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万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

商品先物市場は明るくても市場は暗い

2008年06月01日 16時08分57秒 | 国際経済
ガソリン小売価格急上昇 170円超えるスタンドも(朝日新聞) - goo ニュース
 本日の新聞に、東京工業品取引所理事長の方のインタヴュー記事として、「商品先物市場の未来は明るい」、という一文が掲載されていました(本日付産経新聞朝刊)。記事の内容は、欧米諸国と比較して我が国の改革が遅れており、OMXといった新たなシステムの導入や今後の規制緩和によって、商品先物市場が活況を呈するであろう、という予測を述べたものです。

 この予測の前提には、欧米市場の商品市場の規制緩和政策に対するプラスの評価があります。しかしながら、行き過ぎた改革の結果、今日では、”投機行為”による原油や希少鉱物資源などの値上がりが物価水準を押し上げ、国際的な問題になっていることを考えますと、本当に未来が明るいのか疑問なところです。たとえ、商品先物市場の未来が明るくても、ギャンブルに晒される市場の未来は、反対に暗くなるかもしれないのです。投機は、市場の撹乱要因であって、正常な価格形成を妨げます。本当に、取引対象商品を拡大したり、制限値幅の撤廃して(サーキットブレーカー制度の導入による休止と値幅拡大後の再開)大丈夫なのでしょうか?現在以上に原材料価格が上がりますと、当然に、企業の経営は苦しくなりますし、国民も、所得の低下と物価高に襲われることになります(スタグフレーション)。

 欧米諸国が先行して商品市場改革を行った結果、弊害が発生したことは、誰の目にも明らかなことなのですから、この失敗の経験に学び、周回遅れで改革を推進することには慎重であるべきと言えましょう。市場とは生き物であり、連鎖的なメカニズムをよく理解した上で改革を行いませんと、結局は、自らの首をも絞めることになると思うのです。

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