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万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

カダフィ独裁政権側の懐柔策は”危険な罠”

2011年02月26日 15時46分52秒 | 中近東
カダフィ大佐「敵を打ち負かす」、演説で徹底抗戦呼び掛け(トムソンロイター) - goo ニュース
 反政府側が支配地を拡大し、首都トリポリに迫る勢いの中、カダフィ政権側は、国民懐柔政策を打ち出しているようです。しかしながら、これが、”危険な罠”であることは、言うまでもありません。

 政権側の懐柔策の内容は、1)各世帯への500リビアの配布と、2)公務員給与の最大5割アップとのことです。そもそも、カダフィ一家の不正蓄財は、この事件をきっかけとして暴露されてきており(海外資産が2兆円を越えるとも…)、500リビアの配布の約束は、財政に余裕がありながら、それを国民に隠してきた証拠でもあります。カダフィ氏の執拗で残虐な性格を考慮しますと、この配給を受けて国民が抵抗を止めた途端、一気に反政府側に対する弾圧と粛清に走ることは目に見えています。公務員給与の値上げにしましても、国民生活の向上よりも、自らの政権の藩屏となる”公務員”を増やし、利益を配ることで、政権支持派を固めたいだけなのです。

 エジプトでは、ムバラク独裁政権側が公務員の昇給を約束したことで、国民の怒りを買いましたし、バーレーンでも同様の懐柔政策が行われましたが、その効果はありませんでした。目先の利益をちらつかせ、後で、襲いかかるという罠を仕込んだ懐柔策には、国民は、充分に気をつけるべきと思うのです。

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コメント (2)
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