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万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

国債管理の苦しみが待つ財務省

2008年12月20日 15時36分45秒 | 日本経済
国債発行132兆円、4年ぶりの増額 09年度発行計画(朝日新聞) - goo ニュース
 金融危機による景気後退を受けて、来年度の新規国債発行額は、30兆円を超えるそうです。財政健全化への道は、また遠のいたようですが、財務省は、今後、国債管理に苦しむことになるのではないか、と思うのです。

 第一に、財務省は、国債の引き受け手を確保しなくてはなりません。不況が深刻化する中、どの国でも国債の大量発行を計画しています。また、これまでは、日本国の国債は、安定的に国内で消化されてきましたが、国内金融機関の経営状況次第では、日本国政府も安心はしていられません。

 第二に、民間の資金不足を引き起こさないように、十分な注意が必要です。日銀は、昨日、政策金利を0.1%に下げましたが、国債の利回りが民間債権よりも上回りますと、クラウディング・アウトという現象が起こり、企業への資金供給を細らせてしまいます。

 第三に、現在、国債の利払いのみで9兆円を超える額が支払われていますが、長期金利の上昇を防ぎませんと、政策予算にまで影響が及びます。税収の伸びが期待できませんので、利払いの増加は、即、予算の減額となるのです。

 景気対策のためとはいえ、国債増発にはリスクを伴うものであり、財務省が、リスク管理に失敗しますと、日本経済そのものの基盤が揺らぎます。そうして、政策を決定する政治の側も、景気対策にはプラス面のみならず、重大なリスクを伴うことも、よくよく考えるべきと思うのです。

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コメント (6)
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