草花好きのひとりごと

植物の栽培記録や鉄道・路線バスなどの趣味について記しています。

異名同品か否か?

2011-12-30 | 詳細不明の桜草
このさくらそう(日本桜草)の花は、苗を入手した時の名札は'墨田の蓮'と読めたのですが、私の読み間違いで'墨田の漣'である可能性があります。
(薄暗い状況で撮影した画像なので、色がくすんで見えます)
これが'墨田の漣'だと仮定して、ここから先の話を進めます。

'墨田の漣'は'初日野'の異名同品としている資料があります。


これは私が栽培している'初日野'です。
確かによく似ていて、名札がなければ私には見分けがつきません。

上の画像は今年(2011年)に撮ったものですが、2009年に撮った'墨田の漣'が下の画像で、上の画像と比べると、目と呼ばれる花の中央付近の白い部分に違いが見られます。

入手してから2009年までの数年間は、このような花が咲きましたが、今年は'初日野'と見分けがつかない先の画像の花が咲きました。

私の栽培しているものに、二種類が混在しているということも否定はできませんが、入手時の'墨田の漣'は1芽でしたし、類似品種を続けて植え替えないようにしているので、その確率は極めて低いと言って良いと思います。

目の部分の白い色の入り方や濃淡は、絞り模様のように時によって変化するものなのかもしれません。
ここまで顕著ではないのですが、他の品種でもそのような現象が見られます。

花の色や形は時によって変わる事が珍しくないと考えると、別の品種名で呼ばれる複数の花を、類似しているあるいは酷似しているとは言えると思いますが、異名同品と言い切るのはかなり困難なことのように思えてきます。

同一品種でも時によってあるいは栽培環境によって違いが見られる事を考えると、ある程度の差異は許容されるものだと考えられますが、酷似した別品種を異名同品と捉えてしまう事と紙一重のように思われ、本当に難しいところだと思います。

ややこしい異名同品をすっきりとさせたいという気持ちもわからなくはありませんが、もしそれが過去の間違いに由来するものであったとしても、類似あるいは酷似した品種を明らかにした上で、その花とともに伝えられてきた名前をそのまま後世に伝えていく、という考え方もあって良いと私は思います。
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濃紅色細桜弁浅抱え咲き

2011-12-15 | 詳細不明の桜草
今回は私が栽培している、よく似た桜草2種類について記します。
どちらも濃紅色で野生種のように思われるのは前に取り上げたものと共通ですが、花型は異なり、細い桜弁で咲き方は平開せず、浅抱え咲きといったところでしょうか。



上の画像2点は、10年ほど前に園芸店でいくつかの山野草のポット苗の中に混ざって「日本桜草」という名札のついたものがあったので、購入してみたものです。



上の画像2点は、5、6年前に山野草店の通販で「濃色日本桜草」という名の苗を他のさくらそう数品種と一緒に購入したものです。

並べてみると「濃色日本桜草」の名で入手したものの方がごく僅かに花色が濃いかな、と見える時がある以外の花の姿や葉の姿、植え替え時に見える芽や根の様子、栽培しているとやや根腐れしやすく、根腐れすると芽が大きく育たず翌年咲かない事が多いことなど、よく似ています。

2種ともに、花柱形は長柱花で、雌しべの先端が花筒から出ている花が若干見られるのも共通しています。
あと、どちらも山野草とともに流通していた、というのも共通点と言えないこともありません。

今回画像を見ていて花の中心部の「目」と呼ばれる白い部分の形状が異なるかなと感じました。
この部分は‘木枯’と‘前代未聞’を見分けるポイントとして指摘される方もおられますし、この場合ももしかしてと思ったわけです。


画像の数と撮影年が異なりますが、花の画像を並べてみました。
2009年撮影分の両者を見比べて、‘木枯’と‘前代未聞’の差異と似ているかと思ったのですが、どうも他年分の画像ではそれほどはっきりした違いが無いように見えます。

今後はこの点に留意して観察を続けてみようと思います。
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濃紅色桜弁平咲き2

2011-12-14 | 詳細不明の桜草
この花については前回も記しましたが、その続きです。

これと似たような花を、私が今住んでいる場所に引っ越してきてから一度散歩中に見かけた事があります。
とある民家の門前に置かれた鉢植えでしたが、遠目には似ているようの見えたものの、近づけば私が栽培しているものとは違うとちらりと見ただけでわかるものでした。

しかし、花色は濃紅色、花型は桜弁平咲き、野生種のように見えるという、文字にしてしまえば区別できないものに思えたのは確かです。

類似品と言えばもう一つ「愛称 千葉乙女」と呼ばれているものがあります。
栽培家の方が何年か前から配布されているので、栽培しておられる方もおられるかもしれません。

私も昨年芽を頂きましたので、栽培して見比べていますが、花色、花弁の形ともに僅かながら違いがありますし、「愛称 千葉乙女」は段咲きになりやすいといわれているのに対して、以前から我が家にあったものは肥培してみても庭植えにしてみても段咲きになったためしがありません。
もっともそれは私の栽培が悪いという証なのかもしれませんが・・・

我が家で以前から栽培している花に話を戻します。

我が家では開花時期に道路から見える場所にいくつかのさくらそうの鉢やプランターを置いているので、近所の方やその知人、通りすがりの方などに見て頂く機会があります。
そうした方々のこの花に対する反応は、「これは普通に見かける日本桜草だよね」「これは私の家にもある」などといったものが多いです。

手元にある植物図鑑、野草図鑑などを数冊見た限りでは、野生種のサクラソウの標準的な花色は、園芸品種の花色の表現で言うところの桃色~紅色の間のように思います。
この花の色は野生種としては濃いものということになると考えられますが、近くに自生地などありませんから、私も含めて野生のサクラソウには馴染みが無い人が多いという事なのでしょう。

普通に見かける、家にある、と言っても、実はそれは花色や花型が違うもののことだったりするのかもしれません。
しかし全く同じものではないにせよ、濃紅色桜弁平咲きの花がさくらそう愛好家というほどではない園芸好きな人の庭で栽培されているケースが多いのかもしれないとも考えられます。

さくらそう栽培を趣味として10年足らずの私の乏しい知識なので間違いもあるかと思いますが、今のように誰もが多種多様な園芸品種のさくらそうの花を見たり手に入れて栽培する事が難しかった時代がかつてあったと、何かで読んだ記憶があります。


ここから先は私の想像に過ぎない事です。
そうした時代に、どこかで採集された野生種の増殖品かそれをもとにした実生品、あるいは実生育種の過程で生まれた野生種に似た花などが、入手容易なさくらそう(日本桜草)として園芸愛好家間での譲渡がなされ、あるいは業者を通じて流通していたという事があったのかもしれません。
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濃紅色桜弁平咲き1

2011-12-14 | 詳細不明の桜草
この時期にさくらそうの花の画像というのは季節外れも甚だしいのですが、私が栽培しているさくらそう(日本桜草)の中から、入手時から名札が無く、ただの札落ち品というわけではないかもしれないと考えているもの、単なる名札違いではなく同名異種(同名異品)の可能性が考えられるものなどについて何回か記します。


今回取り上げるのは、この濃紅色桜弁平咲きの花です。
写真で再現するのが難しい花色ですが、‘赤蜻蛉’や‘朝日’ほど濃くは無く、咲き始めた頃の‘南京小桜’の紅色部分と同程度に見えます。
花弁(花冠裂片)の数が通常の5よりも多くなることがあります。

Webサイトやこのブログに品種名不明として画像を掲載しているため、以前に画像をご覧頂いた方から「‘浮間五台紅’に似ているものの、少し違うようだ」との情報をメールで頂きました。
その後私も‘浮間五台紅’を見る機会がありましたが、確かに似たところはありますが、並べて見比べなくともわかる程度の違いがありました。

以下に画像を掲載しますが、花色は撮影時の光の色や強さ、カメラの機種や設定によって変わってしまうので、参考になりません。

‘浮間五台紅’ 2006年4月26日、浮間ヶ原桜草圃場で撮影。

‘浮間五台紅’ 2008年4月19日、神奈川県立フラワーセンター大船植物園で撮影。


このさくらそうを我が家で入手したのは1998年頃、品種名の名札が付けられていなかった状態のものを、当時住んでいたところ(横浜市内)の近所の方から分けて頂いたものです。

野生種に近いか野生種そのものとも見える花ですが、そのお宅の他に近所で栽培されている方がおられるという話は聞いた事が無く、その近くで生まれられ長くお住まいの園芸好きな方(昭和初期のお生まれ)に見て頂いたこともあるのですが、「日本桜草=栽培する人が多くはなく、入手し難い植物」という認識を持っておられた様子であったことから、その地域が住宅地として開発される前にもサクラソウは近くに自生してはおらず、この桜草がその近辺の野生種である可能性は無いと考えて間違いないと思っています。


我が家では、これを何とか毎年咲かせる事ができるようになってから他の園芸品種を集め始めるようになりましたし、8、9年前に私がさくらそう栽培を趣味としてからも、用土や施肥、水やりなどを変える際には、この花の鉢で試して問題無ければ翌年は他の品種の鉢も変える、という手順を踏んできたので思い入れがありますが、それはあくまでも私と私の家族だけのことです。

趣味としてのさくらそうという観点から考えれば、ある程度似た花で既に名称が付けられている‘浮間五台紅’が存在するのに、あえてこの花を残す必要はないものと私は考えています。
仮に野生種だったとしても、産地(もともとの自生地)が不明では学術的価値も皆無であると言って良いと思います。

次回はこの花の類似品などについて記すつもりです。
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