万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

ワクチン情報統制の逆効果-安全神話のリスク

2021年07月12日 12時44分39秒 | 国際政治

今般のコロナ・ワクチン際して、政府もマスメディアも懸命に’安全神話’を国民に刷り込もうとして必至のようです。河野太郎ワクチン相に至っては、科学的に立証することなく因果関係を全否定する、あるいは、’自分は聞いていない’として、あらゆるリスク情報を’デマ’として葬り去ろうとしました。主観に基づくリスク否定ですので合理性も説得力もないのですが、’ワクチンの安全性を疑うことは、許されざるべき神への背信行為’とでも言わんばかりなのです。そして、今日、Youtubeではリスクを指摘する動画が削除され、ツイッター社も、’誤解を招く投稿は制限する’としてワクチンの安全神話への協力を表明しています。

 

ワクチンのリスク情報に対する政府やメディアの態度は、あたかも現代の’魔女狩り’のようです。ワクチン安全神話を疑う人は’魔女’であり、異端者なのです。しかしながら、理性が尊重される今日という時代にあって、非合理的な’ワクチン神話’の成立を目指す方が余程魔女的なように思えます。事実から目を逸らさせ、人々を誑かそうとしているのですから。今日の状況は、魔女が常識的な一般の人々を、逆に魔女として迫害している構図に見えてしまいます。

 

コロナ・ワクチンにリスクが伴うことは、製薬会社自身も認めています。ファイザー社やモデルナ社の説明書にも、「新しい種類のワクチンのため、これまでに明らかにされていない症状が出る可能性があります」と明記されています。安全性が保障されていない治験中のワクチンであることは、誰もが否定のしようもないのです。そもそも、仮にコロナ・ワクチンが100%安全であれば、製薬会社が各国政府に対して損害賠償の支払いの肩代わりを求めるはずもありません。また、最近に至り、アストラゼネカ社のワクチンと血栓症、次いで、ファイザー社のワクチンと青年層の心筋炎や心膜炎の発症との関係が公式に認められるようになりましたが、これらの事実は、ワクチン・メーカーが自社のワクチンが接種者の体内において作用するマイナス影響を完全に把握することなく販売に踏み切った実態を如実に示しているとも言えましょう。

 

一方、日本国の厚労省も、ワクチン接種後に因果関係が疑われて報告された死亡者数を556名として公表しています。この数字を前にしては、国民の大半はワクチンの安全神話が怪しいことに気が付くことでしょう。実際に、SNSでも、自らの身近な人がワクチン接種後に亡くなったとする記事が拡散されていますが、ツイッター社は、こうした実体験に基づく記事をも’誤解を招く’として制限するのでしょうか。’誤解’という意味が、’安全神話に対する懐疑心’を意味するならば、あらゆるマイナス情報がツイッター社の私的情報統制の対象となってしまいます。

 

そしてここに、今般のアメリカ大統領選挙にあって問題ともなった、民間の一企業であるツイッター社には、社会におけるリスク情報、あるいは、’政治的に不都合な情報’を事前検閲する正当な権利があるのか、という問題が再燃されることとなるのですが、アメリカであれ、日本国であれ、政府、あるいは、政権を担う特定の政治団体が、メディアやSNSの事業者と結託して自らの政策方針に障害となる情報を封鎖しようとする強権的な姿勢は、言論の自由を尊ぶ自由主義国が目下直面している深刻な危機とも言えましょう。

 

 新発見の無人島に人々を送り出す際に、‘危ないことなど一切ないのだから安心して行っておいで’と言いながら背中を押して船に乗せる場合と、‘何があるか分からない’として無人島にありがちなあらゆるリスクについて伝え、‘危険を察知したらすぐに引き返すように’と言って見送るのとでは、どちらが船出する人々を大事にしているのかは一目瞭然です。言葉だけを聴けば前者のほうが優しく響くのですが、明白にリスクが認められる事柄の場合には、それが必ず起きるとは限らないまでも、リスク情報こそが命綱となります。そして、リスク情報が多方面にわたり、その量が多ければ多いほどサバイバルの可能性も高まることとなりましょう。

 

 政府は、接種率を上げるべくワクチン安全神話の確立を急いでいるようですが、メディアを動員してのリスク情報の隠蔽は、リアルなリスク情報に接している国民の不信感を募らせるのみとなりましょう。あくまでもワクチンが安全と主張するならば、リスクの指摘に対して医科学的な根拠を示して正々堂々と反論すべきなのです。一般的には、議論から逃げている側を人々は’敗者’と見なすものです。政府やメディアによるワクチン安全神話の流布は、この意味においても逆効果となるのではないかと思うのです。


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