万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

エジプトはイスラエルの存在を保障する国に

2011年02月14日 15時31分17秒 | 中近東
イスラエル首相、エジプトの平和条約順守確約を歓迎(朝日新聞) - goo ニュース
 かつて欧米でベストセラーとなった本に、旧約聖書の新解釈を提起した『出エジプト記の秘密』というタイトルの本があります。その新解釈とは、”神”とは、モーゼにカナンの地を約束したのはファラオではなかったか、というものです。もちろん、この解釈には、無理もあるのですが、今日、両国の関係を見てみますと、エジプトは、イスラエルの存在を保障する国になりつつあると思うのです。

 エジプトでの反政府運動が始った当初は、イランの思惑が取り沙汰され、イラン型のイスラム革命へと突き進むのではないかと懸念されました。しかしながら、エジプトは、原理主義の一色に染まることはなく、ムバラク退陣後に暫定的に国権を託されている最高軍事評議会でも、平和条約の順守を表明しています。今後、大統領や議会選挙が行われますので、将来的な中東政策の方針は、国民が選択することになりますが、平和条約の破棄に至る可能性は、それほど高くないと考えられるのです。エジプト国民は、民主化を確かなものとするために、内政改革に取り組むことを優先するかもしれません。

 エジプトの安定は、イスラエルにとりましても安全保障の重要な要なのです。ですから、イスラエルが、エジプトの復興支援に協力、あるいは、パレスチナ側に譲歩を示せば、両国の友好関係は末永く保たれます。エジプトが成し遂げた民主化が、中東全域の平和と結びついた時、古来の争いの地は、ようやく豊かで安定した地へと変わるのではないでしょうか。

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コメント (4)
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