万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

北朝鮮のICBM極秘開発疑惑-アメリカが手遅れとなるリスク

2018年08月04日 15時17分34秒 | 国際政治
北朝鮮の核開発継続を明記 安保理の専門家報告書
北朝鮮の非核化をめぐっては、トランプ米大統領は、金正恩委員長に信頼を寄せているためか、楽観的な見通しをもっているようです。その一方で、当の北朝鮮は、弾道ミサイルの発射施設の破壊を実行しつつも、秘かにICBMの製造を進めているとする疑惑が浮上しています。果たして両国の動きには、どのような結末が待っているのでしょうか。

 国際社会が最も恐れるべき事態とは、6月12日の米朝首脳会談は、北朝鮮による時間稼ぎの一環に過ぎず、早ければ数か月以内に米国本土に届くICBMを北朝鮮が手にしてしまう展開です。トランプ大統領の自信に満ちた発言からしますと、第一回目の米朝首脳会談では、金委員長は、少なくともカメラが回っていない場所では、徹頭徹尾、低姿勢で交渉に臨んだのかもしれません。口約束であれ、CVIDによる非核化に全面的に合意するのみならず(もっとも、最近、CVIDという用語は使われなくなっているらしい…)、アメリカ陣営の一員として中国に対峙する‘決意’までも示した可能性さえあるのです。

 北朝鮮側の大幅な対米譲歩の背景には、ICBMの開発の遅れがあったことは想像に難くありません。核開発を開始した当初は、核兵器の開発に成功しさえすれば、アメリカを交渉の場に引出し、対等の立場で渡り合えると考えたのでしょう。しかしながら、核保有のみでは対米脅迫の威力に乏しく、アメリカ本土を核攻撃し得る核弾頭の小型化とその運搬手段であるICBMを開発しないことには所期の目的を達成できないことに、遅ればせながら気が付いたのかもしれません。そこで、急ぎ、核弾頭の小型化、並びに、ICBM等のミサイル開発に着手したのでしょうが、これらの開発と配備が完了する前に、アメリカによって計画が把握される事態となり、スケジュールに狂いが生じたとも考えられます。結局、米朝首脳会談に応じざるを得ない立場に追い込まれ、6月12日の当日を迎えたと推測されるのです。

 このように推理しますと、北朝鮮は、9月開催とも噂されている次回米朝首脳会談までの間に、何としても、ICBMの開発を完了させようとすることでしょう。そして、第二回目の米朝首脳会談の席では、金委員長は、トランプ大統領に対して対米核攻撃能力を脅迫材料として、自国の要求を突き付けてくるものと予測されます。乃ち、朝鮮戦争を速やかに終結させると共に、米朝平和条約を締結せよ、と…。しかも、非核化問題は最早話題にもあげず、北朝鮮側は、同国を核保有国として正式に認めるよう求めることでしょうし、この時には‘騙された方が悪い’と高笑いしつつ、予定通り中国陣営に寝返っているかもしれません。

 国連安保理の北朝鮮制裁委員会の専門家パネル報告書では、北朝鮮による核・ミサイル開発の継続を明記しているそうです。しかしながら、上記の予測が現実ともなれば、当事国となるアメリカのみならず、国際社会は、重大な岐路に立たされることになるのではないでしょうか。

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2 コメント

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僭主である金融財閥も (Unknown)
2018-08-05 03:33:56
優れた後継者を得られないと、ただの財団になってしまったようだ。デービッド氏を失ったので、あっという間に情報能力が落ちてしまったようだ。北の情報攪乱に踊らされているようだ。
ロックフェラー家やロスチャイルド家も能力の高い後継者に恵まれなければ、あっという間に、ただのヘッジファンドになる。
イギリス王家では後継者は存在すればよいだけだが、日本の研究はやっているから、後継者がいなければ改易の憂き目に合う大名家、あるいは将軍家を参考にしたな。日本と違って庶子は後継者になれないので妃に「どこの馬の骨」みたいなのを選んだ。ウィリアムの策は当たり。すでに三人、まだまだ生まれるか?スペアのヘンリーは安心してアフリカ系の気に行った女性を選んだ。子はなくてもよいわけだから。
後継者問題はかくも重要だな。北に手玉に取られるもの。
Unknownさま (kuranishi masako)
2018-08-05 08:19:05
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。

 Unknownさまのご指摘のように、状況証拠からしますと、凡そ全世界の王室や皇室は、ある国際組織によって任命された’家臣’に過ぎないようです。国民の多数がこの事実を認識いたしますと、当然に、存廃問題が起きるのではないでしょうか。国家主権も、民主主義に基づく国民主権をも損なっているのですから。少なくとも、Unknownさまが現状を’当たり前’のことと理解されているとしますと、それは、山根会長と同様に、多くの人々が去ることを望む’悪しき古き’考え方なのではないでしょうか。

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