万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

「イスラム国(ISIL)」は国盗り匪賊である

2015年02月06日 15時36分34秒 | 国際政治
【イスラム国事件】作戦名は「殉難者のモアズ」…ヨルダンの空爆、初日で30回 「報復の始まり」外相、攻撃継続表明(産経新聞) - goo ニュース
 「イスラム国(ISIL)」とは、自爆テロなどによって世界大に無差別に民間人をも殺害する凶悪テロ集団とするイメージがあります。その一方で、テロリストの範疇に収まらないもう一つの顔があります。それは、国を盗む匪賊という顔です。

 匪賊と言いますと、満州の闊歩していた馬賊を思い浮かべる人も少なくないでしょうが、戦後は、すっかりこうした集団が存在していたことは忘れ去られてしまっています。強奪、殺到、誘拐人質…などを生業とする普通の犯罪集団との違いは、匪賊は、不法な手段で暴力的に土地を占領し、住民を支配することで、自らの”国”を得ようとするところにあります。匪賊にとりましては、個人のお金や家財などはちっぽけな獲物であり、国家こそが盗むべき最大のターゲットなのです。何故ならば、広域的な支配体制を敷くことができれば、課税権や徴収権といった権力を振るうことで、土地や住民から無限に搾取することができるからです。特に中東の土地では石油が産出されますので、天然資源に対する主権をも奪っていることになります。そして、「イスラム国(ISIL)」は、財政に関する権益のみならず、住民の生殺与奪の権を握り、宗教政策や教育政策においても強権を発動しているのです。

 「イスラム国(ISIL)」に対して軍が出動するのは、その匪賊としての活動にあります。匪賊による国盗りは、国際秩序に対する重大な脅威である以上、日本国内では、「イスラム国(ISIL)」への対応は、対テロ対策として警察に任せるべきとも意見も聞かれますが、匪賊である以上、軍事的な協力とならざるを得ないと思うのです。

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2 コメント

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Unknown (ねむ太)
2015-02-06 19:37:51
こんばんは。始皇帝は水利の悪い北平の地に都を建設したのでしょう。
万里の長城を建設したのでしょう。
支那こそがISILのやり方でうまくいった例です。
支那に元々いた民族であるなら水利の悪い北平の地に都を建設しようとは考えないでしょう。
都を建設するならば、黄河に近い水利の良い場所を選定するでしょう。
支那の歴代王朝こそ、どこからともなく集まってきた連中が、王朝を滅ぼし新しい王朝を打ち立てる、これを延々と繰り返して現在に至っているのです。
易姓革命の繰り返し・・・新しい王朝が出来ると勝手に版図を定め、都督を置き税を徴収する。
王朝だけが交代し、民衆は巻き添えで殺されるか税を取られるかの違いだけ・・
支那の民衆に公共の意識が育たず、国家意識も希薄なのは当たり前の事なのです。
中国人は現在も国家や党・他人を信用せず、信頼するのは一族の者だけ、役人に賄賂を贈って便宜を計ってもらうのが当然、侵略者による易姓革命の続いた結果なのです。
ISILも同じです。
イスラームの信徒の一派が中核になっているとはいえ、ネットを通じて寄せ集めた人間の集団。
シリアが国家機能を海側に移した為に、空白になってい
た砂漠側の地域と、未だにまとまらないイラクの北部地域を拠点とし勝手に国家を名乗り、オスマントルコ帝国の版図の復活を謳う・・
最初は、イスラームによるオスマントルコの復活・・賛同者も多かったと聞きますが、現実には誘拐・殺人などの凶悪犯罪の数々・・・最初は支持していた者も離れ、イスラーム全体を敵に回してしまいました。
革命などという武力による強引な手法は、どうしても似通って来るものです。
フランス革命、共産革命、易姓革命・・・手前勝手な理論を奉じ従わないものは粛清する。
従わせる為には大量殺戮も平気でしてしまう。
狂気と血の匂いがつきまといます。
オスマントルコ・・イスラームの帝国を復活させようとするならば、各派閥の最高指導者の合意を取り付けた後、各派閥に属する者の合意を取り付け、各派閥が持っている利権を放棄させなければなりません。
イスラーム全体の合意形成がなされない限り、オスマントルコの復活は無いのです。
テロル・・恐怖による支配・・中共も旧東側諸国も収容所か死刑・・死の恐怖で支配を続けて来た国々はテロ国家なのです。
此のようなテロ対策を警察に任せるべき・・・志位センセや社民党の連中が言いそうなことですが・・・吉田党首も言ってました・・
ISILは陸に関しては軍隊に近い重武装です。
警察が、どうやって立ち向かうのか・・
現実を知らない人間の寝言ですね。
テレ朝はテロ朝となりました。
ISIL寄りの発言が目立ち、ニュースを配信していたyoutubeからも一時的にアカウント停止させられましたし
ヨルダンの人々は日本大使館の前で犠牲になられた二人の追悼を行ってくれました。
官邸前の馬鹿騒ぎ・・・ダンスまで始める始末・・恥ずかしい限りです。
ヨルダンの人々の死者に対する追悼と、犠牲者を利用し政権攻撃をする馬鹿者。
ヨルダンのパイロットも、最悪な形で殺されました。
官邸前で政権非難を繰り返すことよりも、ヨルダンの人々にお悔やみのメッセージの一つでも送るのが人としての道というものでしょう。
全くもって左翼という幼稚な連中は・・
人としての矜持も失い、後藤氏をシンボルに仕立て上げ政権非難を繰り返す・・・
外国のニュースでは後藤氏の残された家族を思いやる言葉が先に有りました。
我が国のマスコミは政権批判が先に来る・・・犠牲になった二人に対する追悼の言葉も見当たらない・・・
フランス革命を崇高なものと教え続けた結果でも有ります。
反戦平和・憲法九条・人権を掲げる左翼の欺瞞と、現実から目を背け理想論をもてあそぶ姿の醜さ・・
戦後狂育の縮図を見る思いがしました。



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ねむ太さま (kuranishi masako)
2015-02-06 22:17:34
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。
 マルクス思想を革命理論化し、ロシア革命を引き起こしたレーニンは、モンゴル系のカルムイック人の血を引いており、あるいは、暴力革命のアイディアは、王朝交代の結果、元朝をも誕生したのですから、中国を起源としてるのではないかとも疑うようになりました。この伝統は、もしかしますと、今日まで引き継がれており、北京政府が、各軍区の人民解放軍の動向に敏感なのも、軍隊は、ややもすると軍閥化し、武力による政府打倒や分離独立に走るからではないかと推測いたします。共産主義そのものが暴力思想なのですから、それを信奉する共産党や社民党などが平和主義を唱えることは、自己矛盾以外の何ものでもありません。結局、今回の人質事件では、この自己矛盾に耐えられなくなり、遂に、テロ擁護という本性を現したように思えます。
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