草花好きのひとりごと

植物の栽培記録や鉄道・路線バスなどの趣味について記しています。

サクラソウの花弁に見られる異常~小さな突起

2014-04-24 | さくらそうに関するあれこれ
上の画像は、ある野生種の花なのですが、花弁にポツポツと小さな突起が見られます。
私が入手した年からこの状態で、一輪だけでなく全ての花にこの現象が見られますが、突起の数や大きさは均一ではなく差があります。


花の一部をアップで見るとこのような感じです。


これは'漁火'の花ですが、花弁の元の方などに先の画像のものと似たような突起が見えています。


昨年撮影した'薄蛇の目'です。
突起が見られない花と比べると花弁の縁の切れ込みが目立つようにも見えます。


これも昨年の画像の'白蜻蛉'です。

'蛇の目傘'、'白蜻蛉'ともに今年開花した株にはこのような変異は見られませんでした。
株の生育状態によって変わるものなのか、芽の先が曲がっていたり、いびつな形をしているものを植え替え時に処分したのが良かったのか、何だかよくわかりませんが、来年以降も観察を続けたいと思います。

突起が現れるのと同時に、花弁の形が縮れたようになったり、切れ込みが多くなったり、曲がっているように見えたりする場合もあることを考えると、何らかの病気の症状なのかなとも推測できますが、詳しいことは私にはわかりません。
芽や根も変形しているように見える場合があるのも気になっています。

(以下、2014年4月26日追記)

一昨年ジベレリン処理して播種し、今年初めて開花した実生花にも同様の突起と弁の変形が見られました。
さらに画像右側の花には細かい点状の白班まで見られ、変形の程度も著しいです。


この花の場合、突起の部分も白くなっています。
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サクラソウの花弁に見られる異常~緑斑

2014-04-24 | さくらそうに関するあれこれ
花弁の一部(画像左下)に筋状の緑斑が入っている'白蝶の契'の花です。
この緑斑は全ての花に入ることは無く、いつも花弁の同じ位置に入るという訳でもありませんが、毎年数輪は見つかります。

'青葉の笛'、'松の雪'、'春の雪'などの品種の緑斑と外見上は同じように見えますが、それらの品種ほど多く入ることは無いようです。
私の手元にある資料を見る限り、この品種は緑斑入りと扱われてはいないようですが、書籍に掲載された写真にも緑斑が少し見えるので、そういう性質のものなのかもしれません。


こちらは今年'月の都'の品種名で入手した花の画像ですが、上の花弁の右側に緑斑が見られます。
これも緑斑入りの品種では無いはずなのですが・・・

いずれも緑色の部分の花弁は萎縮あるいは変形しているようにも見えます。
緑斑(緑絞り)の模様は、ウィルス感染によって出現するものらしいので、どの品種にも発生する可能性(と言うよりもリスク?)があるのかもしれません。
緑斑入りの品種以外では、できればお目にかかりたくないものですが・・・
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さくらそうの栽培上の性質

2014-04-22 | さくらそうに関するあれこれ
我が家でさくらそう(日本桜草)を育て始めて、まだ栽培品種数が少なかった頃は小さな芽も全て植えていましたが、品種数を増やすにつれて置き場所に余裕が無くなってからは、栽培できる数の芽だけを植え付けています。
それでも開花が見込めそうな大きさの芽を捨てるのは忍びなく、とりあえずポットや使い古しのプラ鉢に植えておいて、欲しいと仰る方に差し上げたりしています。

開花時期には少しですが鉢を道路から見える場所に並べていることもあって、何年か続けて見に来て下さる方もおられます。
私が水やりや施肥をしたり、花を眺めたりしているときに来られた方とはお話させて頂くこともあるのですが、次の年には咲かなくなってしまった、あるいはすっかり枯れて無くなってしまった、という方も少なからずおられます。

私の方では年によって数に差はあれど余剰苗が生じるので、毎年開花苗を貰いに来て頂いても一向に構わないのですが、やはり育てていて咲かなくなってしまう、枯れてしまうとなると、躊躇されたり、栽培が難しい植物と考えられて止めてしまうという方が多いようです。

私は野生種も好きなので、少しずつ集めて栽培していて気付いたことですが、野生種だけを比べても性質の強弱、栽培の難しさにはかなりの差があります。
原種からしてそうなのですから、園芸品種にも丈夫で育てやすいものと弱くて育てにくいものが存在するのは当然のことなのかもしれない、と考えるようになりました。

既存の品種をどうにかして性質を変えることは不可能ですが、実生で育種する過程では栽培容易なものを選抜することは可能だろうと思います。
どんなに美しい花が咲いても、性質が弱くて咲かせるのが難しいのでは栽培に苦労することになってしまいますから、栽培容易であるかどうか、というのは新品種を育成する上で重要なポイントになると考えています。
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白い筋が入ったサクラソウの花

2014-04-14 | さくらそうに関するあれこれ
先日から何度か画像をアップしている昨年から咲いている実生の花ですが、昨年同様に白い筋が入った花が今年も見つかりました。


右下の花弁(花冠裂片)に、白い目の部分から続くように白い筋が見えます。
どうもそのあたりだけ花弁が縮むように変形しているようにも見えます(弁の間隔がそこだけ広くなっているので)。


画像では見えにくいですが、下の花弁の右側が少し薄い色になっています。
白目の部分から弁先の方へと続いているのは先の画像の白い筋と同じで、こちらは明らかに花弁が変形しているように見えます。

今のところどちらも一輪だけですが、花弁の変形が見られることから、緑斑のようにウィルスなどの病的な要因によるものなのかもしれないと考えています。
仮にそうだとすると、昨年の開花時には既にこの症状が見られたことから、播種から10ヶ月ほどの間に感染してしまったことになりますが、古土を再利用して栽培しているので仕方がないのかもしれません・・・
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さくらそうの根腐れと栽培

2014-02-04 | さくらそうに関するあれこれ
先日の記事に続いて、さくらそう(日本桜草)の根腐れについて考えてみます。

根腐れと一口に言っても、長い間水浸しにして腐らせてしまったようなものとセンチュウによるものでは原因が異なりますが、植え替え時にひどく根腐れしてしまっていた、あるいは根茎から腐ってしまっていた株でも、6~7月に葉が枯れるまでの時期には外見上の異常は見受けられなかった場合が少なからずあります。
葉が急に萎れるように枯れた、枯れる時期が早い、というような異常らしき変化が見られる場合も皆無ではありませんが、そういう状況を目にすることは比較的少ないと思います。

このことから、葉が枯れている夏以降に何か根腐れの原因があるのではないかと推測できます。
夏と言えば暑く日射しも強いということでまず思いつくのは、鉢土の温度上昇、過湿による蒸れ、といったことですが、少なくとも我が家では駄温鉢や釉薬のかかっていない焼締鉢よりも素材の性質としての通気性に劣ると考えられるビニールポット(ポリポット)の方が比較的根腐れが少ない傾向が見られるので、原因は違うところにあるのではないかという気もします。

ただ、私が近年さくらそう栽培に使っているポットのほとんどが9cmと10.5cmであるのに対して、陶器鉢は4号と5号(直径約12~15cm)なので、土の量が多いことによって湿った状態に保たれやすいことが原因、という可能性は考えられると思います。

次にネグサレセンチュウについてですが、ネコブセンチュウも含めてセンチュウによるものと思われる被害を受けた株であっても、葉が青々として生育旺盛な状態にある時期には被害が急速に拡大することはほとんど無いように思われることから、葉が枯れている時期に、もしくは株が何らかのダメージやストレスを受けた状態にあるとセンチュウによる被害も大きくなるのではないかと推測できます。

上記の推測が合っていると仮定して、根腐れの程度を軽くする、あるいは全く根腐れが無い状態にするためにはどうすれば良いかと考えてみると、さくらそうの状態をよく観察して適切と考えられる栽培管理を滞り無く続けるというのが一つの方法ではないか、ということが思い浮かびます。
しかし、葉が枯れている時期にはさくらそうの状態を外見から判断できる材料がほぼ無くなってしまい、その期間が半年以上に及ぶことから、それを実現するのは何とも難しいことのように思います。


これは私が栽培している野生種のひとつの芽です。
数年前から根腐れがひどく芽も小さい状態が続いていて、毎年腐った部分から先の根を切り捨てて植え付けていたものの昨年は残った白い根の数が少なくなり、ついに枯死させてしまうことになるかと懸念していたのですが、今年は根腐れもさほどにひどくはなく、昨年までよりは大きな芽ができていました。


これは別の野生種でほとんどの根が部分的に腐っていて、腐った部分から先を切り取ると根がかなり短くなってしまって結構ひどい状態です。
これは2年続けて根腐れの程度が悪くもならず良くもならず同じくらいという状況が続いています。

2ヶ月ほど前に古い根茎と一緒に根の腐っている部分から先を取り除いておいたのですが、最近になって土から掘り出してみるとまだ少し根腐れが見られます。
見落としていて切り取り損ねたにしては数が多いですし、以前に11月に芽分けと同時に腐った根を取り除いてから一度仮植えしておき、それを1月下旬以降に掘り出して植え付ける方法をしてみたときにも、植え付け時にまた根腐れしている部分があって再度取り除いたことがあるので、寒い冬の間にも根腐れが進行してしまうことがあるようです。


これは園芸品種の芽ですが、中ほどから先の方が部分的に腐っている根が多かったものです。
さくらそうの根が部分的に腐る現象は、1~5mm程度の長さで腐っている場合が多いように見受けられますが、腐るところは根の元の根茎につながっている部分であったり、根の先端近くであったり、その中間であったりと、特にどこか決まった位置が腐りやすいということはなさそうです。

同時に混ぜた用土で植え付けたポットをすぐ近くに置いて栽培していたものを見比べても、今年ひどく根腐れしていたもの、先の画像の野生種のように根腐れが少なくなっていたもの、昨年と同程度だったもの、見た目には根腐れが全く無いもの、といったように根の状態には差があります。

このことを改めて考えてみると、根腐れの原因というのは、その個体(園芸品種の場合は品種)の性質、栽培(用土、肥料、水やりなど)、環境(栽培場所や気候など)、害虫(ネグサレセンチュウなど)、というようなさまざまな要素が関わっているのだろうと思われます。
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さくらそうの根腐れと用土

2014-02-01 | さくらそうに関するあれこれ
私がさくらそう(日本桜草)の栽培を始めて品種を集めるようになってから10年以上が過ぎたのですが、この3、4年はそれ以前と比べて根腐れがひどいように感じています。
3年前の2011年はひどく根腐れさせてしまった品種が多く、翌2012年は若干は回復してきたものが多いように見えたものが、昨年はまた少し悪い状態に逆戻りしてしまった、といった状況です。

はっきりした原因は全く分からないのですが、同じように栽培しているつもりでも、4、5年前までとそれ以降ではさくらそうの状態が違っているという印象があるので、これまで10年余りの間続けてきた栽培方法を見直した方が良いのかなと考えています。

根腐れがひどかった年とそうでもなかった年を比べて、春に芽が出てきてから開花時期を過ぎて枯れるまでの間の葉の大きさや数、枯れる時期などに大きな差は無さそうなので、葉が枯れて以降の夏の暑さが原因かとも考えてみたのですが、この3、4年に限らずそれ以前にも猛暑の年はあったわけで、それが大きな要因とは言えないように思います。
鈍感な人間である私などは気付くことのない微妙な環境の変化でも起こっているのでしょうか。


再利用するためにふるいにかけた古土(さくらそうとその他の植物のものを混ぜた状態)です。
見た目には赤玉土と軽石がほとんどを占めているようです。

ここ数年間は腐葉土の代わりとして草花用培養土を混ぜていたのですが、植え替えのときに見ていて細かい土が多く含まれていると根茎や根が腐りやすいのではないかと思われたので、今年は止めてみることにしました。

根腐れがひどくなった時期と古土再利用による用土の使用量を増やした時期が重なっていたことから、これが原因かとも思ったのですが、新しく購入した赤玉土や腐葉土、バーク堆肥、軽石などを使った用土でも同様に根腐れが見られたので、どうやら違うようです。


これは植え替えで出た古土です。
購入した用土が入っていた袋に入れておいて、翌年の植え替えの前にふるいにかけて細粒と微塵を取り除いて再利用しています(細粒と微塵は他の草花や野菜の栽培に使います)。

私は今のところ古土をすぐに再利用せず翌年の植え付けに使っているので、ただの偶然なのかもしれませんが根腐れが特にひどかった2011年と2013年には新しく追加した用土以外は同じ土を使っていたことになります。
元は同じように混ぜ合わせて作った用土なので、用土に原因があるとは考えにくいのですが、若干でも根腐れの状況が回復しているように見えた2012年の用土を再利用する今年はどうなるでしょうか・・・
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鉢の種類とゴロ土・鉢底石、さくらそうの場合

2012-11-27 | さくらそうに関するあれこれ
私はさくらそう(日本桜草)を10年ほど栽培していて、以前、栽培品種数と鉢数が少ない頃にはゴロ土(鉢底石)を使っていたのですが、数が増えてくると再使用する際に粒の大きさの違う土と石とを分けるのが面倒になったこともあって、使わなくなっていました。

しかし今年は、今まで我が家では根腐れさせてしまうことが多いと感じていた、数種類の桜草鉢と山野草など用の鉢(鉢底の傾斜が小さい形状のもの)に使用してみたところ、根腐れした株が昨年までよりも少なく見えました。

該当する鉢の数が、4号鉢が2種類計6鉢、5号鉢が3種類各1鉢、合わせて十鉢足らずという少なさなので、たまたまかもしれないものの、昨年、軽石を多めに混ぜた水はけの良い用土を試してみた時には、それまでと目立った違いが見られなかったので、今年のゴロ土(鉢底石)は効果があったようにも思います。

鉢の高さの四分の一あたりから鉢底にかけての部分がかなり丸みを帯びていてボウルに近いような形状の桜草鉢にはゴロ土を使いませんでしたが、根腐れするものが少なかったので、鉢の形状によっても違いがあるのかと思われます。

同じく私の栽培方法では根腐れしやすい駄温鉢では、ゴロ土を使っても根腐れしている株が多かったので、よく分からないところもあるのですが、これは3.5号、4号、5号とサイズが違っても似たような状況のため、私の栽培方法には駄温鉢は適していないということなのかと考えるようになりました。

9cmや10.5cmのポットのような小さい栽培容器の場合は、もともと深さが浅い上にゴロ土・鉢底石を入れるとさらに用土の量が少なくなってしまいますし、私の栽培では4号以上の鉢の場合と比べると根腐れしていたとしても程度が軽い事がほとんどなので、使わなくても良いかなと今のところは思っています。

ビニールポット(ポリポット)と言えば、水はけが良い環境が適した山野草などの苗に使われていたりする、側面と底面の境目あたりにも穴の空いているポットや、硬い材質のポットでは部分による偏りなく水がはけそうに見える構造のものを見かけますが、もしかしたらゴロ土・鉢底石と同様の効果が期待できるのかもしれません。

ただ、その類のポットは鉢底網をセットしにくく、穴が隠れる程度までゴロ土を入れた方が簡単という感じもあるので、それをするなら日本桜草の場合は通常の鉢底穴一つのポットでも良いのでは、という気もしなくはありません。
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帯化した?さくらそうの花

2012-05-02 | さくらそうに関するあれこれ
何やら不思議な姿のさくらそう(日本桜草)の花が咲いていました('_')
雌しべが2本あり、花冠裂片も多いです。


花を横から見てみると、茎が平べったく萼片が多いので、ユリなどにも見られる帯化が起きたものではないかと考えられます。
これは'庄内白'と呼ばれているものですが、私は数年栽培して初めて見かけたので、特に帯化しやすいという訳ではないと思います

以前に他のもので見たことがありますが翌年は全て普通の花が咲いたので、ユリと同じく固定された性質では無さそうです。


開花した鉢をちょっとだけ家の中に飾って楽しんでいます。
画像は玄関で暗いのですが2日で鉢を入れ替えるようにすると、さくらそうがダメージを受けることも無さそうです(^^♪
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桜草花壇

2012-02-28 | さくらそうに関するあれこれ
さくらそう(日本桜草)の開花鉢を展示鑑賞するための設備として、「花壇」と呼ばれるものが存在します。
江戸時代に植木屋などで小屋や屋根の下に棚を置き、鉢植えを並べて展示したことが桜草にも取り入れられ、明治に入ってから桜草独特の幅一間の小屋に5段の棚という形態が生まれたともいわれています。

よほど器用な人でない限りこれを自作するのは難しく、どこかに注文して作ってもらうことになると思いますが、さくらそうの花の形や色、咲き方の違いが一目にわかり、近づいて見ると品種ごとの特徴も見ることができ、風雨を避けられるという、優れた鑑賞法と考えられます。

これは5号か6号の鉢を並べて鑑賞するもので、小屋の大きさは幅が一間(約1.82m)、奥行き5尺(約1.52m)、5段の棚(棚板の幅5、6寸(約15 ~18cm))に一段ごとに鉢を置く位置をずらして33あるいは38鉢並べるのが標準的なようです。

開花時期の違いを考慮して、良い状態の鉢を鑑賞しようと思うと、その3倍以上の鉢を栽培する必要がありそうに考えられ、それだけの鉢数を栽培し、開花時期だけとは言っても小屋を設置する場所は、我が家の庭にはありません。

仮に5、6号鉢用で棚板幅6寸(約18cm)と考え、鉢数はそのままで4号鉢用に縮小して棚板の幅を5寸(約15cm)にすると、幅5尺(約1.52m)、奥行き4尺(約1.21m)に収まりそうです。
設置面積は3分の2になるのですが、現代の住宅事情を考えると、これでもまだ大きいですし、そのような場所があれば、なにも4号鉢で栽培することは無いように思います。

棚の幅はそのままにして、小屋の間口と棚の長さを5尺(約1.52m)、4尺(約1.21m)・・・と縮める方法も考えられますが、小屋の前に立って見ることと、鉢の出し入れ時に小屋の中に入る事を考えると、高さは小さくできませんし、奥行きも5段を維持するとあまり小さくすることはできず、かといって棚の段数を減らすと全体の見た目が寂しくなるほか、鉢数が少な過ぎて花色や形、咲き方の違いを見比べることが十分にはできなくなると思います。

小屋と棚の材質は古くから伝わるような木造の方が見映えがする事は間違いないですが、風情には目を瞑り価格と組み立ての容易さを優先して、金属や樹脂などの素材という選択肢もあるとは思います。
でもそれだけのものを作るくらいなら、価格よりも見映えを優先させた方が良いかとも思います。

と、まあいろいろと考えてみましたが、簡単にできるものではありません。
伝統的な様式の桜草花壇は、古いものが残されていたり、現代に再現されたりしていて、中には開花時期に公開されているものもあるようですから、私などはもっと容易にできる別の鑑賞方法を模索した方が良いのかなと思っています。
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孫半土(孫半斗)と桜草鉢

2012-02-28 | さくらそうに関するあれこれ
江戸時代にさくらそう栽培の鉢として使われた容器に、孫半土、孫半斗などと呼ばれた陶器に底穴をあけたものがあったそうです。
これについての情報は多くはないのですが、貴重な陶磁器を焼成する際の保護用、壷のように使われたものなど、一種類のものではなく、複数の種類が存在したようですし、先に記した「孫半土」「孫半斗」以外の名称もあったようです。

大きさも一種類だけではなかったようですが、主にさくらそう栽培に使われたものは、直径が5、6号鉢に相当する程度だったともいわれ、時代が下ると入手困難となったため、それを模した植木鉢が作られることとなり、それも同名で呼ばれているようです。

その材質など栽培に利用する上での特性について、私の手元にある書籍に記載されている事柄もあるのですが、後に再現されたものも含めて複数の種類が存在したということで、その全てに当てはまる事なのかどうか、私にはわかりませんし、私は書籍に掲載された写真及び記述と、以前に展示されていた鉢を何度か見ただけで、言わば現存する孫半土・孫半斗の中でもごく一部の種類しか見ていないはずで、先に記した以外の事は何もわかりません。

写真を含めて私が見たことのあるその鉢について、見た目ということを個人的な好みによって考えると、素朴さや作為の無さのようなものは感じられても、現代に再現すべき美しさやデザイン性があるとは感じらず、おそらく改良が進んだ園芸品種の花には似合わないのではないかと思っています。

桜草鉢の中には、孫半土(孫半斗)を参考にして、それを洗練させて綺麗に見えるようにしたものといった感じの鉢が、私の知るものだけでも複数あります。


内側にも釉薬がかけられていることと、鉢の厚みがやや厚いことが、これらに共通した特徴かと思われます。


私の場合、このタイプの鉢では根腐れさせてしまうことが多く、栽培結果が思わしくありません。
私の栽培管理に問題があるのだとは思いますが、現代使われている赤玉土を主とした用土と、かつて使われていたとされる荒木田土や田土を主とした用土、あるいはそれより前の時代の用土との性質の違いが影響している、と考えることもできるかもしれません。

ここからは、さくらそうを栽培する鉢に必要とされる性質とは何なのか、少し考えてみます。

近頃は20~30年前と比べると夏の気温が高いように感じられますし、最高気温が30度を超える日の日数などを見ても、かなり増えています。
そのことから、根腐れを防ぐ意味で、保水性よりも排水性や通気性、断熱性などを重視した鉢が必要なように思われます。

鉢の外見については、孫半土(孫半斗)や、過去に存在したものと現在入手可能なものを含めた各種の桜草鉢は、鑑賞時にほとんど見えない内側を除いて考えると、濃い茶色や黒といった暗い色のものがほとんどのようです。
それは、さくらそうの花色、葉の色が映えるように考慮されていると説明される場合が多く、確かに白とか薄茶色などの鉢と比べると、見映えが良く感じられる気がします。

「桜草鉢」という名で販売される鉢は、現在入手可能なものでも複数存在していますが、その形状や通気性や排水性といった性質は、各々違いがあります。
見た目が自分の好みに合うかどうかということも大事ですが、自分の栽培方法に適した鉢を選ぶと良いと思います。

しかし、私の知る範囲内ではどの鉢も鉢底の穴が小さいように思うのですが、何か製造上の理由でもあるのかもしれません。
水はけの良さということを考慮すれば、雪割草の鉢ほどではなくても、大きい方が良いと私には思えるのですが・・・

もちろん、むやみに桜草鉢に拘ってばかりいる必要は無く、他の植物用の鉢でも良いと思えるものがあれば、それを選べば良いのだと思います。

さくらそうを栽培する人は現在でもそう多くは無いと思いますし、今後は減っていくのかもしれません。
それに、陶器鉢は割れてしまうことはあっても、プラ鉢のような劣化はしないので、数が売れるものではないと思います。
そのため残念ながら、今後新たな桜草鉢が作り出される可能性は低いのかもしれません。

現代では入手しやすく、それなりに見映えのするプラ鉢もあります。
展示会でも見かけることがあり、軽量なので搬入搬出時に多大なメリットがあるようですし、ビニールポット(ポリポット)も含めて、陶器製の鉢よりもさくらそうの生育が良いと仰る方も少なくありません。

しかし、鑑賞時のみ使うのならばともかく、栽培に使っていると日射や降雨の影響で劣化してきます。
陶磁器ならば、風雨にさらされて味わい深くなるということもあるのでしょうが、プラスチックの場合はどう考えても鑑賞価値は低下する一方です。

そしてやがては劣化が進んで壊れて使いものにならなくなりますから、リサイクル可能な素材とはいえ、個人的には無駄にゴミを増やしているように思えて気になります。
また、陶器鉢をモデルにしたようなプラ鉢は割と高価で、2、3鉢分の金額で陶器の桜草鉢が買える程度です。

しかし、ホームセンターや園芸店などで容易に入手できるのは良いところで、いったいどこに行けば買えるのやら、というような桜草鉢の現状とは比べものになりません。
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