科学的な成果としてのSTAP細胞の存在は、理研の中間報告によりますと、否定的にならざるを得ないようです。その一方で、一連の事件は、生命科学のに対して極めて興味深いテーマを提供していると思うのです。
生物学は専門外ですので、的外れな疑問であるかもしれないのですが、それは、何故、”細胞は、死を前にして光るのか?”、あるいは、”遺伝子レベルで変化するのか?”という問題です。STAP細胞の万能性、あるいは、未分化状態であることを証明する証拠の一つとして、OCT4の発現があったことが挙げられていました。実験に先立ち、マーカーとしてOCT-4が発光するように遺伝子を操作するとで、その発現を確認することができるそうです。STAP細胞の場合も、OCT4の発現が確認されたため、その存在の信憑性が高まったのですが、実のところ、理研の中間発表でも説明されたように、OCT4の発光は、細胞が死を迎える直前にも観察されるそうです。つまり、OCT4が発光したのは、万能性を獲得したからではなく、細胞死に伴う現象であったことになるのです。STAP細胞の検証実験としては、お話はここで終わるのですが、この現象、事実であれば、まことに不思議な現象です。何故ならば、細胞は、生命が終わる段階で、遺伝子レベルでは、初期化、あるいは、再生という逆の方向の変化を見せていることになるからです。これは、一体、何を意味するのでしょうか。細胞死に伴う発光は、通常の緑色のみならず、照射する光の角度を変えると赤色にも見えるそうです。この奇妙な自家発光現象は、通常の遺伝子操作によるものと同一なのでしょうか。
細胞死における遺伝子発現の変化こそ、実のところ、生物の生と死に関わる謎を解く重大な鍵が隠されているのかもしれません。
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