新型コロナウイルス感染症の起源をめぐっては、今日、武漢ウイルス研究所から流出説が信憑性を増してきています。アメリカの情報機関による報告書を受けてアメリカ政府も、自然発生説から流出説へと態度を変えたとされていますが、影の立役者として名が挙がっているのは、有志の専門家によって構成されている「ドラスティック」という匿名のネット調査団なそうです。
発生当初、同ウイルスの起源は、武漢市の海鮮卸売市場において売買されていた野生のコウモリとされてきました。中国政府も公式にこの立場を主張しており、同国に追随するかのようにマスメディアも自然発生説を’正統’とみなしてきました。親中派のテドロス事務局長をトップとするWHOも中国と立場を同じくする共に、権威ある英医学誌である『ランセット』にも、自然発生説を支持する記事が27名の科学者による連名で掲載されたのです。
一方、新型コロナウイルス自然発生説に対しては、疑問の声も少なくありませんでした。発生直後から中国屈指のレベル4を誇る武漢ウイルス研究所からの流出説が唱えられており、ネット上にあっては、自然発生説を凌駕する勢いで全世界に拡散されることとなったのです。しかも、武漢ウイルス研究所からの流出説は、根も葉もない流言の類ではありません。ウイルス学や遺伝子工学等に基づく科学的な根拠もあり、流出説を支持するノーベル賞受賞者の科学者も存在したのです。
かくして、政府やメディアレベルでは自然発生説が’正統’とされる一方で、ネット上では優勢であった流出説は’異端’とみなされ状態が続くこととなりました。しかも、ネット側にいるはずのSNSも前者に与し、流出説に対して事実上の検閲を実施するに至るのです。現代という時代にあって、異端者弾圧という中世さながらの状況が出現してしまったのです。しかも、正統説は政府公認ですので、いわば’国教’として位置づけられたのです。
実のところ、同様の現象は、コロナ・ワクチンをめぐっても観察されます。ワクチン問題にあっては、’正統’側がワクチン安全説であり、’異端’側がワクチン危険説です。後者は、言論の表舞台にあっては政治的に迫害され(ワクチンパスポートの導入でやがて社会的にも迫害?)、悪魔崇拝者であるわけでもないのに’異端者’扱いです。否、医科学的なリスク認識に基づいてワクチンの危険性を指摘しているのですから、客観的な事実に誠実であり、かつ、危険を知らせようとする善意から発しているにも拘わらず、’社会悪’と見なされているのです。
もっとも、中世にあって見られた非科学的な異端迫害は、事実を前にして終止符が打たれるケースも少なくありません。その象徴的な出来事は、天動説から地動説への転換です。正統な教義では前者が宗教的に正しいとされてきましたが、コペルニクスは、異端とされてきた地動説方が科学的に正しいことを証明したのです。かくして中世の人々の世界観は一転してしまうのですが、今日にあって、新型コロナウイルスの自然発生説から武漢ウイルス研究所流出説への転換は、まさに現代におけるコペルニクス的な転換と言えましょう(もっとも、完全に証明が済んだわけではありませんが…)。そして、治験中の遺伝子ワクチンの安全性についても、厳密な医科学的な検証の末に180度の転換が起きないとも限らないのです。遺伝子ワクチンについても、「ドラスティック」のような存在が必要なのかもしれません(もっとも、生物兵器説や機能拡張研究にまで踏み込んでいない点は気にかかる…)。
なお、目下、日本国政府は漸次にワクチン接種対象年齢を広げ、12歳から15歳までの中高生もその対象に含まれるようになりました。低年齢層への拡大に伴い、できる限り接種率を上げるべく、教育現場に対してワクチンの安全性の説明に努めるよう要請することも予測されます。しかしながら、本問題を教育に生かすとすれば、それは、一方的に安全説を吹き込むのではなく、科学的な事実によって’定説’が覆されるケースが存在することを教えることではないでしょうか。’遺伝子ワクチンには未知の部分があり、将来的にリスクが証明される可能性もあり得る’、あるいは、’あらゆる疾病から人々を救う免疫システムの完全なる解明は、君たちの世代の使命である’とする説明のほうが、自由な知性の働きを重んじる自由主義国に相応しい教育の在り方のように思えるのです。