万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

レプリコン型ワクチンが示唆するコロナ禍の虚偽性

2024年06月03日 12時11分29秒 | 国際政治
 他の人が二度目に同じ事をしようとした時に、初回時の虚偽に気がついてしまうことは、ままあることです。このため、科学の世界では、如何に画期的な発見や発明であっても、厳格に再現性が求められるのですが、レプリコン型ワクチンも、この事例に含まれるように思えます。もっとも、この場合、遺伝子工学のテクノロジーにおける‘二度目’ではなく、新型ワクチンの開発・製造・販売、すなわち、新技術を用いた製品の市場への投入に際しての‘二度目’です。

 中国武漢市にあって未知のウイルスであったCovid19による感染症の拡大が始まったのが2019年末であり、WHOのテドロス事務局長が全世界の諸国に向けてパンデミックを宣言したのが、2020年1月30日のことでした。その後、各国の製薬会社は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止を目的として、ワクチンの開発を急ぐことになります。そして、ワクチン開発競争に製薬各社が鎬を削る中、‘救世主’の如くに登場してきたのが、mRNAワクチンという、最先端の遺伝子工学技術を用いた新しいタイプのワクチンであったのです。

 mRNAワクチンの開発に当たっては、他国他者に大きく水をあけて米英の製薬会社が先行しました。逸早く、イギリスのアストラゼネカ社やアメリカのファイザー社並びにモデルナ社等が、新型コロナウイルスに対する同ワクチンの開発に成功しています。その一方で、コロナ禍の拡大による感染者、重症者、死亡者の増加と医療崩壊への危機感から、各国政府は、正式な承認に先立ってmRNAの使用を緊急に許可したのです。例えば、2020年の12月11日には、アメリカのFDAがファイザー社に対して緊急使用許可を与えています(因みに、正式の承認は2021年8月24日・・・)。コロナ禍が始まってから僅か1年足らずで、新型ワクチンが実際に使用される運びとなったのです。

 通常、ワクチンの開発には、数年から数十年の月日が要するとされており、未知の感染症発生から1年を経ずして承認が下りたたことは、異例中の異例のことでした。ワクチンとは、医療行為として使用される医薬品とは異なり、健康な人々を対象としますので、安全性を十分すぎるほどに確認する必要があるからです。しかしながら、‘緊急事態’が早期のワクチン承認を正当化する一方で、医科学的な見地からも、mRNAワクチンについては、既にSARSやMARS等の感染防止、並びに、がん治療等の新たなアプローチとして研究が進んでいた点などが挙げられ、安全性に関する懸念はないと説明されたのです。日本国政府を含め、各国政府とも、この立場からワクチン接種プロジェクトを、強力に‘上から’強力に推進することとなったのです。

 公衆衛生を管掌する当局による早期承認については、確かに、一見、上記の説明は説得力があるようにも思えます。しかしながら、新種のテクノロジーの安全性とワクチンの製造・販売とは、別次元の問題です。冒頭で述べた‘二度目’とは、まさに、後者のプロセスに関するものです。日本国の厚生労働省によるレプリコン型のワクチンの最初の承認は、昨年2023年11月28日のことなのですが、実際に、同タイプのワクチンが製造され、販売に至るには、早くても今年、即ち2024年の秋頃に予定されているからです。たとえ当局からワクチンとして承認されたとしても(もちろん、承認が早すぎるとの批判がある)、実際の使用までに1年余りを要するのは、製造機械や工場を発注・建設したり、販路を確保するなどの作業を要するからです。承認の時期と使用の時期が同時となることは、本来、あり得ないことなのです。

 ところが、初回のmRNAワクチンのケースを見ますと、上述したように緊急使用の許可と凡そ同時に国民へのワクチン接種のみならず、海外諸国への輸出も始まっています。日本国でも、2021年2月には、厚労省の承認の下でワクチンの接種が開始されました。パニックに陥りますと、正常な認識も判断も難しくなるのですが、今に至り、冷静になって考えてみますと、製薬各社が、輸出を可能とするほどの大量のワクチンを緊急承認と同時に製造できたとしますと、これは、あまりにも不自然です。先ずもって、大量生産可能は製造機器からして設計し、一から組み立てなければならないのですから。細かな各部品の発注から納品までの時間を考えましても、これは、殆ど不可能に近いことです。

 となりますと、ここで推測されるのは、緊急承認、あるいは、コロナ禍の発生に先だって既にmRNAワクチンの大量生産体制、即ち、製造装置の設計から工場の建設至るまでの全ての工程が済んでおり、それ故に、承認と同時に大量に供給することができた、というものです。何処かの倉庫で秘密裏に保管されていたのかもしれませんし、あるいは、スイッチを入れた瞬間から膨大な数の製造機械が一斉に稼働し、mRNAワクチンを大量に生産したのかもしれません(なお、生物兵器の使用に備え、米軍が準備していた可能性も・・・)。‘世界に先駆けて’と銘打ちながら登場してきた日本国のレプリコン型ワクチンは、図らずも、mRNAワクチンに関する虚偽を明るみにしたようにも思えるのです。

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