万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

崩れ行く集団免疫論-「ブレークスルー感染」が示すコロナ・ワクチン効果の限界

2021年07月28日 12時48分26秒 | 国際政治

 集団免疫論とは、各国政府によるワクチン接種推進政策の根拠となる基礎理論と言っても過言ではありません。人口の凡そ6割程度がワクチンを接種すれば、自ずと感染を予防する効果が生じ、非接種者を含めた社会全体が感染症の脅威から守られる、というものです。集団免疫論が信じられてきたが故に、ワクチン接種は任意とされつつも、政府は接種推進キャンペーンを張り、背後から社会全体に対して同調圧力を醸し出してきたとも言えましょう。

 

 しかしながら、この集団免疫論、少なくとも新型コロナウイルス感染症に関しては、成立しない可能性が高まってきています(インフルエンザでも成立しないのでは…)。ここに来て、「ブレークスルー感染」の増加の報告が相次いでいるからです。「ブレークスルー感染」とは、ワクチンを接種した人が、体内で十分な量の抗体が生成されるとされる期間を経た後にあって、ウイルスに感染してしまう現象を意味しています。つまり、「ブレークスルー感染」の増加は、ワクチン効果の限界を示しているのです。

 

しかも、この「ブレークスルー感染」、イスラエルやアメリカといったワクチン接種率の高い国において日に日にその数が増しています。ワクチン効果によってか、一時的に低下していた新規感染者数も増加に転じており、アメリカでは、2回接種した7700万人のうち凡そ5800人が新型コロナウイルスに感染し、その内74人が亡くなったそうです。東京オリンピックに参加しているアメリカ選手団にあっても、PCR検査によって陽性反応が確認された選手がおります(「ワクチン・パスポート」は無意味では…)。また、その凡そ56%が接種済みであるイスラエルでも、ピーク時と比較すれば格段に少ないものの、新規感染者が再度1000人を越えるようになりました(イスラエルの人口規模は日本国の10分の1以下ですので、一日あたりの新規感染者は、現在の日本の状況を上回る…)。

 

 もっとも、ファイザー社は、ワクチン効果は感染そのものよりも、重症化や死亡を防ぐ効果が高いと説明しています。当初から同説明を政府の方針選択の判断基準としていれば、集団免疫戦略を採用されることはなかったのでしょう。そして、感染防止効果が限定的である点は織り込み済みとしましても、この頼みの重症化防止効果につきましても、昨今、疑問が呈されるに至っています。「ブレークスルー感染」にあっては、感染者数のみならず、重症患者数も増加傾向にあると報告されているからです。しかも、イスラエルでは、ワクチン接種で生成された中和抗体の減少、並びに、デルタ株の影響もあって(厚労省の調査によれば、ワクチン接種後の感染者を調べた結果、変異株のみならず、従来株にも二度感染するケースがある…)、重症患者の内、凡そ6割がワクチン接種済みなそうです。もっとも、イスラエルの研究によれば、重症患者は糖尿病や高血圧などの基礎疾患のある人が多く、一般の健康な人であれば、それ程には恐れる必要はないのかもしれません。しかしながら、それでもワクチン接種は、感染によって重症化しやすい基礎疾患を持つ人に先ずもって推奨されていましたので、ワクチン接種の意味が薄れてしまうことは否めないのです。

 

 「ブレークスルー感染」の増加を受けてアメリカのCDCも方針を転換し、ワクチン接種者であっても感染リスクの高い地域では屋内にあってもマスクを着用するよう求めるようになりました。言い換えますと、ワクチン接種率を上げたとしても集団免疫が成立する見込みは低く、引き続き、感染予防の対策や措置を維持し続ける必要があるということになります。そして、ワクチン効果に関する厳しい現実は、ワクチン接種の意義を著しく低下させることとなりましょう。

 

 以上の現実から考えるべきは、やはり、ワクチン接種によるメリットとデメリットとの比較であるのかもしれません。ワクチン効果の限界が見えてきた今日、接種時や短期的な副反応のみならず、ADEを初め、様々な中長期的リスクが指摘されている治験中のワクチンを、敢えて接種するだけのメリットがあるのかどうか、慎重に判断する必要がありましょう。そして、政府もまた、集団免疫路線の見直しを早急に決断べきではないかと思うのです。

 

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