草花好きのひとりごと

植物の栽培記録や鉄道・路線バスなどの趣味について記しています。

濃紅色桜弁平咲き2

2011-12-14 | 詳細不明の桜草
この花については前回も記しましたが、その続きです。

これと似たような花を、私が今住んでいる場所に引っ越してきてから一度散歩中に見かけた事があります。
とある民家の門前に置かれた鉢植えでしたが、遠目には似ているようの見えたものの、近づけば私が栽培しているものとは違うとちらりと見ただけでわかるものでした。

しかし、花色は濃紅色、花型は桜弁平咲き、野生種のように見えるという、文字にしてしまえば区別できないものに思えたのは確かです。

類似品と言えばもう一つ「愛称 千葉乙女」と呼ばれているものがあります。
栽培家の方が何年か前から配布されているので、栽培しておられる方もおられるかもしれません。

私も昨年芽を頂きましたので、栽培して見比べていますが、花色、花弁の形ともに僅かながら違いがありますし、「愛称 千葉乙女」は段咲きになりやすいといわれているのに対して、以前から我が家にあったものは肥培してみても庭植えにしてみても段咲きになったためしがありません。
もっともそれは私の栽培が悪いという証なのかもしれませんが・・・

我が家で以前から栽培している花に話を戻します。

我が家では開花時期に道路から見える場所にいくつかのさくらそうの鉢やプランターを置いているので、近所の方やその知人、通りすがりの方などに見て頂く機会があります。
そうした方々のこの花に対する反応は、「これは普通に見かける日本桜草だよね」「これは私の家にもある」などといったものが多いです。

手元にある植物図鑑、野草図鑑などを数冊見た限りでは、野生種のサクラソウの標準的な花色は、園芸品種の花色の表現で言うところの桃色~紅色の間のように思います。
この花の色は野生種としては濃いものということになると考えられますが、近くに自生地などありませんから、私も含めて野生のサクラソウには馴染みが無い人が多いという事なのでしょう。

普通に見かける、家にある、と言っても、実はそれは花色や花型が違うもののことだったりするのかもしれません。
しかし全く同じものではないにせよ、濃紅色桜弁平咲きの花がさくらそう愛好家というほどではない園芸好きな人の庭で栽培されているケースが多いのかもしれないとも考えられます。

さくらそう栽培を趣味として10年足らずの私の乏しい知識なので間違いもあるかと思いますが、今のように誰もが多種多様な園芸品種のさくらそうの花を見たり手に入れて栽培する事が難しかった時代がかつてあったと、何かで読んだ記憶があります。


ここから先は私の想像に過ぎない事です。
そうした時代に、どこかで採集された野生種の増殖品かそれをもとにした実生品、あるいは実生育種の過程で生まれた野生種に似た花などが、入手容易なさくらそう(日本桜草)として園芸愛好家間での譲渡がなされ、あるいは業者を通じて流通していたという事があったのかもしれません。
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濃紅色桜弁平咲き1

2011-12-14 | 詳細不明の桜草
この時期にさくらそうの花の画像というのは季節外れも甚だしいのですが、私が栽培しているさくらそう(日本桜草)の中から、入手時から名札が無く、ただの札落ち品というわけではないかもしれないと考えているもの、単なる名札違いではなく同名異種(同名異品)の可能性が考えられるものなどについて何回か記します。


今回取り上げるのは、この濃紅色桜弁平咲きの花です。
写真で再現するのが難しい花色ですが、‘赤蜻蛉’や‘朝日’ほど濃くは無く、咲き始めた頃の‘南京小桜’の紅色部分と同程度に見えます。
花弁(花冠裂片)の数が通常の5よりも多くなることがあります。

Webサイトやこのブログに品種名不明として画像を掲載しているため、以前に画像をご覧頂いた方から「‘浮間五台紅’に似ているものの、少し違うようだ」との情報をメールで頂きました。
その後私も‘浮間五台紅’を見る機会がありましたが、確かに似たところはありますが、並べて見比べなくともわかる程度の違いがありました。

以下に画像を掲載しますが、花色は撮影時の光の色や強さ、カメラの機種や設定によって変わってしまうので、参考になりません。

‘浮間五台紅’ 2006年4月26日、浮間ヶ原桜草圃場で撮影。

‘浮間五台紅’ 2008年4月19日、神奈川県立フラワーセンター大船植物園で撮影。


このさくらそうを我が家で入手したのは1998年頃、品種名の名札が付けられていなかった状態のものを、当時住んでいたところ(横浜市内)の近所の方から分けて頂いたものです。

野生種に近いか野生種そのものとも見える花ですが、そのお宅の他に近所で栽培されている方がおられるという話は聞いた事が無く、その近くで生まれられ長くお住まいの園芸好きな方(昭和初期のお生まれ)に見て頂いたこともあるのですが、「日本桜草=栽培する人が多くはなく、入手し難い植物」という認識を持っておられた様子であったことから、その地域が住宅地として開発される前にもサクラソウは近くに自生してはおらず、この桜草がその近辺の野生種である可能性は無いと考えて間違いないと思っています。


我が家では、これを何とか毎年咲かせる事ができるようになってから他の園芸品種を集め始めるようになりましたし、8、9年前に私がさくらそう栽培を趣味としてからも、用土や施肥、水やりなどを変える際には、この花の鉢で試して問題無ければ翌年は他の品種の鉢も変える、という手順を踏んできたので思い入れがありますが、それはあくまでも私と私の家族だけのことです。

趣味としてのさくらそうという観点から考えれば、ある程度似た花で既に名称が付けられている‘浮間五台紅’が存在するのに、あえてこの花を残す必要はないものと私は考えています。
仮に野生種だったとしても、産地(もともとの自生地)が不明では学術的価値も皆無であると言って良いと思います。

次回はこの花の類似品などについて記すつもりです。
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