万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

三国同盟から学ぶ日米同盟の重要性

2012年12月31日 16時08分09秒 | 日本政治
首相「未来志向の安倍談話」 皇位継承は男系男子断言(産経新聞) - goo ニュース
 第一次安倍内閣の時に、有識者会議で検討された集団的自衛権行使の対象とは、極めて限られた範囲に留まっていたそうです。第二次安倍内閣では、範囲の拡大が模索されるようですが、日本国ほど、同盟軍の協力関係の重要性を学んだ国はないのではないかと思うのです。

 検討されていた集団的自衛権の行使とは、(1)公海での米軍艦艇の防護(2)米国向けの可能性のある弾道ミサイルの迎撃(3)国際的な平和活動における武器使用(4)国連平和維持活動(PKO)での他国部隊の後方支援、の4者なそうです。これらの活動範囲から見える日米同盟の姿とは、両軍の行動はばらばらであり、自衛隊の役割は、米軍に対して補助的です。日米同盟が、これらの活動に限定されるとすれば、尖閣諸島における中国の軍事行動に対してどれだけ効果的に闘えるのか、疑問なとことです。思い返しますに、第二次世界大戦では、日独伊三国同盟が結成されたものの、日本国は、孤立無援の戦いを強いられました(もっとも、ヨーロッパやアフリカ戦線では独伊間では軍事協力があり、ドイツの対独宣戦の根拠も、三国同盟による…)。一方、連合国側は、米英を中心に同盟諸国の兵力を結集し、相互の協力関係の下で戦争を遂行しています。この伝統は、今日のNATO軍にも引き継がれており、多国籍の軍隊を動かす組織力が、NATO軍の圧倒的な軍事力の源でもあるのです。

 拡大し続ける中国の軍事力に対抗するは、集団的自衛権の範囲を、少なくともNATOレベルに広げる必要があります。同盟国がありながら、一国だけで戦うことになった三国同盟の経験は、日本国にとりましては、深く考慮すべき歴史の教訓なのではないかと思うのです。

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 本年は、本ブログの拙き記事をお読みくださいまして、ありがとうございました。皆様方が、良い年をお迎えになられますよう、心よりお祈り申し上げます。

 

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2 コメント

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Unknown (ねむ太)
2012-12-31 18:32:12
こんばんは。新政権が憲法を改正して自衛隊を国防軍とし明記しようという公約に対して、「戦争が出来る国にしようとしている」だとか「徴兵制の復活だ」などとヒステリックな論調が数多く見られ、「集団自衛権の行使も視野に入れる」
との発言に対しては「海外派兵の道を開くものだ」「外国に行って戦争が出来るようにするつもりだ」などとほとんど意味不明な発言を繰り返しています。
ここで思い出すのは、宇宙戦艦ヤマトがテレビで放映が決まった前後の左翼の言論の中に「軍国主義の復活だ」と訳の分からない主張を繰り返していた連中と重なってきます。
非武装中立論等の太平楽な寝言を言ってこれたのは冷戦構造の中、米・ソの大国だけがスーパーパーワーであり中国は文化大革命の真っ最中で米・ソを相手に全面戦争をするだけの力もなく、朝鮮半島では韓国と北朝鮮による睨み合いが続き他国に目を向ける余裕もなく極東は、それなりに安定していたからでしょう。
ところが、某弱小政党の党首などは「攻めてくる国など無い」「日本に軍隊がある事が緊張緩を高め戦争に結びつく」などと天動説的な妄言を繰り返し、笑いを取る政党に成り下がっています。
国際社会の現状や、中東の現実を見るこ事もなく子供の様な理想論を繰り返すならば政治に携わるものとしては害悪ですらあります。
きな臭い匂いの漂う中東や南シナ海でタンカーを始め我が国の船舶の安全を護る為に海上自衛隊が護衛任務につても国の安全保障の中の任務ですので違憲にはならないのですが左翼は都合よく解釈し、他人の意見にも耳を貸さず自説をかたくなに守ろうとします。
挙句、仲間内だけで集まりデモや抗議行動を繰り返し、
共産系の団体や韓国・北朝鮮の団体と共同して圧力をかけますね。
この連中の代表格が民主党だったのでしょう。
日米安保の強化は当然ですが、憲法に軍隊として明記し集団的自衛権の行使を明確にすることも大切です。
自衛隊を国防軍として憲法に明記し軍法会議の設置を謳い集団的自衛権の行使が出来るようになって、初めて対等の日米関係への第一歩だと思います。
現在の片務状態のままでは米国が道義に反する戦争を起こそうとしても反対する事は出来ません。
自衛官もPKO等の海外任務の際の正当防衛・緊急避難による武器使用も、一々国内の裁判所で審理されなければならないなどと、あまりにも馬鹿々々し過ぎます。
その場にいて現場を見た事のない裁判官に正しい判定が下せるか疑問符がつきます。
武器使用に拘りすぎ厳密さを求めすぎると自衛官の生命を危険に晒す事にも繋がり人命軽視と言われても仕方ないでしょう。
左翼思想を持つ者でも現実を見つめ地に足のついた意見を述べるのなら議論も成り立つのですが、感情論に走り理想論だけを繰り返し現実に即した案がなければ無責任な戯言と言うしか無いでしょう。
米国・仏・露・中・韓、各国のリーダーが変わり、我が国だけ取り残されるのかと心配していた所へ奇跡的な解散総選挙が行われ日本人の政権が誕生したのは喜ばしい出来事でした。
今年一年ご苦労様でした。
来る年が良き年になりますようお祈り申し上げます。
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ねむ太さま (kuranishi masako)
2012-12-31 21:29:54
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。
 来年は、冷戦崩壊後にあって、現実においても、論理においても破綻をきたしながら、どうにか、国内で勢力を維持してきた左翼勢力が、本格的に衰退に向かうのではないかと予測しております。左翼勢力は、ソ連邦の崩壊に際しては、ソ連邦固有の要因に失敗の原因を求め、思想そのものには誤りはないと主張していましたが、近年の中国や北朝鮮、そして、民主党という左翼政権の体験は、左翼思想に基づく国政が、国の運命を危め、言葉巧みに人々を不幸に陥れることを確信させたのではないかと思うのです。左翼の人々が、声を大きくして理想を叫んでも、国民の耳には偽善にか聞こえず、虚しく響くのみとなるのではないでしょうか。来る年には、多くの人々が、澄んだ心で現実を見つめ、本質を見抜いた上で、賢く物事を判断してゆくことを願っております。
 今年は、たくさんの有意義なコメントをいただきまして、ありがとうございました。折にふれ、多くの事を学ばせていただきましたこと、心より御礼申し上げます。末筆ながら、ねむ太さまのご健康と、よいお正月をお迎えなされますことをお祈り申し上げます。
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