万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

尖閣諸島―東シナ海を”中国の海”にしたい中国

2012年09月12日 15時42分33秒 | 国際政治
石原幹事長「中国は尖閣に攻めてこない」(産経新聞) - goo ニュース
 自民党の石原幹事長は、人が住んでいないことを理由に挙げて、”中国は尖閣に攻めてこない”と発言したと報じられております。居住者がいなければ、本当に、中国は攻めてこないのでしょうか。

 中国や台湾が、70年代になって、突然に尖閣諸島の領有権を主張し始めたのは、国連の調査により、尖閣諸島周辺の海域の地下に、石油などの天然資源が大量に埋蔵されている可能性が明らかになったからです。中国が尖閣諸島を狙う理由は、人が居住しているからでも、あるいは、周辺海域が良い漁場であるからでもなく、そこに、海底資源があるからです。つまり、自らの大陸棚に取り込んでまうか、あるいは、尖閣諸島にもEEZを設定して、東シナ海一帯を、中国が海底資源に対して主権的な権利を持つ独占的な海にしたいのです(この戦略の延長線上に沖縄奪取がある…)。日本国政府は、中国に対して東シナ海を”平和、協力、友好の海”にしようと呼びかけていますが、中国が望んでいるのは、東シナ海を”中国の海”にすることです。しかも、現在の中国は、急速な経済発展に見合うだけのエネルギーを必要としており、資源はいくらあっても足りません。東シナ海を独占してしまえば、軍事的にも、中国海軍が太平洋に自由に出入りできるようになることは言うまでもないことです。

 経済的な相互依存の深化は、おのずと平和をもたらすとする説もありますが、経済発展は、資源をめぐる争いや軍事力増強による覇権主義を惹起することもまた歴史の事実です。中国の海洋戦略が、尖閣諸島に狙いを定めている現実に対して、覚悟を決めて正面から向き合いませんと、平和も、協力も、友好もさらに遠のくのではないでしょうか。

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4 コメント

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Unknown (ファン?号)
2012-09-12 16:58:06
中国は、怖いですね。核も空母も持っているし、米国の債権? も大量にもっているので、米国もあまり強く出れないとか・・・  恐いものなし! ですね。

チベットなども、戦後の どさくさに紛れて、占領してしまうし・・・ 

尖閣じゃなくてナンサ諸島? ベトナムとかフィリピンの近くの島も中国の領土だと言うし・・・

国連の安保理でも拒否権を持っているし・・・

スーダンのダルフィール? でも資源絡みで裏で暗躍しているとか・・・

なんか、「悪の枢軸」って感じですね。

こんなのを相手では日本は、勝ち目なし。
そうそう、国連では、日本は未だ連合国の敵国になっているとか・・・
尖閣に自衛隊とかが行くと、無条件で侵略とみなして、中国軍が攻撃してくる・・・ 
なんてことないんでしょうか?
返信する
ファン?号さま (kuranishi masako)
2012-09-12 17:38:57
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。
 むき出しの暴力がまかり通るようになりますと、世界は、弱肉強食の時代に逆戻りしてしまいます(暴力団が世界を支配し、他の諸国はその暴力に屈することになる…)。現在、人類は、法の支配に向かうのか、それとも、法秩序なき野蛮に時代に帰るのかの、極めて重大な岐路に立たされていると思うのです。何としても、前者の方向に向かいませんと、人類には悲惨な未来が待ち受けています。中国軍に攻撃された場合については、よろしければ、昨日の記事を参考になさってくださいませ。
返信する
Unknown (ねむ太)
2012-09-12 22:32:40
こんばんは。自民の石原幹事長は甘すぎます。
尖閣海域を中国に押さえられれば日本のシーレーンは喉元で断ち切られる事になりかねません。
原油や貨物を満載した船舶が太平洋側に迂回するとなると大量の燃料が必要になります。
安全保障の面から申しますと、中国が問題を起こしている南沙諸島や南シナ海も我が国の重要なシーレーンです。
防衛庁設置法に基づいてインドネシアなどの親日国に自衛隊の基地を設置しインド洋から南シナ海の国際航路・バシー海峡マラッカ海峡・台湾海峡の警備に当たる事は自衛権の行使の範囲なのですが・・国会議員の中にも「軍隊の海外派兵は侵略につながる」と言いながら「原発即時廃止」などと理解不能な矛盾した事を言う人間が大勢いることが・・お花畑過ぎて・・怖いです。
尖閣海域は台湾有事や朝鮮半島有事の際の米第七艦隊の通り道でもあります。
ケビン・メア氏が「アメリカは尖閣諸島の日本領有を支持し安保条約に含まれる」と発言しておられるのはこのためです。
中国では反日デモが繰り返され(無駄政権と中国の了解の元にやってるだけです)
中国国内ですが、習近平の姿が見えない・・・人民解放軍が実権を握ろうとして内部で権力闘争が行われているからです。
人民解放軍が事実上実権を握れば、周辺諸国にどのような災が撒き散らされるか・・
北朝鮮の核や拉致問題に米国が触れないのは、北朝鮮の核で中国を牽制する為に見逃しているのです。
それにしても、ため息しか出ないのが、我が国の与党の惨状です。
無駄佳彦君をそのまま選任しそうですが、他の立候補者は閣僚の椅子狙いと、自分を高く売りつける為の戦略・・
無駄佳彦君はメドベージェフの北方領土不法侵入に抗議する事もなく12月にロシア訪問を約束してしまいましたね。
外面だけでなく国民生活の事も真面目に考えるなら、さっさと解散総選挙をして欲しいものです。
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ねむ太さま (kuranishi masako)
2012-09-13 08:09:27
 コメントをいただきまして、ありがとございました。
 もしかしますと、尖閣諸島での騒動は、中国政府が、人民解放軍がらみの権力闘争から、国民の関心を逸らすために仕組まれているのかもしれません。野田政権は、中国側の秘密裏での協力要請に応えているのでしょうが、権力闘争が一段落した後の展開を予測しているのでしょうが。決着後に、人民解放軍が、政治的な実権を握る、あるいは、政治的発言力を強めるとなりますと、尖閣諸島は、極めて危険な状況に置かれることになります。日本政府は、常に先を見ずに、場当たり的な対応で状況を悪化させてきたのですから、今度ばかりは、失敗は、許されないと思うのです。
 なお、一つ疑問に思いますのは、アメリカが、中国を牽制するために北朝鮮の核保有を許しているとしますと、逆に、中国が、北朝鮮の核放棄を迫るのではないか、ということです。あの国が、北朝鮮から脅かされることを、許容するとは思えないのです。
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