万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

北朝鮮からの木造船漂着―生物化学兵器の可能性

2017年12月07日 15時54分04秒 | 国際政治
海岸で2人の遺体発見 木造船も漂着 秋田
 北海道から北陸地方にかけての日本海沿岸には、北朝鮮から流れ着いた木造船が相次いで発見されております。北海道の松前小島では、避難小屋にあった家電製品等が根こそぎ盗み取られる事件も発生していますが、同事件に関しては、日本側の捜査員が白い防御服を着ての捜査となりました。

 当初、木造船漂着は一般の北朝鮮漁民の遭難事件とみられていましたが、北朝鮮軍部の関与が判明したため、今日、警戒レベルを上げる段階に来ております。朝鮮半島が緊迫する状況にあっては、民間人を装ったテロリストや工作員の活動があり得るからです。加えて、過去の北朝鮮の行動からしますと、同国が、生物化学兵器を使用する可能性も高く、松前小島の事件において防御服の着用が見られたのも、既に、その危険性を認識していたとも推測されます。単なる盗難事件ではこうした重装備は必要なく、北朝鮮軍による何らかの毒性の高い物質や細菌等の散布を警戒してのことなのでしょう。敢えてレーダーに捕捉され難く、警戒感を呼ばない古びた木造船を運搬手段として使用しているとすれば、頻発する漂着事件は侮れません。

 マレーシアのクアラルンプールにおける金正男氏暗殺事件では、VXガス使用による犯行の疑いが濃く、地下鉄サリン事件を起こしたオウム真理教も北朝鮮系組織であったとの指摘もあります。また、歴史を遡れば、1348年に、モンゴル軍がジェノバの植民市であったクルミア半島のカッファを攻略するに際し、ペストで死亡した人の遺体を城内に投げ込むという手法が採られたそうです。植物性の毒や昆虫類を利用した攻撃手段は古代ギリシャ時代から存在していましたが、人体を利用した細菌兵器は、モンゴル軍が最初の使用者であったかもしれません。

 日本国政府は、北朝鮮が日本国に対して民間人を攻撃対象とした同様の作戦を展開する可能性は視野に入れておくべきできなのではないでしょうか。既に、北朝鮮は臨戦態勢に入っているのですから、その前哨戦として生物化学兵器によるテロを実行するかもしれず、戦争が正規の戦争と不正規のテロとが混在するハイブリッド化している今日、対北朝鮮に対する防衛体制は、後者をも含めた万全なものとすべきなのではないかと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。

にほんブログ村 政治ブログへにほんブログ村

コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 価格急騰はビットコインの弔... | トップ | 真珠湾攻撃と北朝鮮問題―似て... »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (北極熊)
2017-12-07 16:51:59
例えば、神風特攻隊のように自己犠牲を厭わない兵士が応募し、特殊部隊をつくる。それらの兵士に、生物兵器となるような病原菌を投与し船に載せて日本に上陸させる。発病して感染を広げる。と言う作戦だって、思いつかないわけではないですものね。
北極熊さま (kuranishi masako)
2017-12-07 18:58:42
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。

 北朝鮮につきましては、ハイテク・テロのみならず、ローテク・テロにも警戒しなければならないのではないかと思います。むしろ、後者の方が対応が難しい可能性もあり、油断は禁物です。奇策も繰り出してくるでしょうから、日本国政府は、急ぎ、あらゆる可能性に対して防備体制を整えるべきではないかと考えております。
不安です (タック)
2017-12-07 21:09:57
第二次世界大戦中、日本からの風船爆弾の攻撃に米国では生物兵器の可能性を疑い、農業技術者らを組織して大規模な調査を行っています。
日本側では、生物兵器の搭載を検討していましたが、米国の報復を恐れて実施しませんでした。
北朝鮮側からすれば、現行憲法で報復できない日本相手なら生物兵器を使用しても危険は少ないと考えられるでしょう。
タックさま (kuranishi masako)
2017-12-07 21:43:34
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。

 無法国家であります北朝鮮に対しましては、戦争法の順守を期待することができない、という深刻な問題があります。つまり、民間人に対しても、あらゆる非人道的、かつ、残虐な攻撃方法が採られる可能性があるということになりましょう。木造船は北朝鮮人民軍に所属しているとの説もありますので、この問題は、海上保安レベルから防衛レベルへと移行させるべきではないかと考えております。

国際政治」カテゴリの最新記事