万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

エジプト大統領選挙―幅広い候補者の擁立を

2011年02月07日 14時57分04秒 | 中近東
交渉に招かれず=エルバラダイ氏(時事通信) - goo ニュース
 エジプト憲法が独裁体制を維持する仕組みを張り巡らしていることは、昨日の記事で取り上げましたが、”悪知恵の輪”を解く方法、すなわち、ムバラク大統領の辞任と野党側の候補者擁立の両者を実現させる秘策がないわけではありません。

 例えば、エジプト憲法によりますと、大統領選に立候補するには、(1)議会、諮問機関であるシューラ、地方議会における一定数の議員による支持、(2)一定の基準を満たした政党(前回の選挙で得票率3%以上…)の指名推薦、の二つが方法があるようです。極めて高い”参入障壁”と過去の不正選挙により、反ムバラク側には、現状ではこれらの基準を満たすことができる候補者はいないようです。そこで、もし、憲法を改正せずに大統領選挙を行うとしたら(新聞報道によれば、憲法を改正してから大統領選挙を行うらしい…)、与党側が妥協し、議会、シューラ、地方議会の与党議員が、反ムバラク側が擁立する候補者に対して、立候補の支持を与えるという方法があります。この方法ですと、(1)の条件は、クリアできます。しかも、憲法には、一議員が一人の候補者しか支持できない、とは書いていませんので、複数の候補者を大統領選挙に出馬させることもできるはずです。

 スレイマン副大統領は、ムスリム同胞団と交渉を開始したとも情報が伝わりますが、ムスリム同胞団以外の候補者を締め出しては、民主化は実現しません。エジプト国民が民主化の果実を享受できる日が早期に訪れるよう、知恵を絞るべきなのではないでしょうか。

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