万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

第三次世界大戦計画は進行中なのでは-和平という名の陣営分割?

2024年06月12日 10時27分58秒 | 国際政治
 イスラエル・ハマス戦争については、イランにおけるヘリコプター墜落事故による大統領の死亡事件により、現状にあっては一先ず動きが止まっています。その一方で、ウクライナに対しては、6月13日からイタリアで開催予定のG7サミットにあって、ロシアの凍結資産を活用する形で新たな支援策が検討させる模様です。

 同案に先立つ今年の4月には、既にNATOでは、今後5年間を目処に16兆円規模のウクライナ軍事支援基金を創設することを決定しています。これに続く今般の基金創設案は、G7諸国が戦争の長期化を想定しているとも解され、ウクライナ戦争の停戦がほど遠いことを示しているとも言えましょう。また、実際に、同国に対する軍事支援も拡大傾向を見せています。特に、今年に入り、ウクライナへのNATO軍派兵まで主張し始めたフランスのマクロン大統領の好戦的な姿勢が目立っており、つい先日もフランスが開発した戦闘機「ミラージュ2000」の対ウクライナ供与も表明しているのです。

 ウクライナサイドにあって戦争拡大への兆候が見られる中、報道される限り、ロシアも矛を収める気配はありません。核兵器の使用を以てNATOを牽制すると共に、本日(6月12日)も、2022年4月4日にNATOに加盟したばかりのフィンランドに対して、ロシア軍機がフィンランド湾東部で領空侵犯を行なったとも報じられています。因みに、昨年の2023年11月には、ロシアは、ソ連邦崩壊後に締結した非核化協力に関する政府間の協定の終了を日本国側に通知しています。同協定の終了は、日本国がロシアの核攻撃の対象とされたことを暗に示すと共に、日本国側も、ロシアに対する非核化の法的義務が消滅したことを意味します。

 加えて、一貫してロシアを支援してきた中国にあっても、台湾有事をめぐる米中関係の悪化に加え、他の‘西側諸国’との間での軋轢も強まっています。南シナ海では、オランダ軍のフリゲート艦の上空を中国軍機が旋回するという事件も発生しています。先月5月には、同様の事件が、朝鮮半島西側の公海上でオーストラリア軍との間でも起きているのです。

 これまでの各国の動きを観察しますと、そこには、世界権力が温めてきた第三次世界大戦計画の青写真がうっすらと映し出されているように思えます。マクロン大統領の強硬路線も、同氏が、ロスチャイルド銀行の社員であった経歴からも説明できるかも知れません。全世界をグローバルに支配するためには、全世界の諸国を敵対する二つの陣営に二分する形での第三次世界大戦こそ、最も望ましいシナリオなのでしょう。

 そして、この観点から注目されるのが、両サイドから提案されている和平会議の開催です。中国外務省は、今月の6月11日に、ブラジルと共同で提案したウクライナ和平案に対して、「101の国と国際機関が前向きな回答」をしたことを明らかにしています。その一方で、ウクライナ側も、今月15日から16日にかけて「平和サミット」の開催を予定しており、同サミットには、90の国と地域が‘登録’したそうです。双方からの和平に向けた試みですので、歓迎する向きもあるのですが、第三次世界大戦計画を仮定しますと、‘和平’の名を借りた全世界の諸国を対象とした‘陣営分け’の一環であるようにも思えてきます。何れであれ、どちらかの和平案に賛成したところ、いつの間にかいずれか一方の陣営に組み込まれ、第三次世界大戦に巻き込まれてしまうシナリオもあり得るのです。

 過去の二度の世界大戦にあっても、世界権力は、上部から両陣営を操っていた節があります。第三次世界大戦計画にあっても、同勢力は、全世界のトップ政治家達を自らの傀儡とし、陣営対立を演出するものと想定されましょう。日本国の岸田首相を見れば当然に予測されるのですが、何れの国民も望みもせず、合意もしていない戦争に、背信的な政治家達によって巻き込まれてしまうのです。第三次世界大戦の結果として利益や権力を得るのは一部の戦争利権を握る世界権力、並びに、そのおこぼれに与る少数の人々に過ぎないのですから、何れの国の国民も、その政府が‘騙されたふり’をしつつ協力しているとも推測される第三次世界大戦計画については十分に警戒し、それを阻止する努力を怠ってはならないと思うのです。

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