万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

宗派対立の解決策としてのイスラム型政教分離

2011年02月19日 16時33分38秒 | 中近東
バーレーンの銃撃、負傷者70人超 デモ隊反発強める(朝日新聞) - goo ニュース
 中東諸国で連鎖的に発生している民主化運動の中には、バーレーンのように、シーア派とスンニ派の宗派対立という、もう一つの対立軸を抱えている場合があります。この難問の解決策として、イスラム型政教分離のあり方を検討してみてはどうかと思うのです。

 キリスト教にあっても、16世紀の宗教改革がプロテスタント対カトリックの激しい宗派対立を引き起こしました。どの国も、新旧両派による激しい内乱に陥いり、宗派対立が国民を引き裂いたのです。その一方で、同じキリスト教者同士が殺戮し合う悲惨な経験の中から、宗派の違いが国家や国民の分裂を招かないための知恵も生まれてきました。その一つが、寛容の精神に基づく政教分離の原則です。宗派の違いを相互に承認したうえで、宗派的な違いが政治的な対立を招かないよう、政治問題と宗教問題を分けようとしたのです。

 政教分離には、宗派対立を緩和する作用があるとしますと、イスラム教もまた、双方の宗派の信徒を公平に扱い、政治的な権利も平等化し、政治における議論を安全保障や社会保障といった政治問題に限定することで、宗派の違いによる内部分裂を避けることができるかもしれません。

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