万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

問題山積の再生エネ法は仕切り直しを

2011年08月11日 15時26分57秒 | 日本政治
再生エネルギーに頼らない脱原発は可能か?【野口悠紀雄コラム】(ダイヤモンド・オンライン) - goo ニュース
 菅首相が退陣条件としたことから、再生エネ法は、今日明日にも衆議院で可決されるのでは、報じられています。産業と国民に全負担のしわ寄せがくる法案ですので(産業界だけでも合計1079億円…)、慎重な対応が必要なのですが、本日新聞紙上に掲載されていた修正内容を見ますと、唖然とせざるを得ないのです。

 何故ならば、一部の事業者、それも、ソフトバンクといったこの法案の成立をスタンバイして待っていた一部の事業者にしか、プラスのメリットはないからです(もっとも、3年で投資を回収できるかどうかは疑問・・・)。買い取り価格については、第三者機関に委ねるとされていますが、3年間は、事業者を優遇するそうです。この意味するところは、3年間は、高額で買い取り、その後は、価格を下げてゆくということなのでしょう。こうした仕組みですと、後から参入する事業者ほど、メリットが薄まる上に、利益を上げようとすれば、新技術導入による発電効率のアップを図らねばならず、参入障壁が高くなりますこのことは、この方式では、事実上、法律が、最も旧式の発電効率の悪い施設を運営している事業者の利益を守ることになります。しかも、第三者機関が、低い価格を設定すれば、採算が悪化しますので、撤退を余儀なくされるリスクも高いのです。つまり、この法案は、再生エネルギーの導入促進にも技術の向上にも、ほとんど貢献しないと予測されるのです。もっとも、再生エネルギー技術の現状のレベルでは、事業者が増えない方が経済にはプラスですので、敢えてこうした仕組みに修正したのかもしれませんが・・・。

 再生エネルギーの普及させても、蓄電技術やスマート・グリッドが整備されてない段階では、発電事業はコスト高と電力供給の不安定化しかもたらしません。震災からの復興に電力を要する時期なのですから、再生エネルギー法案は、一端、仕切り直し、一部の事業者偏重ではなく、より効果的に全般的な技術革新や製品開発を促し、恩恵が均霑するすような制度を時間をかけて考案し、復興の目途がついた時期に議論すべきなのではないでしょうか。

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コメント (10)
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