万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

怪しい北朝鮮の”在朝日本人”調査-謀略リスクに警戒を

2014年06月29日 15時20分46秒 | アジア
金正恩氏の直轄機関 日本人妻ら調査着手 対象1万人、帰国も視野(産経新聞) - goo ニュース
 先日の日朝合意により、北朝鮮側は、金正恩氏の直轄機関において在朝日本人に関する調査を開始するそうです。調査の対象は、拉致被害者のみならず、戦後に北朝鮮地域に残留した日本人や戦後の帰還事業で北朝鮮に渡った”日本人妻”とその家族も対象なりますが、この調査、謎に満ちていると思うのです。

 1万人ともされる調査対象の人々は、本物の”日本人”なのでしょうか。北朝鮮の調査を怪しむべき理由は、多々あります。第1に、北朝鮮地域に居住していた日本人の多くは、戦争末期に侵攻してきたソ連軍と朝鮮共産軍によって虐殺され、生き残った日本人も、北朝鮮当局の意図放置により、飢餓やチフスで命を落としております。その後も今日に至るまで組織的な日本人迫害が続き、”日本人妻”も強制収容所に連行され、虐待を受けたり、殺害された婦人も少なくなかったそうです。このことは、家族を含めて約1万人とされる調査対象者が、全て”日本人”であることに疑いを持たせます。第2に、報道によりますと、これらの”在朝日本人”のうち、日本国籍を保持しているのは6800人ほどなそうですが、”日本人妻”達は、北朝鮮への帰国に際して北朝鮮の国籍を取得したのではないでしょうか。それとも、ここでいう”日本国籍”とは、大日本帝国時代の”日本国籍”なのでしょうか。あるいは、日本国は、正式に北朝鮮を正当な国家として承認していませんので、日本国内の”朝鮮籍”と同様に、便宜上、”日本国籍”と称している可能性もあります。少なくとも、国交がない状態で、日本国政府が、”日本人妻”の家族にまで国籍登録していることは、あり得ないことです。今回、北朝鮮に対して調査を依頼したことは、日本国政府は、”日本人妻”の家族に関する情報がない証拠でもあるのですから。第3に、日本国内では、在日韓国・朝鮮人の他に、”背乗り”と呼ばれる朝鮮半島出身者が多数居住しています。これらの人々は、戸籍上は”日本人”ですが、戦後の混乱期に、日本人の戸籍を奪って日本人に成り済ましたり、闇市などで買い取った人々です。日本国内ですら、戸籍乗っ取りが発生したのですから(『竹林はるか遠く』では、主人公の兄が逆に朝鮮人家族の一員に成りすましている…)、北朝鮮の言う”日本人”もまた、戸籍上の日本人と一致するとは限らないのです。

 報道によりますと、”帰国”を想定してか、北朝鮮側は、最近、これらの人々に対して日本語教育を実施していという情報もあるそうです。既に日本語を話せなくなった”日本人妻”の家族なのかもしれませんが(通常は、父親の籍に入り、朝鮮国籍のはず…)、この光景は、どこか”工作員”の要請を髣髴させます。また、中国残留孤児の偽装家族が大挙して日本国に入国し、深刻な社会問題が起きたように、北朝鮮の”帰国事業”によって、第二の”中国人残留孤児問題”が発生するかもしれません。北朝鮮は、過去においても何度も他国を騙してきたのですから、日本国政府は、謀略リスクに十分に警戒すべきと思うのです。

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2 コメント

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Unknown (ねむ太)
2014-06-30 00:28:23
こんばんは。帰国事業で北朝鮮に渡った在日の多くは、収容所に入れられたり、酷い差別を受け多くの人が亡くなっているはずです。
横田めぐみさんが死亡したと偽の遺骨を出して騙そうとしたのは、横田めぐみさんが金王朝の日本語教師であり、金王朝の内部まで詳細に知っているからとも言われています。
横田めぐみさんだけでなく、拉致被害者の中で北朝鮮が知らないと言いはり、決して存在を明かさないようにしている人達も日本語教師を務め金一族だけでなく、工作機関の内情を知っているからとも言われています。
今回の調査は警察庁の職員も参加するそうです。
北朝鮮を「地上の楽園」「働けば目に見えて暮らしが良くなるので嬉しくて、働く」などの妄言を垂れ流していたのが朝日新聞・岩波書店などの極左メディアや小田実などの進歩的文化人であり、現在、慰安婦問題や日本の侵略・植民地支配を糾弾し韓国に異様なまでに肩入れしている連中です。
拉致問題や偽札・偽タバコ・麻薬などの問題が明らかになるまでは北朝鮮を礼賛し、韓国を軍事独裁政権とボロクソにけなしていた変節漢です。
象徴的なのが、岩波書店四代目社長・安江良介著「孤立する日本 多層危機のなかで」の一文です。
「自分達に反対する者は誰にでも共産主義者というレッテルをはって手当たり次第に投獄し、残酷に虐殺している。(中略)指を一つ一つ折るようにその弾圧を数えたて「このように愛国的人士と青年学生を苛酷に弾圧しているのに、どうして彼らと膝を交えて話ができますか」「彼らには民族も人間も眼中にない。倫理もない」と語った時には、主席の語調は厳しく顔は紅潮していました。
そして、「こんな連中と、なおもあなたは話をしなければんらないと言うのですか ?」と私に迫るように語りかけられた時、私は金大中氏をはじめ、南で抑圧の下にある私の知人の顔を胸中に思い描きながら、ある感動を覚えました」これと似たような思想の下、北朝鮮労働党と友党関係にあったのが社会党(現在の社民・民主・生活)なのです。
日教組・自治労・連合なども北朝鮮労働党との協力関係にあり拉致事件の手引をしていたのが電電労組・国労です。
いわば拉致問題解決は、我が国の労組や左翼勢力を歴史の闇から白日のもとに引きずり出す事にも繋がるのです。
素知らぬ顔で中国や韓国の味方の振りをしている連中の正体を明らかにすると共に、我が国の大掃除の手始めになります。
その事を恐れる連中が特定秘密保護法や集団的自衛権を潰し河野談話や村山談話の見直しを阻止しようと妨害する工作をしているのです。
日韓基本条約締結に至るまでの記録は秘密指定解除され外務省のホームページで公開されています。
ファイルとして全記録を保存しましたが、ものすごい分量で3.2Gにもなりました。
読むには富士ゼロックスのビュアー(フリーソフトとして配布)が必要になります。
日本語教育が必要なのは、二世・三世で日本語が話せないとの触れ込みでしょうが、森大志という市民の党に所属する人間がいます。
確か田宮高麿と森順子の子供で北朝鮮で教育を受けているはずです。
此のことからも、よど号ハイジャック犯・自ら北朝鮮に渡った日本人など日本語教師はいくらでもいます。
この事から考えると背乗りや工作員の可能性の方が高いでしょう。
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ねむ太さま (kuranishi masako)
2014-06-30 15:20:03
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。
 本来、まずは、戦後70年を迎えようとしているのですから、日本国政府こそが、朝鮮半島で起きた悲劇、そして、日本国内で発生した”背乗り”や”戸籍売買”について、きちんと調査すべきではないかと思うのです。また、帰還事業などで北朝鮮に渡った”日本人妻”についても、一般の国民には、ほとんど情報がありません。戦後の混乱期には、日本人の婦人が、朝鮮人の男性に婚姻を強要されたケースもあるそうです。また、”地上の楽園”と騙されたという主張がありますが、この点については、独裁体制を敷いた北朝鮮側に責任があります。朝鮮人の帰還は国際合意であり、日本国政府は、その事業をICRC(国際赤十字委員会)に委託したのです。うした事実については、政府は、国民に情報を提供すべきではないかと思うのです。
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