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万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

南シナ海の緊張は中国が諦めるまで続く

2015年10月28日 15時10分39秒 | 国際政治
米、中国の領有権認めず…南シナ海緊迫化の恐れ
 昨日、アメリカが中国の南シナ海における領有権主張を否定するために敢行した”航行の自由作戦”に対して、中国は、あたかも自らが権利を侵害された被害者の如くにアメリカを批判しております。南シナ海での米中一触即発の事態を受けて、今後の展開について様々な憶測が飛び交っております。

 こうした憶測の中には、米中は、正面からの衝突を望んではおらず、アメリカも、適当なところで元の鞘に納まるのではないか、とする中国側に立った楽観的な見通しも見られます。しかしながら、アメリカは、今後とも南シナ海でのオペレーションを継続すると宣言していますので、早期に緊張が緩和するとは思えません。否、緊張緩和が中国の違法な”領海化”を既成事実化として認めることを意味するとしますと、それは、”ミュンヘンの融和”に匹敵する禍根を歴史に残すことにもなります。領土的野心を抱く国に安易に妥協しますと、それは、”侵略のゴーサイン”と受け取られかねないからです。しかも、中国による一方的な”領海設定”を認めることは、戦後、構築してきた海洋法秩序の根本的な崩壊をも意味します。中国は、自国が「海洋法に関する国際連合条約」の締約国であることを忘れているのでしょうか。明々白々な違法行為を黙認しますと、法はあってなきが如しの状況となり、世界各地の海に人工島が出現し、野心的な諸国が領海設定に乗り出すことでしょう。この問題は、決して米中間の二国間対立ではなく、その本質において国際秩序全体の問題なのです。

 物事には、決して妥協してはならないものもあるものです。南シナ海での緊張は、如何なる形であれ、中国が、軍事利用を目論む人工島建設計画を諦め、同時に、領有権、並びに、領海設定の主張を取り下げざるを得なくなるまで続くものと、覚悟すべきではないかと思うのです。

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コメント (2)
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