ぐことになります。また、複数の民間船舶が通過する場合には、担当国の軍艦が同時に護衛せねばならず、いわば、海域全域を対象としたゾーン・ディフェンスを行う必要があります。この方法は、「護送船団方式」と比較しますと、高コストになりそうです。

 以上の点の他にも、海洋覇権の確立を公言してい憚らない中国のことですから、この提案には、さらなる野望が隠されているのかもしれません。中国との間に信頼関係が築かれていな現状にあっては、受け入れるにはリスクの高い提案なのではないかと思うのです。

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