万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

コロナ感染予防対策としての酒類提供制限を考える

2021年07月29日 11時29分02秒 | 日本政治

 政府によるコロナ対策は、今日、飲食店の経営を著しく圧迫しております。とりわけ酒類の提供については厳しい制限が課されており、営業時間は「まん延防止等重点措置区域」に指定されたお店では11時から19時まで、「その他区域」で11時から20時までと定められています。制限は営業時間に留まらず、酒類の提供には、‘客の滞在時間は90分以内’、‘入店人数は1グループ当たり4人以内、又は同居家族’そして、‘対策基本4項目の遵守(利用者間の適切な距離の確保や消毒設備の設置など…)’という3つの要件を満たさなければならないのです。

 

 かくして、酒類は’悪者’と見なされているのですが、ここに素朴な疑問があります。それは、アルコールには、ウイルスや細菌を除去する消毒効果があるのではないか、というものです。新型コロナウイルス感染症が広がり始めた当初、消毒用のアルコールが飛ぶように売れ、品薄状態となったことは記憶に新しいところです。新型コロナウイルスは、スパイクが出現した脂肪の膜で表面が覆われているエンベロープウイルスの一種ですので、アルコールに弱く、脂肪膜の融解によって感染力を失ってしまうのです。しばしば、時代ものの劇やドラマなどで傷口にお酒を吹きかける、といったシーンが登場しますが、昔の人も、アルコールの消毒作用を経験知として知っていたのかもしれません。

 

 実際に、厚労省のホームページでも、ウイルス対策としてアルコール消毒を紹介しています。消毒効果のあるアルコールの濃度は70%以上95%以下とされていますが、より低濃度の60%以上でも効果があるとする報告もあるそうです。この基準から各種の種類のアルコール度数を見てみますと(度数とパーセンテージは同義…)、ウィスキーが40~60度、ラム酒が40~75度、かのウォッカが40~96度とありますので、これらのアルコール度数の高い蒸留酒の場合には、一定の除菌効果が期待できそうです。高濃度のアルコール類を口にしますと、体内にあって口内を含めて通過したところに付着していた新型コロナウイルスは、きれいに消毒されるかもしれないのです(もっとも、善玉の常在菌も減らしてしまうという問題も…)。

                                                                                                 

 それでは、日本酒やワインといったアルコール度数の低い種類のお酒には、抗コロナ効果はないのでしょうか(度数の低い種類でも、消毒効果はゼロではないにしても…)。最近に至り、新型コロナウイルスを撃退する効果が高いとして注目されている物質があります。それは、5-ALAと称されるアミノ酸であり、長崎大学によって発見されたものです。代謝を高めるサプリメントとして既に発売されておりましたが、コロナ禍にあって知名度が上昇することとなりました。5-ALAには感染予防のみならず、実際に患者に投与したところ、回復を早めたとする症例報告が医学雑誌「The Open COVID Journal」に掲載されたそうです。そして、この5-ALAを多く含む食品こそ、日本酒、ワイン、納豆といった発酵食品であるというのです。つまり、日本酒やワインには、蒸留酒ほどの消毒効果はないにしても、感染予防(スパイク部分に吸着…)やウイルスの増殖阻止(ウイルスの遺伝子に結合…)が期待できると言えましょう。

 

 以上の情報を考慮しますと、酒類を目の敵としてできる限り排除しようとする政府の方針が果たして正しいのか、疑問も芽生えてきます。もちろん、酒類の提供そのものではなく、アルコールによる気分の高揚から飛沫等による感染リスクが高まるということもありましょうし、大勢の人が集まる酒宴がクラスターの原因となりやすいことも事実なのでしょう。また、お酒は、アルコール依存症、肝硬変、メタボ、認知症といった様々な疾患の原因にもなりますので、決して積極的にはお薦めはできないのですが、従来の’定説’を覆し、’悪玉’ではなく本当は’善玉’であった可能性も否定はできないのです。

 

 人とは、しばしば先入観や固定概念に縛られてしまうものですが、こうした思考の束縛から離れてみますと、これまでとは違った姿が見えてくることもあります。酒類の提供規制についても、アルコールの性質や作用を把握した上での、客観的な事実に基づいた判断が必要となりましょう。そして、マスメディア等によって人々の思考が予め造られた枠に閉じ込められ、社会全体が狂気に覆されつつある今日、発想と思考の自由、そして、冷静な判断力を取り戻すことこそ、コロナ禍から脱出するに際しての、最も安全で堅実な道なのではないかと思うのです。

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