万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

スコットランド独立問題-ナショナリズムの軽視は拗れの原因

2014年09月17日 14時17分21秒 | ヨーロッパ
スコットランドの独立が決まれば何が起こる?英国の国力低下だけでは済まない世界への影響(ダイヤモンド・オンライン) - goo ニュース
 ここ数年来、特に、グローバリズムの時代の到来が叫ばれて以来、国際社会やマスコミは、ナショナリズムを”日陰”の存在として扱ってきました。コソボ独立の時でさえ、出来る限り民族性を表に出さないよう細心の注意が払われていたものです。

 グローバリズムのおひざ元とも言えるイギリスでは、現在、スコットランドの独立問題で大きく揺れています。世論調査では賛否が拮抗し、明日に予定されている住民投票の結果は全く予想できない状況にありますが、マスコミの論調は、相も変わらずナショナリズムに対して冷淡です。例えば、元外交官の田中均氏は、雑誌記事においてスコットランドの独立について様々な側面におけるデメリットを論じ、その非合理性を強調しています。住民投票と言う民主的な手段は、ナショナリズムに流されやすく、非合理的な結果を招くリスクが高い、と言うことのようです。そして、最後は、「日本でもナショナリズムが排他的になり、世論迎合的雰囲気の中で非理性的な選択がなされないよう、目を光らせる必要があろう」という一文で結んでいます。”目を光らせる”という表現に、国民監視を宣言しているようで、どこか空恐ろしささえ感じさせるのですが(親北の田中氏ならではの発言?)、ナショナリズムを頭から非合理的な感情と決めつけ、見下す姿勢こそ、実のところ、こうした問題を拗らせているのではないでしょうか。そして、ナショナリズムと住民投票を結びつけることで民主主義批判まで展開する田中氏の主張は、一般の国民からしますと、民族自決権を非合理性の名の下で否定しているようにも聞こえます。

 実のところ、ナショナリズムとは人類に伴う極めて自然な感情であり、かつ、民族自決の原則は、国際社会において多くの民族に独立を与えてきたのですから、その存在を無視できるはずもありません。ナショナリズムを合理的に理解し、尊重することこそ、双方、否、人類が納得しうる状況に到達する道なのではないかと思うのです。

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コメント (8)
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