万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

”日本国籍スパイ”の謎-甘い帰化審査

2015年10月01日 15時12分14秒 | アジア
中国、スパイ容疑で日本人3人拘束か 菅長官「わが国は絶対にしていない」
 中国政府が日本人スパイ3人を拘束した事件で、菅官房長官は、”我が国は絶対に(スパイ行為)をしていない”と述べ、日本政府の関与を否定しました。しかしながら、長官の発言は、拘束された容疑者が”スパイではない”と証言しているわけではありません。

 報道によりますと、”日本人スパイ”の内の一人は、北朝鮮からの脱北者であり、その後、韓国から日本国に居を移し、日本国籍を取得した人物なそうです。中国当局に拘束された場所が中朝国境地帯ですので、何らかのスパイ活動を行っていた可能性は否定できません。この事件で不可思議な点は、第一に、スパイ容疑者が日本に移住した上に、易々と日本国籍が付与されていることです。しかも、日本国籍を取得したとはいえ、北朝鮮籍の場合には、北朝鮮側が国籍を抹消しない限り、そのまま北朝鮮籍が残りますので、事実上、二重国籍状態となります(日本国では、法律上、二重国籍は認められていない…)。仮に、スパイ容疑者が、北朝鮮が、脱北者を装わせて侵入させた二重国籍の”朝鮮人スパイ”であるならば、このスパイ事件は、中朝間の政府間問題として扱われるべきです。その一方で、北朝鮮のスパイではなく、韓国政府のスパイである線も捨て切れません。収集していた情報は北朝鮮関連とのことですので、警戒感をもたれることなく北朝鮮側の人物と接触させるために、韓国政府が、敢えて脱北者に日本国籍を取得させたとも考えられます。仮に”韓国人スパイ”であるならば、釈放等の対中交渉は、韓国政府が行うべきことです。加えて、もう一つシナリオがあるとすれば、在日韓国・朝鮮人団体、あるいは、個人の意向を受けて、容疑者が、中朝国境地帯に向ったとするものです。南北両国政府との関係は定かではありませんが、中朝国境地帯には朝鮮族も多数居住しており、何らかのコリア系ネットワークが東アジア一帯に構築されている可能性もあります。

 拘束されている”日本人”の正体が何者であれ、この経緯から見えてくるのは、日本政府の帰化審査の甘さであり、それは、朝鮮半島のスパイが”日本人”として活動するチャンスを与えたことをも意味します。そして”日本国籍スパイ”は、日本国内での活動も自由自在となるのですから、帰化審査の厳格化を図るべきではないかと思うのです。

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コメント (2)
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