草花好きのひとりごと

植物の栽培記録や鉄道・路線バスなどの趣味について記しています。

さくらそうの根腐れと根のコブ

2011-12-09 | さくらそう栽培記録〜2011年
このさくらそう(日本桜草)の株は、センチュウによるものと思われる根腐れが見られるものです。
すぐに枯死してしまうというほどではありませんが、根の数のわりに芽が大きく育たなかったという様子に見えました。


根の部分をアップにしてみました。
根の途中が腐って黒っぽく変色しているのがわかります。
元の方(根茎に付いている方)と先の方は白くて生きているようです。

水のやり過ぎによる根腐れでは、根全体が腐るか先端の方が腐ることが多いように思います。


先の画像とは別の芽ですが、腐った部分を切り取ったものです。
根の途中が腐っているものは、それよりも元の方が残りますが、元の方の根茎に付いている部分から腐っているものは、その根を全て切り取ることになります。

面倒でも腐った根を一つ一つ丁寧に切り取った方が、それがある程度残ったものと比べ、翌年の根腐れが少ないように感じられます。


腐った部分は簡単に切れてしまいます。
残った白い根からは極めて小さな芽が発生して、小さな葉が出てくる事があります。

開花サイズの芽に育つまでは何年もかかりますが、全ての芽が腐ってしまったような場合でも、根を植えておけばその品種を維持する事ができる可能性があります。


これも元の方が腐っていた根ですが、画像の中央あたりなどにコブができています。
どうやらネグサレセンチュウとネコブセンチュウの両方にやられてしまったようです。

どうして虫害を受けてしまったのかという原因を考えてみると、センチュウの類は土の中に棲む害虫としてはそう珍しいものではないようなので、用土に入っていた、降雨時などに庭土の泥はねとともに鉢内に侵入した、などが考えられます。

私も経験のあることですが、販売されている苗が虫害を受けている場合もあります。
しばらく栽培した後ならば、自宅で虫害が発生したということもありますが、購入したポット苗をすぐに鉢に植え替えてみた時に、根腐れやコブが見られたものは、生産段階か販売段階で虫害を受けたものと考えて間違いないでしょう。

対策として、センチュウ用の殺虫剤を用土に混ぜておくと効果がありますが、私が試した限りでは完全に退治できるほどでは無いように思います。
腐った根を切り取ってから植え付けると、翌年は被害が小さくなっていることがあると先に記しましたが、それを何年か繰り返すうちに目視では全く確認できないほどに回復したこともあります。

夏の暑さや乾燥、水のやり過ぎなどで株が衰弱することで虫害を受けやすくなるという説もあります。
さくらそうの様子を注意深く観察して栽培することである程度は防げるものなのかもしれません。

虫害が発生した土を再利用すると、その中にセンチュウが棲んでいるため被害が拡大するので、土を加熱するなどして殺虫処理するか、処分してしまう方法も知られています。
しかし土を焼いたり煮たりするのはかなり手間がかかりますし、処分するのも決して容易なことではないと私は思います。

さくらそうの園芸品種の中には100年以上前から伝わるとされるものもあります。
私の10年程の栽培経験からは、センチュウによる虫害の発生はそう珍しい事とも思えないのですが、それでも古くから栽培が続けられている品種が存在します。
その事はセンチュウによる虫害が、品種の維持に関わるほどの大きな悪影響を及ぼすものでは無いという事を示しているのではないかと考えることができるのではないでしょうか。
これは毎年新しい根が生じて古い根は枯れるという、さくらそうの性質とも関わりがありそうです。


私は5年ほど前から毎年、余剰の芽を知り合いに送っています。
程度がひどいものはその対象から外していますが、その芽の中にはセンチュウによると考えられる根腐れや根のコブが見られるものも含まれます。

そうした芽を見つけた以上、取り止めた方が良いのではないかと考えたこともあるのですが、栽培品の中にネグサレセンチュウやネコブセンチュウによる害が発生している栽培者は少なくないようですし、先述のように栽培を続けるうちに回復する場合もあることから、先方に根腐れやコブが見られる芽があることをお知らせした上で続けています。

とは言っても、もし栽培してるさくらそう全てにセンチュウによるものと考えられる根腐れやコブが見られないような方がおられれば、他の栽培株への被害の拡大を防ぐために虫害を受けた芽の入手は避けた方が良いのかもしれないと思います。
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