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万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

グローバリストの巧妙なる共産主義の利用

2025年03月24日 12時11分21秒 | 国際政治
 ‘資本家’であるグローバリストによる共産主義の活用方法は、極めて巧妙です。労働者を煽ることで国民を分裂させ、国境を越えた運動として自らの国際組織に取り込むと共に、国際社会をも分断させたのですから。第一次世界大戦後には、自由主義、狂信主義(造語が許されるならばFanazism・・・)、共産主義の三者を操って第一次世界大戦に誘導しましたが、第二次世界大戦後には、資本主義対共産主義という枠組みを作り出すことに成功しています。そして、こうしたイデオロギー集団のコントロールによって最も利益を得たのは、グローバリストであったとも言えましょう。

 それでは、先ずもって共産主義は、どのようにして国際社会にまで分裂作用を及ぼしたのでしょうか。指摘し得るのは、‘共産主義革命’に向けた工作活動です。最初の共産革命とされるロシア革命は、共産主義に基づくと宣伝されながら、その実態は、農民兵を含む兵士による軍事クーデタと称しても過言ではありません。当時のロシアでは、革命の主体となるはずの工場労働者が人口に占める比率は低く、マルクスが論じたような、‘資本主義の矛盾の極限’としての労働者による革命ではありませんでした。革命後にあっては、暴力を是とするボルシェビキの最終的な勝利により、ここに、民主主義とはかけ離れた共産党による一党独裁体制の国家が誕生することとなるのです。

 グローバリストは、‘共産主義’をあたかも人類共通の‘正義’であるかのように喧伝することにより、ここに一つの非民主主義国家のモデルを建設します。共産主義を信奉する人々は‘進歩’であると主張していますが、人類の統治機構の発展史からしますと、この体制は、明らかに進歩ではなく退行です。より単純で原始的な形態に戻ってしまったのですから。極めて少数派となるグローバリストが心密かに恐れていたのは、多数派である一般の国民が自治的に自らの国の統治を行なう民主主義体制であったのでしょう。

 因みに、マックス・ウェーバーは、その著書『職業としての政治』にあって、革命後のソヴィエトについての記述を残しています。ウェーバーは、テーラーシステムなど‘資本主義の制度’が温存されると共に、外資導入にも否定的ではなく、「いったんブルジョア的階級制度として打倒したものを、やがて残らず受入れ、かつての秘密警察まで再び国家権力の主要機関として使っている」と批判しているのです。1919年当時の状況を述べたものですが、ソ連邦とは、あるいは、労働者(生産と消費を行なう便利な商品)を大量に創出した上で、最大限に合理的かつ徹底的に管理し、その労働力を使い尽くすという意味において、‘資本家’の理想郷であったとも解されましょう。今日、国家体制の違いに拘わらず、日本国政府をはじめ、何れの国でもデジタル全体主義が蔓延り、国民搾取に血眼になっているのも、その発想の大本が‘資本家’、すなわち、グローバリストにあるからなのでしょう。

 何れにしましても、共産主義国家、しかも、グローバリストの支援の下で短期間で超大国に成長したソ連邦の出現は、冷戦期にあって国際社会を二分します。そして、東西両陣営とも、安全保障上の脅威となる‘敵勢力’の存在を根拠として、激しい軍拡競争を展開し、かつ、代理戦争としての局地的な‘熱戦’も戦われることとなるのです。この間、エネルギー産業を含めた軍需産業を握るグローバリスト勢力が挙げた利益は計り知れないことでしょう。そしてそれは、国民が本来不要な負担を強制的に背負わされていることを意味します(グローバリストの計略がなければ、国民はより豊かになったはず・・・)。

 しかも、共産主義国家にして超大国の出現は、西側各国にいて国民分断をも深める効果を及ぼします。各国の共産党やその系列の左派集団は、国内の自生的な思想集団ではなく、暴力主義国家をバックとした国際的な活動組織として認識されるからです(安全保障上の脅威に・・・)。国民の間でも疑心暗鬼や心理的な壁が生じると共に、公安活動を含め、テロ対策のためのコストも跳ね上がります。何れも、物心両面で国民の重荷となる一方で、グローバリストにとりましては、内外両面(国家の内部と国際社会)において‘自発的’な対立と分断をもたらしますので、同作戦は一石二鳥となるのです。

 近現代史は、不自然さに満ちています。グローバリストの影は、共産主義のみならず、ナチズムやファシズムといった狂信主義にも見られるのであり(今日では新興宗教団体・・・)、こうした歴史をコントロールするための‘駒’とされた政治勢力の実像を解明しないことには、グローバリストが人類支配のために築いてきた巧妙な支配のメカニズムから逃れることはできないのではないでしょうか。

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